川本 明徳 院長の独自取材記事
川本歯科医院
(東大阪市/八戸ノ里駅)
最終更新日:2026/07/15
八戸ノ里駅から南へ徒歩15分、府道沿いにモダンな外観が目を引く「川本歯科医院」がある。1981年に先代院長夫婦が開院し、40年以上にわたり地域の歯科医療を支えてきた。木目と白を基調にした院内は温もりにあふれ、アロマが香る待合室が患者を迎える。2020年に2代目として院長を継いだ川本明徳先生は、大学病院の補綴咬合治療科で噛み合わせや入れ歯を専門に学んだ後、幅広い分野で研鑽を積んできた。「苦手な分野がないことが強み」と語り、中でもかぶせ物や入れ歯には職人のようなこだわりを見せる。他院を受診した患者が悩みを抱えて訪れることも多く、訪問診療にも情熱を注ぐ。気さくな語り口の奥に歯科医療への情熱がにじむ院長に、診療への思いを聞いた。
(取材日2026年6月8日)
治療体験を原点に、継いだ歯科医院をぬくもりの空間へ
まずは、クリニックの成り立ちと先生が院長になられた経緯をお聞かせください。

当院は1981年に、ともに歯科医師だった両親が夫婦で開院しました。地域密着型の歯科医院として、これまで診療を続けてまいりました。私自身はこの建物で生まれ育ち、小学校時代の友人が今でも通ってくれるほど、地元との縁が深い歯科医院でもあります。院長を継いだのは、父が急逝したことがきっかけでした。当時は研修医だったのですが、人手が足りないため早くこちらに戻る決断をしたのです。院長就任後は、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届け出をはじめ、診療体制の改革にも着手しました。これからの当院に必要なことだと信じて一つずつ進めていき、より良い形にできたと感じています。
先生ご自身はどのような研鑽を積まれてきたのですか?
大阪歯科大学を卒業後、噛み合わせやかぶせ物を専門とする大学病院の補綴咬合治療科に入局しました。実は学生時代、入れ歯の設計が苦手分野でして、このままではと思ったのがきっかけです。ところが改めて実際に学んでみると、その奥深さに夢中になりました。入れ歯は一人ひとり設計がまるで違い、歯の傾きが少し異なるだけでも構造が変わってくるんですね。並行して豊中市の歯科医院にも勤務し、自分で考えて動くことが求められる環境の中で、自由診療のかぶせ物や噛み合わせ治療の技術を磨きました。他院で入れ歯や噛み合わせの治療がうまくいかなかった方を診る機会も多く、丁寧に再治療を行うことで信頼につながる手応えを得ました。月に3〜4冊の専門書を読み込み、セミナーにも足を運ぶなど、苦手な分野をつくらないよう研鑽を重ねてきたつもりです。
院内は木目調の温かな雰囲気で、リラックスできそうですね。

私が幼い頃に受けた歯科治療では、痛みや怖さを感じることも少なくありませんでした。その記憶があるからこそ、患者さんに少しでもリラックスしてもらえる空間にしたいと思い、院長就任後に院内を全面的にリニューアルしました。以前はいかにもクリニックという雰囲気だった内装を木目調の温かみのあるものに改め、チェアもソファーのように座り心地の良いものに入れ替えています。診察室には大きなモニターを設置して、口腔内の写真を映しながらわかりやすく説明できるようにしました。待合室の壁には動物の絵も飾っていますので、診察の前後にほっとしてもらえたらうれしいですね。バリアフリー設計は両親の代から引き継いだもので、車いすを利用される方にも安心していただける造りです。
「苦手がない」を強みに、訪問先でも丁寧に寄り添う
先生の強みを教えていただけますか?

