歯ぎしり・食いしばりを防ぐため
原因を探ってストレス緩和へ
豊田歯科医院
(大阪市天王寺区/桃谷駅)
最終更新日:2025/11/13
- 保険診療
歯は単なるパーツではなく、脳や身体と密接につながる“システム”。ストレスなどで脳や自律神経が緊張すると、無意識のうちに食いしばりや歯ぎしりが起こり、筋肉が過度に緊張し続けてしまう。これが長期化すれば、噛み合わせが乱れ、歯の損傷・頭痛・睡眠の質の低下など、全身の不調へ広がることも珍しくない。治療としては、ストレスの原因を見極め、生活の中で緊張をリセットする時間の確保や、ウォーキングやストレッチなど、筋肉のこわばりをほどくことも有用だ。「豊田歯科医院」の豊田達昭院長は、患者の性格や生活背景、ストレスの感じ方まで丁寧に把握しながら、噛み合わせを正しく整えることを治療の基礎に取り組んできた。今回は、噛み合わせと脳・身体の関係、そして歯ぎしりや食いしばりの原因、予防・対策について話を聞いた。
(取材日2025年10月14日)
目次
ストレスに起因する食いしばりや歯ぎしり。脳の緊張を解き、噛み合わせの悪化を防ぐための対策を
- Q噛む動きは、脳とどのようにつながっているのでしょうか?
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A
▲食いしばりや歯ぎしりなどは、噛み合わせの悪化につながる
歯の根元には歯根膜感覚受容器という圧力センサーの役割を持つ部分があり、噛んだ時の力や位置を感じ取り、その情報がすぐに脳へ伝わるようになっています。脳はその信号を受け取り、「少し力を抜こう」「しっかり噛もう」と顎の筋肉に指令を出し、食べ物の硬さや形に合わせて噛む力を調整しています。顎の関節や筋肉にも同じようなセンサーがあるため、私たちは無意識のうちに“噛みやすい位置”へ顎を動かしているのです。そのためにも、インプラントやかぶせ物など、どんな歯科治療でも、最終的に上下の歯がきちんと噛み合うことが大切。筋肉や関節が必要以上に緊張せず、自然な状態で動けることが、健康的な噛み合わせにつながっていきます。
- Qストレスが噛み合わせに影響するのは、なぜですか?
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A
▲歯科治療の基礎となる噛み合わせの改善に注力する院長
もちろん個々の感受性によって異なりますが、人はさまざまな場面、例えば仕事の人間関係、介護や子育て、家庭内のトラブル、受験、イレギュラーなことが起こった時など、ストレスを感じると脳が緊張します。そうすると、眠っている間に食いしばりや歯ぎしりを起こしやすくなります。睡眠中の食いしばりは顎の筋肉を緊張させ、睡眠の質の低下、起床後の頭痛や吐き気などの症状を引き起こし、また、それによって噛み合わせのバランスが崩れると体にさまざまな影響が出ます。片側だけで噛む癖があると顎の筋肉の緊張に偏りが生じ、その緊張が首や肩に広がって、頭痛の原因になることもあるなど、歯の健康が脳や体に及ぼす影響は大きいのです。
- Q脳の緊張を和らげる方法はありますか?
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A
▲食いしばり対策として、定期的な運動も推奨される
生活のどこかで脳の緊張をリセットする時間を確保することが大切です。脳の緊張から来る食いしばり対策として、定期的な運動をお勧めします。週に2~3回、30~40分ほどのウォーキングで、緑がたくさんある自然の中できれいな空気を吸う、午前中に日光を浴びるのも良いですね。また、緊張を和らげるための顎のストレッチも良いでしょう。こめかみを抑え、顎を左右、そして前に動かした後、口を大きく開けます。体の代謝が促進され、脳への血流が増加することで、脳の緊張が和らぎ、顎の筋肉のこわばりも改善されていきます。
- Q食いしばりや歯ぎしりを放置すると、どうなるのでしょうか?
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A
▲原因となるストレスを緩和し脳の緊張をほぐすことが重要
まず歯がすり減って噛み合わせに不具合が生じます。その結果、歯を支える歯根膜が炎症を起こし、知覚過敏や咬合痛といった症状が現れることもあります。当院では、噛み合わせそのものを正しい顎の位置に再構築していくために、取り外し可能なスタビライゼーションというマウスピース型装置を用いた噛み合わせの補正を行っています。咬筋や側頭筋など顎を動かす筋肉の緊張を和らげることで、歯や関節に余分な負担をかけず、自然で安定した噛み合わせへ導くことができます。「噛む」という行為は脳への重要な刺激。適切な歯並びでしっかりと噛むことで脳の血流や神経活動を活性化させ、全身の健康を維持することにもつながります。
- Q実際の治療では、どのように進めていくのですか?
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A
▲普段からできるトレーニング方法もわかりやすく説明
いきなり歯そのものだけを見て治療に入るのではなく、「いつ頃から症状が出ているのか」「食いしばりを自覚したのはいつか」などを伺いながら治療の方針や計画を決めていきます。問診時に関節症状が認められた場合はCT撮影なども行いますが、まずは職業や家庭環境について、症状が出る前に起こった家族の病気や入院、子どもの受験など普段の状態と変わったことなど可能な限り患者さんの背景に踏み込んでストレスの要因を明らかにし、つらい部分に寄り添うことを大切にしています。患者さんには頑張りすぎていたことを自覚してもらい、認知行動療法のように、治療や緊張をほぐすために運動などを意識的に行うことが大切です。

