中田 晴彦 院長の独自取材記事
中田歯科診療所
(東大阪市/河内花園駅)
最終更新日:2026/07/07
近鉄奈良線河内花園駅から徒歩10分ほど、花園本町にある「中田歯科診療所」は1987年に開業したモダンな歯科。院長である中田晴彦先生は、米国人歯科医師であるダリル・レイモンド・ビーチ氏が提唱する方針を取り入れて診療を行い、その考えは、歯科衛生士や助手ら全スタッフの間で共有されている。院内は障子を取り入れた和の空間で、診療時はフラットユニットが採用されており、患者がリラックスして診療が受けられるよう配慮している。「優しく、思いやりを持って接すること」を何よりも大事にしていると話す中田院長に、現在の診療方針や診療所の特徴、今後について、じっくりと語ってもらった。
(取材日2018年6月1日)
文系志望だったが、父と兄の姿を見て歯科医師の道へ
開業して30年になります。地域住民の来院が多いのでしょうか。

開業の際、住宅街で静かな場所を探していたところ、友人や知人が住んでいてなじみがあったこの場所にご縁がありました。小さい子から高齢者まで幅広い世代が来られていますが、開業当時から通われている方もいて、高齢化が進んでいる地域ということもあり、中高年層の患者さんが増えました。入れ歯や歯周病治療、予防のためのメンテナンスで定期的に来院される方が多くなります。
歯科医師の道へ進まれたのはなぜですか?
実家が歯科なのですが、僕は歯科医師になりたくなかったんです。歴史を勉強したいと思って文学部を受験し合格しました。しかし、いざ進学する段階になって悩んでしまいましてね。親から歯科医師になれと言われたことはなかったんですが、周囲からのアドバイスもあって、歯学部に進むことになりました。父や兄の働く姿を見ていたので、身近な職業でしたし、手先を使う実習は楽しく、自分には合っていたと思います。卒業後4年間、高槻市の「片岡歯科診療所」に勤務した後、実家の診療所で父と兄とともに6年間診療していました。
院内にはたくさん絵がありますね。
僕は絵や音楽が好きなんです。高校時代からフルートを始め、大学時代はオーケストラに所属していました。また、これまで、たくさんの絵を描いて、出展もしてきました。院内にある絵は、僕自身が描いたものと、師匠から贈られたものです。将来は、この診療所をギャラリーにできればいいなと夢を描いています。
こちらの診療所の特徴をお聞かせください。

当院は、米国人歯科医師のビーチ氏が提唱する診療システムを採用しています。僕は大学卒業後、勤務していた歯科医院も含め、ずっとこの診療システムで診療を行っています。また、口腔衛生の確立と維持、組織抵抗力の増強と維持、口腔内の正しい力関係の確立と維持、自然な外観の創造と維持、の4項目を、「歯科診療の目的」としています。これらの目的は、歯科医師、歯科衛生士、助手や受付など全スタッフ間で共有し、診療にあたっています。
特徴的な診療スタイル、診療はチェアではなくベッドで
患者さんはチェアではなく、ベッドに横たわる形なんですね。

当院の診療はフラットタイプのベッドに患者さんが仰向けになる姿勢で行います。患者さんもリラックスされますし、歯科医師の姿や治療器具があまり目に入りませんので、恐怖心を和らげることにもつながると考えています。眠ってしまうお子さんもいますね(笑)。また院内は、歯科医師、歯科衛生士それぞれのスペースと相談室が並ぶシステムユニット形式になっていて、スタッフや患者さんの動線にも配慮されています。治療器具やその配置などもとてもシンプルなんですよ。
診療はどのように進めていきますか?

患者さんの口腔内の状態を、0から-9の9段階で数字化しています。0が健康であるという中立点とし、-9までが、一般歯科の診療範囲とする指標になっています。0が診査。お口の中の状態を診て、痛みが強い場合などは応急処置をします。-1は診査結果をもとにカウンセリングを。-2は歯垢や歯石を取り、ブラッシング指導など歯科衛生士の担当範囲。-3は矯正治療、-4は歯周病、-5は虫歯、-6は根管治療、-7は抜歯などの外科的処置、-8は失った歯の補綴、-9は義歯、と続きます。治療中、歯科医師やスタッフの会話が気になる患者さんもいるでしょう。数字化して伝えることで、不安を減らすことにもつながると考えています。また、それぞれの治療時間が規定されているため、患者さんにとっても、治療計画や通院期間がわかりやすいですし、僕たちスタッフも、計画的に診療を行うことができ、勤務の管理もしやすくなります。
他者への愛を尽くし「思いやり」を持って診療を
患者さんと接する際に一番大事にしていることは何ですか?

一番大事にしていること……自分で言うのは少し恥ずかしいのですが、「思いやり」ですね。「他者への愛を尽くす」ことを信条にしています。患者さんは歯の不調を抱えて来院されていますし、どれだけ説明されてもわからないことはたくさんあります。時には、きつい言葉を返されることもありますし、僕自身も感情が高ぶることもあります。そこで口論になったり、もめてしまったりすると、患者さんも僕もつらく、不快な思いをします。お互いに気分がいいものではありません。どういう状況であっても、優しく、思いやりを持って接することを念頭に置いています。
そのような信条を持たれるようになったのはなぜなのでしょう?
コミュニケーションがうまく取れていない状況下では、感情のコントロールが利かず、治療にも影響しかねません。診療中に平穏な心を保つことで、楽しく、スムーズに診療ができますし、治療の成果にもつながるからです。治療がうまく進まないことは、歯科医師にとって大きなストレスにもなります。僕も若い頃は、知らず知らずのうちにストレスを抱えていたようで、夏季や冬季の休暇時には一気にダウンしてしまうほどでした。患者さんに対してだけでなく、スタッフに対しても同様に、思いやりを持って接するようにしています。これは40年、歯科医師を続けてきて、ようやく理解できるようになってきたと感じています。
今後、どのように診療していきたいですか?
スタッフにも、患者さんに対する思いやりは忘れないように指導しています。スタッフのほうが、診療ベッドにお連れしたり、問診したりと、来院された患者さんに最初に接しますし、話す時間も長いんですね。受付時も、なぜ来院したか、主訴をきっちり伺うように徹底しています。スタッフ3人と、歯科医師である僕の娘とで日々診療にあたっていますが、おかげで、スムーズに診療を進めることができています。開業して30年がたち、現在の診療はメンテナンスが中心となっています。これまで治療した患者さんの口腔衛生の維持を、歯科衛生士とともに続けています。患者さんも月に1度、きちんと通ってくださっています。今後もこの診療スタイルを続けていきたいですね。
最後に、歯の健康維持についてアドバイスをお願いします。

若い世代、特に女性は、健康意識が昔より高くなっていると感じます。体の健康だけではなく、お口の健康にもより一層気をつけていただきたいと思います。口腔内の健康には、歯磨きと食生活が重要です。よく噛むことを忘れないでいただければと思います。また、大人の方でも、口で呼吸されている方が増えているように思います。当院では患者さんに、鼻呼吸の大切さをお伝えしています。特に子どもですと口腔の成長に深く関連していて、口呼吸は舌の位置にも影響し、舌が下方にあると「受け口」に、上方にあると「出っ歯」の状態になりかねません。大人の方も、鼻呼吸することでお口の中、ひいては全身の健康にもつながりますので、気をつけていただきたいと思います。