幅広く何でも診るというスタンスの中で、強いていえば「苦手な分野がないこと」が自分の強みだと思っています。その中でも特にかぶせ物や噛み合わせ、入れ歯の治療を得意としていて、細部にこだわる時間が一番好きかもしれません。当院は駅から少し距離がある分、最初に選ばれることは少ないのですが、他院で治療を受けたものの悩みが解消しなかった方が来てくださることが多いんです。噛み合わせを整え直したり、合わなかった入れ歯を丁寧に作り直したりさせていただきます。そうした方がそのまま定期的に通ってくださるようになると、やはりうれしく感じますね。これらのほかにも、一般歯科からインプラント治療、口腔外科、マウスピース型装置を用いた矯正まで対応しています。
通院が難しい患者さんへは、どのように対応されていますか?
父の代から訪問診療には力を入れています。私が継いだ当初、訪問診療でできる治療は入れ歯の作製や抜歯に限られていましたが、それではいけないと思い、ポータブルの切削器具やエックス線検査装置を持参して、根管の治療やかぶせ物などまで院内と同等の診療ができる体制を整えました。私は訪問診療が好きで、大きなやりがいを感じているんですよ。設備に制約がある中で工夫しながら診療を進める感覚が性に合っていますし、訪問では比較的じっくり時間をかけて診ることができます。患者さんもご自宅だとリラックスして治療を受けられるでしょう。在籍する7人の歯科医師全員が、訪問診療に参加する体制で取り組んでいます。
患者さんと接する際に大切にされていることは何ですか?

子どもの頃から歯の治療をたくさん受けてきたので、どこまで処置を進めたら痛みが出るかという感覚が体にしみついています。「この先は痛いだろうな」と察したら、先に麻酔を打つ。そうした痛みへの配慮は、自分が散々痛い思いをしてきたからこそできることだと思います。もう一つ大切にしているのは、痛みの本当の原因を探ることです。患者さんが「ここが痛い」とおっしゃる場所と実際の原因が違うケースは意外と多く、いつからどのように痛むのかを丁寧に聞き取ります。その上で、患者さんがどこまでの治療を望んでいるかを確認し、選択肢をできるだけ多くご提示するようにしています。そこを飛ばして進めると不信感につながりかねませんから。初診の際は特に時間をかけてお話を伺っています。
歯科技工士と協働し、踏み出す一歩を支えたい
かぶせ物や入れ歯の精度を支える体制について教えてください。

院内に歯科技工士が常駐していることは、当院の大きな特徴です。通常の歯科医院では、削った歯の歯型を外部の歯科技工所に送り、かぶせ物や入れ歯の製作を依頼します。その過程で削りが足りなければ再来院が必要になりますし、入れ歯が複雑に割れた場合は修理に数日かかることも珍しくありません。当院では歯科技工士がすぐそばにいるので、入れ歯の破損もほぼ即日から翌日には修理できます。さらに、歯の角度や形状をミリ単位で調整する際、作り手である歯科技工士と一緒にその場で確認できることも利点です。患者さんの要望を直接共有しながら作り上げていけるので、仕上がりの精度がまるで違ってきます。削り具合の確認から微調整まで院内で完結するのは、患者さんにとっても通院の負担が少ないと思います。
そのほかに、設備やスタッフ体制の面で特徴はありますか?
最近導入した口腔内スキャナーは、光を当てて写真を撮るように型採りができる機器です。従来の型採りに伴う不快感が少なく、工程の中で生じる誤差も少ないため、かぶせ物の精度が格段に上がりました。データをそのまま歯科技工所へ送れるので、やりとりの速さもメリットです。CTも撮影範囲の広いものに更新し、通常のエックス線検査装置では映らない入れ歯の不具合まで発見につながるようになりました。ポータブルエックス線検査装置は訪問先だけでなく、院内でも足の不自由な方がチェアに寝たまま撮影できるため重宝しています。スタッフ体制としては、女性の歯科医師が在籍し、女性の先生を希望される方やお子さんの対応に心強い存在です。スタッフには患者さんと歯科医師の橋渡し役として、親しみやすい対応を大切にしてもらっています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

訪問診療では、これからも患者さんやご家族の声に耳を傾け、一緒に考える姿勢を大切にしていきたいですね。当院の考え方を引き継ぐ若いスタッフも育ってきていますので、将来的には分院の展開も一つの目標です。読者の皆さんにお伝えしたいのは、人間は噛めなくなると全身の健康にも大きく影響すること。お口の健康は食べる喜びだけでなく、生きる力そのものにつながっています。歯が痛くなる前でも、痛くなった後でも、ちょっとした違和感を覚えた時でも構いません。一歩踏み出す勇気を持っていただければ、しっかり対応させていただきます。お話をじっくり聞いて、一人ひとりに合った道を一緒に考えていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万円~ マウスピース型装置を用いた矯正/3枚 6万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

