府川 俊彦 院長、府川 弘明 副院長の独自取材記事
ふかわ矯正歯科
(鎌倉市/大船駅)
最終更新日:2025/03/19

大船駅近くで、府川俊彦院長を中心に30年以上も矯正歯科専門のクリニックとして診療してきた「ふかわ矯正歯科」。近年は府川弘明副院長と府川靖子副院長による診療も始まり、2019年にはリニューアル移転するなど新たな体制を整えている。府川院長は大学病院の矯正歯科で長く経験を積み、現在は日本歯科専門医機構矯正歯科専門医の資格も取得。2人の副院長も矯正歯科の経験は豊富だ。同院は見た目の美しさだけでなく、噛み合わせなど機能面の改善をめざすことにも注力し、口腔機能の向上を図ることも併せて行う点が特徴。その目的や同院の強みなどを俊彦院長、弘明副院長に詳しく聞いた。
(取材日2024年12月17日)
矯正と同時に口腔機能の向上を図ることにも力を入れる
2019年に現在の場所に移転されたと伺いました。

【俊彦院長】以前から近くの患者さんに加え、横浜市、藤沢市、逗子市、さらには東京都内と、やや遠方からの患者さんも多く見えていました。さらに私の子どもたちも当院で診療するようになり、患者さんが増えて院内が手狭になったことで、より交通の便が良く広いクリニックにしたいと考え、2019年に移転しました。リニューアルの構想から新しい設備の導入まで、若い2人のアイデアを取り入れて、幅広い世代の方が利用しやすい院内環境づくりに取り組みました。通うのが楽しみになるような明るい雰囲気を意識して、待合室のインテリアはモダンなデザインにしましたね。また、2階の診療室フロアにはエレベーターでも移動できるため、ベビーカーや車いすでの来院にも便利になったと思います。
クリニックの特徴を教えてください。
【俊彦院長】当院は矯正歯科専門のクリニックで、日本歯科専門医機構矯正歯科専門医の私を含め、常勤歯科医師は矯正歯科の経験が豊富な歯科医師です。そうした環境のもと、小児から高齢の方まで幅広い患者さんの矯正に対応し、その方の症状や矯正の目的に合わせて多様な矯正法を用いています。成人の矯正は歯周病や虫歯の事前治療、欠損した歯への処置などに配慮し、小児の矯正では可能なら顎の発達を促して抜歯せずに矯正を行うことも検討します。加えて、外科手術を伴う専門性の高い治療が必要な口唇・口蓋裂のような先天性疾患や顎変形症などは、保険適用で治療できる指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)になっています。また、当院は矯正と併せて口腔機能の向上にも力を入れ、歯科衛生士を中心にMFT(口腔筋機能療法)を行っている点も大きな特徴といえるでしょう。
MFTはどのような狙いで行っているのですか?

【弘明副院長】MFTは口周辺や舌の筋肉のトレーニングなどにより、食べる・飲み込む・話すといった口腔の動きに関わる口腔機能の向上を図るものです。口腔機能が低下すると、口を開けがちになる口唇閉鎖不全や舌が適切な位置に収まらないなどの不具合が起き、生活の質や全身の健康にも影響してきます。さらに歯並びや噛み合わせが乱れるリスク、矯正治療後に後戻りしやすいリスクなども高まるとされ、矯正をはじめ歯科全体でも非常に重要な機能なんです。そのため当院では矯正と口腔機能の向上は一緒に行うことがほとんど。担当の歯科医師と連携した歯科衛生士が口腔ケアと同時に口腔機能を鍛えるトレーニングを指導し、患者さんにはそれをご自宅でも続けていただき、矯正中の定期的な通院の際に状態を確認しながら機能向上に努めています。
患者に合った矯正法を提案し、小児矯正にも注力
矯正のメリットについてお聞かせください。

