村上 真希 院長の独自取材記事
村上歯科医院
(高槻市/高槻市駅)
最終更新日:2026/05/15
高槻市駅から徒歩8分。国道171号線から一つ道を入った住宅街に、緑の看板を掲げる「村上歯科医院」は、1956年以来、祖父、父、現院長と3代にわたり地域の歯科診療を支えてきた。2026年1月に3代目として院長を継承した村上真希先生は、一般企業での勤務を経て24歳で歯学部へ進学し、30代から臨床の道を歩み始めたという。「祖父と父が築いてきた患者さんとの信頼関係を、大切に受け継いでいきたい」と語るその言葉には、地域医療への確かな志がにじむ。先代から受け継いだ対話を重んじる姿勢を守りつつ、予防歯科の導入や歯科技工所の見直しなど品質の向上にも妥協がない。他院での勤務を通じて新しい知見も吸収し続ける村上院長に、継承への思いや診療の姿勢について聞いた。
(取材日2026年4月1日)
親の背中に見たやりがい。3代70年の歯科医院を継ぐ
まずは、御院の成り立ちについて教えてください。

当院は1956年に現在の形態となって以来、祖父、父に続いて私で3代目の院長になります。高槻市駅から徒歩圏内の住宅街にある自宅兼診療所として、この地域に根差した診療を長年続けてきました。患者さんの中には3世代にわたって通い続けてくださるご家族もおられるんですよ。2026年1月に正式に院長を継承しましたが、3〜4年前から父とともに診療にあたっていましたので、患者さんにとっても自然な形での引き継ぎだったのではないかと思います。地域の方々と歩んできた70年の歴史は、かけがえのないものです。これからもしっかりと守っていきたいですね。
先生が歯科医師を志したきっかけを教えてください。
祖父も父も母も歯科医師という家庭環境ではありましたが、「歯科医師になりなさい」と言われたことは一度もなかったんです。大学を出た後は歯科とはまったく無縁の一般企業で数年間働いていました。ところが社会人としての日々を送るうちに、親がやりがいを持って患者さんと向き合っている姿をたびたび思い出すようになったんですね。自分も同じように医療を通じて人と関わりたい、役に立ちたいという気持ちが自然と湧いてきました。自分にとって一番身近な医療は歯科でしたから、24歳で歯学部への進学を決意しました。周りには驚かれましたけれど、遠回りをしたからこそ、自分で選んだ道なんだという覚悟を持っています。
歯学部卒業後はどのようなキャリアを歩まれてきたのですか。

歯学部は6年制ですので、臨床を始めたのは30代に入ってからでした。卒業後はすぐに当院に戻るのではなく、さまざまな歯科医院で一般診療を中心に経験を積みました。いろいろな歯科医院を見ることで、診療のスタイルや患者さんとの向き合い方に幅があることを学べたのは大きかったですね。その後3〜4年前に父のもとに戻り、一緒に診療を始めました。70年かけて築かれてきたこの歯科医院も、患者さんとのつながりも、私が作ってきたものではありません。だからこそ、親の顔に泥を塗らないようにという気持ちで日々診療にあたっています。
父の姿勢を受け継ぎ、患者との対話を重ねる
どのような患者さんが来院されていますか。

