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小川 歓 院長の独自取材記事

小川歯科医院

(大阪市都島区/桜ノ宮駅)

最終更新日:2019/08/28

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桜ノ宮駅から徒歩5分にある「小川歯科医院」。中小企業が多い地域で、来院する患者さんの歯のメンテナンスや、虫歯、歯周病治療にあたる。その一方で、歯の根管に付いた細菌を除去する根管治療を行うなど、専門性の高い医療提供も行っている。院長の小川歓(おがわかん)先生は、大阪歯科大学で細菌の研究をし、歯内療法学の分野における臨床研究の論文も発表している。根尖性(こんせんせい)歯周炎であっても、根管治療により、細菌に感染した歯を抜歯せずに済む場合があるという。院長の小川歓先生に、日頃の患者の健康管理から、専門分野の歯内療法のことまで、話を聞いた。
(取材日2017年5月30日)

細菌学、感染学的に清潔な診療所をめざす

先生がこちらで開業されたきっかけを教えてください。

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祖父、父と歯科医師で、私は3代目になります。祖父は大阪市港区で開業していたそうです。父の代になって桜ノ宮に移転し、1987年に、父の診療所を都島区都島南通に移転し、歯科医院を開設して30年になります。院内は決してピカピカではありませんが、見栄え上も細菌学的、感染の観点からもきれいで清潔な診療室を日々心がけています。昨今、歯科用切削器具の使い回しが問題になっていますが、あれは器具内に患者さんの唾液を吸込み放置する事で感染の原因になるのです。当院では吸込み防止装置付の器具を用い、さらに毎回消毒することで非感染レベルを保っています。根管治療では、細菌がいなくなるまで丁寧に殺菌消毒しなければなりませんから、治療の速度がややまどろっこしく感じられるかもしれませんが、早さを売り物にする治療はめざしておりません。

どのような患者さんが来院しますか?

患者さんもドクターとともに年を取っていくので、年代としては、私と同年代が多いでしょうか。父が診ていた患者さんは、現在では女性のみです。当院は患者さんが二分化していて、ひとつは、中小企業が多い地域なので、日中に仕事の合間を抜けられる人や天満で商店を営んでいる人が、日頃の歯のメンテナンスや、虫歯・歯周病治療で来院するパターン。もうひとつは、他院からの紹介や、ホームページなどで当院の情報を知り、歯内療法の治療を受けに来る患者さんです。根管治療について興味や関心のある人はインターネットで検索して当院に来られます。セカンドオピニオンというよりも他院でできなかった治療の受け皿といったほうがよいでしょうか。ただ、この根管治療は保険適用外の自費治療になるので、「そこまでしなくても」という患者さんと「では、お願いします」という患者さんと分かれます。

患者さんを診察する中で気づいたことがありましたら教えてください。

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よくある例で、虫歯はないけれど歯の噛み合わせが悪いことに気づいていない人がいます。「噛み合わせが悪い」と「歯並びが悪い」ことは別で、歯並びが良くても噛み合わせが悪い人もいて、そういう人は歯周病が憎悪しやすいです。噛み合わせが悪い人は、噛むときに余計な力が加わり、少しずつ歯と歯茎を傷めることになります。噛み合わせが悪いと「顎関節症」になったりしますが、根本的な治療法はなく、噛んだときの影響力を弱めるためにマウスピースを入れることで緩和します。しかし、それは治療ではなく対症療法にすぎません。日々診察する中で、口の中を見てそういうことを見極められることも歯科医師の役割だと思います。

自分の歯を長く使えるための「根管治療」

根管治療とはどのような治療ですか?

