辻田 義展 院長の独自取材記事
辻田歯科医院
(守口市/守口市駅)
最終更新日:2025/05/15

京阪本線・守口市駅西口から、高架に沿って南西へ約5分、マンション2階に「辻田歯科医院」がある。院内は、効果的にアール(曲線)を取り入れ、近代美術の絵画が飾られるなど、落ち着いた高級感のある雰囲気で統一されている。院長の辻田義展(よしのぶ)先生は、勤務医として経験を積む中で、治療を繰り返すことに疑問を感じ、さまざまな勉強会などに参加。アメリカの歯科医師による診療哲学と出会い、現在の診療スタイルを確立させていった。「単に治療を提供するだけでなく、歯科治療を通して患者さんを幸せへと導くべき」と考える辻田院長に、同院の特色ある診療スタイルや、その土台となっている診療ポリシーなどについて語ってもらった。
(取材日2025年4月25日)
歯科医師には技術に加えて哲学が必要
どのような患者さんが来られますか?

開業した当時は、先代の院長から引き継いだ年配の患者さんが多かったのですが、最近は矯正治療を手がけていることもあり、20代〜30代の若い社会人の方も来られます。今受けている治療や予防ケアでは将来的に不安があるとして、相談に来られる50代〜60代の患者さんも多いですね。
患者さんとの接し方で心がけておられることは?
リラックスしていただくことです。痛みなどがあって受診する場合、喜んで歯科医院に通院される方は少ないと思います。僕自身でさえ、あまり好きな場所とは言えません(笑)。だからこそ、不安や緊張をほぐしていただけるよう、言葉がけなどに注意しています。また、治療後も予防ケア、メンテナンスのため通院していただく必要があるので、通いやすい雰囲気づくりも大切ですね。僕だけでなく、スタッフの印象も大切で、当院のスタッフはみんな優しく、丁寧に患者さんに接してくれています。
先生の診療の基本となっている診療哲学との出会いについて教えてください。

歯科大学を卒業して、大学病院の口腔外科やさまざまなクリニックで診療を経験しましたが、歯科医師として理想の歯科診療、納得できる診療を提供できる機会に巡り会えませんでした。当時はまだ、理想の歯科診療の具体的なイメージはなかったのですが、虫歯などの再発によるやり直しの治療が多く、治療した歯がなぜ再び悪くなるのかと悩み、できるだけやり直しが少ない治療を提供したいと考えたのです。
治療の繰り返しに疑問を持ったということですね。
歯は治療を繰り返すと寿命が短くなってしまうといわれています。それで、さまざまな勉強会に参加するようになり、アメリカの歯科医師であるパンキー先生の「パンキーフィロソフィー」を日本で実践している先生に出会いました。患者さんのことを第一に考えて治療に取り組む先生で、単に治療を提供するのではなく、治療を通して患者さんを幸せへと導くべきだという考えにふれ、自分が求めていた理想の歯科治療だと思いました。フィロソフィーは日本語では「哲学」という意味です。歯科治療においては、先進的な技術がもちろん大切ですが、その根本には歯科診療についての哲学がなくてはならないと思っています。
精密な検査に基づき長期プランを作成
先生の診療ポリシーを教えてください。

パンキーフィロソフィーと出合ったことで、悪くなった部分を削って詰める治療に追われるのではなく、その根本原因の追究を重視するようになりました。治療を行う部分だけでなく、患者さんのお口全体、顎などのお口周り、さらにお口の健康と密接な関係にある全身の健康状態なども視野に入れて、健康な状態をできるだけ長く維持できるよう、長期的な診療プランを立てます。こうした治療を実践するためには、患者さんのお口やお体の状態を把握する必要があり、当院の場合、受診のきっかけとなった痛みなどの治療を行った後、悪くなる根本的な原因を調べる3日間の「デンタルチェック」をご案内しています。
どのような検査を行うのですか?
1日目は歯に関するさまざまな資料を収集するために、エックス線検査、口腔内の写真撮影、唾液検査、歯型の採取、噛み合わせの検査、全身の状態を調べる検査、場合によっては歯科用CTの撮影などを行います。2日目には、採取した資料やデータを患者さんと一緒に見ながら、お口の中の状態や問題点ついて説明する「共同審査」のための時間を持ちます。その上で、治療が必要な方には、3日目に治療計画や予防ケアプランを提案するという流れです。当院の場合、自由診療が中心なので、提案するすべての治療やケアを行うのは難しいとおっしゃる患者さんにもおられます。大切なのは、現時点よりも悪くならないことなので、そうした場合にはどの治療やケアから行うべきか相談しながら進めます。
本人が気づいていない問題も見つかりそうですね。

