岸 直徳 院長の独自取材記事
岸歯科医院
(大阪市西淀川区/加島駅)
最終更新日:2025/01/28

古くからある工場と新しい住宅が入り交じる町並みに、そっと溶け込むように建つ「岸歯科医院」。同院は60年以上の長きにわたり地域に根差し、開院当初から常に患者に寄り添った診療を大切にしてきた。先代の想いを引き継いだ岸直徳院長が、現在も患者のため、真っすぐに、真摯に診療に向き合っている。「先代の時代からずっと通ってくださる患者さんもいるんです」。そう話す岸院長からは、地域の患者に対する感謝の想いがひしひしと伝わってくる。物腰がやわらかく、言葉を選んで丁寧に話す岸院長の言葉一つ一つからは、誠実な人柄がにじみ出ているようだ。自身の子どもの話ではぱっと笑顔になり、良き父親の一面も。そんな岸院長に、クリニックのこれまでの歩みや診療時の心がけ、得意とする治療、休日の過ごし方など、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2023年8月8日)
地域の患者にとって通いやすいクリニックでありたい
開院から60年以上とたいへん歴史のあるクリニックですが、これまでの歩みを教えてください。

このクリニックは、父が大学を卒業してすぐに開院し、以来ずっとこの西淀川区で診療をしています。最初は、ここから20mくらい離れた場所で開院したのですが、水害で浸水しまして、1970年頃にこちらに移転しました。父は本当に一般歯科を真面目にやってきた人で、地域の患者さんに寄り添った診療を開院当初からしていました。私自身手先が器用なこともありますが、歯科医師になったのは父の影響が大きいです。私が引き継いだのは2005年になります。2001年の9月にこちらに帰ってからしばらく一緒に診療していたのですが、父が体調を崩したこともあり、私が引き継ぎました。引き継いでかれこれ20年ほどたちます。
来られている患者さんはどういった方が多いですか?
もともとこの辺りは工場街でしたので、昔は今より多くの工場が立ち並んでいました。そういった土地柄もあって、当院に来られるのも、工場の工員さんですとか、近所に住んでいる家族の方がメインです。一家で通ってくださっている方も多いので、お子さんから高齢の方までお越しいただいています。最近はJR東西線が通ったこともあり、マンションが駅周辺にできて新しい戸建ても建つようになり、若い方も増えてきています。主訴の割合としては、入れ歯が4割、歯周病が3割、入れ歯以外の補綴が3割といったところでしょうか。患者さんの年齢層は高齢の方はもちろん、家族3代で来てくださっている方もいらっしゃるんですよ。本当にありがたいです。
こちらでは予約制を取っていないと伺いました。

患者さんが通いやすいように、あえて予約制にしていないんです。高齢の方はここだけではなくて他にも行く病院をたくさん抱えていて、病院をいくつか回られた後にこちらにお越しになる方も多くおられるので、病院が混んでいると間に合わないということがあるんです。そうなると患者さんに気を使わせてしまうので、予約制にせず、いつでも来てくださいというスタイルでずっとやってきました。ある程度来院いただく日時はお伝えしますが、「その日に来られなくても、いつでもいいですからね」とお伝えしています。また、会社勤めの方ですと、今痛いけど明日出張といったこともあります。働き世帯の方は忙しくて、今診てほしいということもあると思いますので、ご自身のご都合に合わせてご来院いただけるようにしています。
会話と説明を大切に、患者が納得してから治療に進む
患者さんと接する上で気をつけていることや、大事にしていることはありますか?