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歯の神経や血管が炎症を起こす歯髄炎になった場合、抜髄(ばつずい)と呼ばれる歯の神経を抜く治療をします。一度、歯髄炎になってしまった場合、たとえ薬などで一時的に痛みが和らいだとしても、元の健康な歯髄に戻ることはありません。このような場合は、炎症を起こした歯髄を取り除かなければなりません。ところが抜髄をした後、細菌に感染して、何年か経過してから腫れることがあります。そこで、歯の根管に付いた細菌などを除去する治療方法を根管治療といいます。最近は、インプラント治療がはやっており、歯が細菌に感染してしまうと早々に歯を抜いてインプラント治療を勧める歯科医師も多いですが、「できれば自分の歯を抜きたくない」という患者さんもいますよね。根管治療により、細菌に感染してしまった歯を抜歯せずに済む場合があります。ケースバイケースなのですが、他院よりも治るか治らないかの判断基準が緩やかだということです。

先生は著書や論文も執筆されているそうですね。

はい。1冊目は細菌について、2冊目は無菌根管について編集した本です。また、アメリカの歯内療法学会の公式雑誌にも、歯内療法学の分野における論文や症例報告、歯内治療における器具や材料、治療法の違いの比較などを掲載しています。私の論文では、枯草菌(納豆菌の近縁種)が歯内から検出された例を挙げています。根管治療を行う上で最大の敵は細菌であり、いかに細菌を除去するが根管治療のキーとなります。

根管治療を学ぼうと思ったきっかけはありますか?

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実は逆の発想です。抜髄をすることにより、「根尖性歯周炎」を招くことがあります。歯の神経を取ったのに、いったいなぜ細菌に感染するのか、という疑問から臨床研究を行いました。まず、口の中には常在菌がたくさんありますが、本来、健康な歯の歯髄や根尖部組織は無菌です。にもかかわらず抜髄歯の歯髄が細菌に感染しているのはいったいなぜなのか。常在菌層なのか、それとも病原細菌なのかがわからない。しかし、歯髄から出てきた菌は病原細菌だろうということで、それを叩く治療をすれば治るのではないか、という研究をし、20年以上前に歯科医師向けの講習会を始めました。今でも皆で臨床研究の論文を書いています。それから、この春から大阪歯科大学の歯内療法の教室に籍を置いています。

患者の口腔管理から専門性の高い医療まで

印象に残っている患者さんやエピソードなどはありますか?

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「タバコを辞めた」と言う患者さんが2ヵ月後には虫歯だらけになって来たことがありました。「口寂しいから」とガムを噛むようになったんですね。唾液には緩衝能力といって、甘いものが口に入ると唾液を出して糖濃度を抑え、イオン交換で酸性から中性に戻そうとする働きがあります。ところが、長時間甘いものを食べるとずっと口の中が酸性になってしまうので、初期う蝕が虫歯になってしまいます。子どもはいったん甘いものを覚えたら好きになりますから、時間を決めて食べるようにさせるなどの指導が必要ですね。あめやチョコレートをずっと食べているのも良くないです。ですが、そういった知識があれば虫歯を防ぐことができますよね。一人暮らしの高齢女性は、間食が多いので虫歯や歯周病になりやすいです。嫌がっている人に無理強いしても歯を磨かないので「いつだったら歯を磨けますか?」と歯科衛生士がじっくり時間をとってブラッシング指導しています。

どのような歯科医師をめざしていますか?

世の中のどのくらいの割合の人が歯科に通院しているのでしょうか。定期的にかかりつけの歯科に通っている人もいれば、たまに歯石の除去のみの人もいますよね。でも、歯科に行かない人は本当に虫歯や歯周病と無縁なのかというとそうでもないような気がします。虫歯のひとつでもあれば歯科に行くきっかけになりますが、例えば虫歯はないけれど噛み合わせの悪い人が20年ぶりにレントゲンを撮ってみたら、歯周病で手遅れの状態になっていた、ということもあり得るわけです。そう思ったとき、せめて来院する患者さんの要求レベルに合わせたメンテナンスをやっていける医師になりたいと思っています。

今後の展望などありましたらお聞かせください。

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ひとつは地域のさまざまな年代層の口腔管理やメンテナンスを続けていくこと。もうひとつは専門性の高い医療提供をしていくこと、私の専門分野である根管治療ですね。他院で治せない症例を治せる医師をめざしたいと思います。最近、抜髄をした際のファイル(針状の器具)の先端が破折して、十数年にわたって歯の中に残っているケースの治療にあたったことがありました。取れるかどうかチャレンジしてみたら奇跡的にファイルが取れ、患者さんはたいへん喜んでいましたね。やはり患者さんに喜ばれる医師になることが一番じゃないでしょうか。

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