【俊彦院長】患者さん自身の持つ大切な歯を可能な限り生かして、見た目や機能の改善をめざせることだと思います。成人の場合は審美目的で興味を持たれる方が多いのですが、矯正歯科のメリットとして、歯並びを整えることで一部の歯に大きな負荷がかかっている状態の改善を図り、良い噛み合わせをめざすことも含まれるのです。これにより歯が傷んで抜歯が必要な状態になることを予防し、歯磨きがしやすくなって虫歯や歯周病の予防にもつながると考えています。自分の歯を維持できている高齢者には噛み合わせの良い人が多いといわれていますし、見た目も噛み合わせの機能も改善を図ることで、明るく積極的な気持ちになることも考えられます。矯正は審美面だけでなく、多くのメリットがあるのです。
こちらではどのような矯正に対応していますか?
【弘明副院長】ブラケットと呼ばれる金具を一本一本の歯に接着し、アーチ状のワイヤーを通して歯を移動するマルチブラケット装置を用いた治療や、取り外し可能なマウスピース型装置を用いた矯正など、さまざまな矯正を行っています。マルチブラケット矯正は、従来の方法では金具が目立つのがデメリットでしたが、今はプラスチックやセラミック素材でできたブラケットや、歯に近い色のワイヤーもあり、見た目も気になりにくくなりました。また、マウスピース型装置を用いた矯正はワイヤー矯正より目立ちにくいなどで人気ですが、本来は適応可能な症例の見極めと、矯正中の歯の位置についての綿密な計画が必要です。当院ではこの方法が適した患者さんに対し、矯正歯科の十分な知識と経験をもとに行うことを重視しています。
小児矯正にも力を入れているそうですね。

【俊彦院長】小児の患者さんは、乳歯の受け口などは5歳前後から治療するケースもありますが、一般的には歯並びや噛み合わせの不具合が目立ち始める永久歯への生え替わり時期から矯正を検討していきます。ただ、近年は永久歯がうまく生えそろわない萌出異常も多く、そうなると歯並びが適切に整わないことがほとんど。保護者の方が気づいたり検診で指摘されたりしたら、早めにご相談ください。
【弘明副院長】小児は体の成長を利用して顎の発達を促す装置を装着することで、歯並びを整えるための土台づくりにつながります。これによって、抜歯せずに矯正できる可能性も高まります。併せて口腔機能のトレーニングも行うことで、反対咬合など歯並びの深刻なトラブルも防ぎやすいでしょう。小児の矯正は将来も自分の歯で食べられるよう口腔環境を整える第一歩といえます。
患者に寄り添い、一人ひとりの希望をかなえる治療に
診療の際に心がけていることは何でしょうか?

【俊彦院長】矯正歯科では数年のスパンで治療を続けていただくため、事前に丁寧に説明して治療内容を理解していただくことや、途中でやめてしまわないように随時フォローすることが大切と考えています。そのためにまずは話しやすく、来院が苦痛ではなく、診療後に気持ち良く帰っていただけるような環境をつくることが重要です。また町のクリニックだからこそできる、それぞれの患者さんが抱える事情や都合をくみ取ることも心がけています。そうしたコミュニケーションをもとに患者さんの希望に可能な限り寄り添い、最良な方法で進められるよう努めています。
院内のチームワークについてお聞かせください。
【俊彦院長】親子で診療していますが、院内では経験を積んだベテランと新たな知識を備えた若手の関係です。必要なら互いに意見交換をし、複数の観点から患者さんに適した方法を決めていけるのは当院の強みでしょう。また、適切な口腔環境の維持や口腔機能の向上には歯科衛生士の力が不可欠で、ブラッシングやMFTを通して患者さんからも信頼をいただいていると思います。講習会に参加した歯科衛生士には院内で情報共有してもらうなど、チームでMFTに関するスキルアップにも努めています。
【弘明副院長】当院には歯科技工士も在籍し、口腔内の模型をもとに直接打ち合わせるなどで、目的にマッチした矯正装置が製作しやすいことも強みの一つです。急患にも対応可能で、その場で装置の微調整も行えるなどチームの一員として活躍しています。
地域の皆さんにメッセージをお願いします。

【俊彦院長】多くの患者さんの笑顔を見ることにやりがいを感じてきました。患者さんには楽しく通院することも含め、いろいろな意味で満足、納得していただきたいと思っています。当院には、矯正歯科を専門とする若い世代の歯科医師がいますので、患者さんに合わせた打ち解けやすい歯科医師が担当できると思います。
【弘明副院長】人生100年時代の今、歯並びや噛み合わせを整えることは将来もご自分の歯で食事ができ、健康寿命を延ばすことにもつながっています。矯正は見た目の美しさだけでなく、そうした機能面の改善に期待できることを、年齢を問わず多くの皆さんに知っていただきたいですね。興味を持たれたら早めにご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは成人の矯正/77万円〜、小児矯正/1期治療16万5000円〜 2期治療38万5000円〜
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。