患者さんお一人お一人に合わせていくということです。高齢の方はゆっくりお話をするようにしていますし、耳が遠い方も多くおられますので、声が届くように気をつけています。あとは、会話と説明をしっかりとするようにしています。患者さんに安心して来ていただけるよう丁寧に説明をして、納得していただいてから治療に取りかかるというのは心がけています。また、治療前には悪い所を鏡を使って見ていただくようにしていますね。それはお子さんであっても変わりません。お子さんにもお話をして鏡でお見せして、できる限り納得してから口を開けていただくようにしています。
院内に歯科技工室があるのですね。歯科技工士さんが常駐されていらっしゃるのですか?
はい。父の代からずっと同じ方がいてくださって、ベテランの技工士さんです。私も小さい頃から面倒を見ていただいている方で、技術もしっかりされていますし、信頼しています。入れ歯の修理でしたら小一時間くらいで終わりますので、少し待っていただければお渡しできます。この辺りは時間をつぶすような所があまりないので、患者さんをそこまでお待たせせずに修理してもらえるのは、ありがたいです。補綴物も日数をかけずお渡しするようにしています。やはり技工士さんが近くにいるというのは、直接患者さんのお口の中を見てもらえてコミュニケーションもすぐ取れるので、とても助かりますね。写真や文章だけだと伝えきれないところがあるので、直接見てもらえるのは大きいと感じます。
得意とされている治療は何ですか?

大学を卒業してから口腔外科にいましたので、基礎疾患がある方への治療ですとか、親知らずの抜歯は問題なく対応できます。高齢の方はなんらかの基礎疾患を持っておられますので、そういった方に対応して、適切にできるようにとは考えています。あとは、レジン充填ですね。簡単に言うと虫歯を削った後にプラスチックを詰める治療ですが、保険診療内で、審美面に配慮しながら、きれいに仕上げるように心がけています。当院では米国メーカーの3Dシステムを使用しており、奥歯の隣接面の症例も自信があります。
患者に寄り添い、技術を備え、求められる医療の提供を
スタッフさんはどういった構成ですか?

私と歯科技工士と受付、歯科助手が3人います。歯科衛生士がいないので、スケーリングと呼ばれる口腔内の掃除も私が行っているんです。そのほうが患者さんも安心されますし、私自身あまり人任せにはしたくないので、責任を持って自分で行うようにしています。スタッフさんは、この近辺に住んでいる方たちばかりですので、患者さんには親しくお付き合いしていただいています。地域に密着した対応をしていくためにも、スタッフさんはなるべくこの地域にお住まいの方にお願いしています。今働いてくださっているスタッフは、皆さんベテランばかりです。安心してお任せしています。
休日はどのように過ごされていますか? また、先生自身が健康のために気をつけていることを教えてださい。
休日は子どもと過ごしています。息子が2人いるんですが、趣味でバイクに乗りますので、休みの日に子どもを後ろに乗せて走ったり、買い物に行ったりもします。どこかに子どもを送る時もバイクの後ろに乗せて行くんですよ。長男は早く免許が取りたいと言っています。2人とも思春期ですが、仲は良いです。小さい頃から機械をいじるのが好きでしたので、バイクの整備も自分でするんです。ただ、通勤でもバイクをよく使うようになったら一気に体力が落ちてしまって、今はバイクの比重を減らして、歩いて通勤するようにしています。あとは皆さんやっておられるように、エレベーターは乗らず階段を使うようにして、なるべく日常生活の中で動くようにしています。
今後の展望と、地域の皆さんにメッセージをお願いします。

ゆくゆくは院内を改修して、バリアフリー化したいと考えています。また、「保険診療の中できれいに、長持ちして、痛くない治療」をモットーに、新しい医療を取り込んだ上で、患者さんに求められる医療を提供していきたいです。新しい素材や歯の中に入れるお薬も、良いものがあると聞けばすぐに取り入れるようにしていますし、常に新しいものに目を光らせて、勉強を続け、より良い治療を患者さんに提供しようと努めています。そして、今後も地域の患者さんが通いやすいクリニックでありたいです。通っていただいている患者さんには、例えば「次は一週間後に来てくださいね」と言った後でも、「痛かったら今日もう一回来ても、明日や明後日に来てもいいですからね」とお伝えするようにしています。困ったときは気兼ねなく、いつでも相談してください。