痛みなどを感じている部分以外にも、潜んでいる疾患や問題点が見えてきます。特に噛み合わせのバランスが悪いと、歯や詰め物・かぶせ物が欠けてそこから虫歯になったり、骨が弱い方は歯周病リスクにつながったりするだけでなく、顎に負担がかかって顎関節症にもなってしまいます。噛み合わせの不具合は、さまざまな口のトラブルを引き起こす大きな要因の一つなのですが、患者さんが自覚するのは難しく、トラブルを未然に防ぐためにも検査が必要です。一貫した検査で原因が明らかになれば、歯が悪くなる根本原因の解消が期待でき、歯をより長く良い状態に保つことにつながります。
自由診療を中心にしている理由を教えてください。
何らか問題を抱えて来院された患者さんに、保険診療を継続しても、再発・再治療を繰り返すことになってしまうリスクが高いと考えています。自由診療と保険診療では、使用できる材料や設備が異なるといわれますが、診療時間の差にも注目していただきたいですね。保険診療の時間枠内で、丁寧で精度の高い治療を提供するのは、難しい面があります。当院では基本的に、1人の患者さんに1時間程度、場合によっては2時間以上もの時間を確保するようにしています。例えば、歯の痛みを訴えて受診された患者さんの場合は、その痛みを鎮めることが優先されますので、保険診療で対応することもあります。ですが、その後、さらに別の治療をする必要がある方や、当院で定期ケアを続けたいと希望される方の場合は、当院が自費診療に力を入れている理由をしっかりお伝えしています。その上で、判断をお願いしていますね。
患者の生活スタイルに合わせた予防ケア
予防にも力を入れておられますね。

診療の第一段階として予防プログラムを設定しています。プラークコントロールのために歯磨きの仕方やデンタルフロスの使い方などをアドバイスするとともに、患者さんに5日間の食物日誌を書いていただき、その方の食生活の傾向や問題点などを確認して、アドバイスを提供しています。例えば、深夜のお仕事の際に眠気解消のためにガムを噛んでいる、スポーツをしていてスポーツドリンクをよく飲むという場合、虫歯のリスクが高くなってしまうので、注意が必要ですね。体に良いとされるお酢も、歯が溶ける原因の一つに挙げられており、それを理解した上で摂取することが大切です。
定期検診も欠かせませんね。
もちろんです。当院では、患者さんのお口の状態に合わせて、2〜6ヵ月ごとの定期検診をご案内しています。最近は、患者さんとSNSでやりとりすることも多いので、定期検診の時期になったら連絡をし、反応がなければ再度連絡するなどの対応を取っています。あまりしつこくお知らせするのもどうかなとは思うのですが、せっかく治療をしても、メンテナンスをしないとまた悪くなってしまうことも考えられますからね。特に歯周病は、気づかないうちに進行して、気づいたときには抜歯を余儀なくされる状態まで悪化していることも多い疾患です。歯はきれいな状態でも、歯を支えている骨がダメージを受けて、抜かなければならないケースもよくあり、定期的な歯科医院での検診が必須です。
今後の展望を教えてください。

これまでどおり、できるだけ再発・再治療のリスクが低い治療の提供に努め、治療だけでなくお口をより健康な状態に保つため、ご自身の理想に近いお口をめざすために、通っていただける場所にしたいと考えています。また、これからは全身の健康を考えた歯科診療、エイジングを考えた歯科治療の提供に注力していきたいですね。ホワイトニングなどにもさらに注力して、歯やお口がきれいになることで、この状態を長く保ちたい、大切にしたいという気持ちが生まれ、これまで以上に歯を大切にされる方が増えてほしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/55万円~、インプラント治療/30万円~、ホワイトニング/3万円~
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。