現在は父の代からの患者さんがほとんどですので、入れ歯治療を必要とするご高齢の方が中心になります。先代と一緒に年を重ねてこられた方々が多く、先ほどお話ししたように、そのお子さんの世代も来てくださっていますが、「お子さん」といっても中年の方々なんですよ。ご家族ぐるみで何十年も通い続けてくださっているので、長い治療の積み重ねを踏まえながらお一人お一人の診療にあたることができます。当院は自宅兼診療所でしたから、私の幼い頃を知っている患者さんもいらっしゃいます。「あの真希ちゃんが先生になったんだね」と声をかけていただくことや、患者さんが父や祖父のエピソードを教えてくれることもあって、知らなかった家族の姿に出会えるのも、私にとっての喜びです。こういう温かなつながりこそ、この地域で70年続けてきた歯科医院の一番の財産だと感じています。
診療で大切にしていることを教えてください。
患者さんとの対話を何より大切にしています。父が長年そうしてきたように、「これが正しい」と一方的に押し付けるのではなく、まず患者さんの気持ちや希望をしっかり聞くことから始めるようにしています。例えば抜歯をためらっている方や、かぶせ物を保険診療にするか迷っている方には「もう1週間考えましょうか」と声をかけて、納得いくまで時間をかけます。父の診療を横で見ながら学び取っていったことなのですが、患者さんが望むことと私たち歯科医師が良いと考えることが必ず一致するとは限りません。焦らず、ゆっくりコミュニケーションをとりながら、患者さんのご希望に沿えるよう心がけています。
ご自身が変えたことや、新たに取り組んでいることはありますか。

入れ歯をはじめとする歯科技工物の品質にはこだわりたかったので、どの歯科技工所にお願いするかというところからじっくり検討しました。何度か歯科技工所を変えながら、自分が納得できる仕上がりを出してくれるところを探して、今の体制に落ち着いています。目に見えにくい部分ではありますが、患者さんの口に入るものですから妥協したくなかったんです。また、現在は当院の診療と並行して他の歯科医院でも勤務を続けています。勤務先は先進の医療を求める患者さんが多く、当院とはまったく異なる環境ですが、そこで得られる知見は大きな学びになっていますね。今すぐ何かを導入する計画はありませんが、必要な時に新しい技術を地域の診療へ還元できるよう、視野を広げておきたいと思っています。
予防歯科で患者の意識を変えたい。まずは気軽に相談を
新たに力を入れている分野はありますか。

父の代ではあまり取り組んでいなかった予防歯科にも、私の代からは力を入れています。基本的には3ヵ月ごとの定期検診をご案内していますが、もっと短い間隔を希望される方やゆっくりめのペースが合う方には柔軟に対応しています。歯科衛生士が予防ケアの面でとても頑張ってくれていて、本当に助けられていますね。自分の歯でしっかり最後まで噛むためには、毎日のセルフケアだけではなく、専門家の目を通すことで得られる気づきが大切です。最初は予防歯科になじみがなくても、続けて通ううちに口腔内がきれいになっていくことが期待できますし、意識も徐々に変わっていくと思っています。その変化を間近で見られることが、日々のやりがいにもつながっていますね。
今後、どのような歯科医院にしていきたいですか。
やりたいことはたくさんあるのですが、長い歴史のある歯科医院ですから、少しずつ自分の色に変えていけたらいいなと思っています。高槻市駅の周辺には歯科医院が数多くありますけれど、そのなかで当院を選んで足を運んでくださる方を何より大切にしたいですね。じっくりお話を聞いて、気持ちに寄り添える存在でありたいと思っています。歯科医師としてのやりがいは、やはり患者さんの喜びです。喜んでいただけた瞬間が一番うれしくて、この仕事を選んでよかったと素直に感じます。急な変化を求めるのではなく、患者さんとの対話を大切にしながら少しずつ前に進んでいく。そんな歯科医院でありたいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

歯に関することであれば、治療のことでなくても構いませんので、ぜひご相談ください。ちょっと気になることがある、誰かに相談してみたいという段階でも、まずは一度足を運んでいただけたらうれしいです。当院は階段を上がった2階にありますので少しだけ頑張っていただく必要がありますが、お越しくださったからには親身になってお気持ちに寄り添わせていただきます。上ってきてもらう価値はあると自負しています。一般歯科の範囲を超えるご相談であれば、適切な医療機関をご紹介することもできますので、地域の歯の相談窓口のような気持ちで気軽に声をかけてください。3代にわたる歴史を受け継ぎながら、お一人お一人にじっくり向き合い続けていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは自由診療のかぶせ物/7万円~、自由診療の詰め物/5万円~、自由診療の入れ歯(部分)/8万円~

