小寺 幹子 院長の独自取材記事
小寺歯科医院
(東大阪市/新石切駅)
最終更新日:2024/01/24
近鉄けいはんな線新石切駅から徒歩10分。歯ブラシを掲げた大きなロボットが目印の「小寺歯科医院」は、1982年の開業以来、41年にわたって地域に愛されている。「表にあるロボットは、もともと開業した父が欲しがっていたものなんです。父が亡くなった時に一人で当院を背負った母が、父の代わりに見守ってもらおうと購入しました。だから今でも父と母がこのクリニックを見守ってくれていると思っています。」そう話してくれた小寺幹子院長は、父から母へ受け継がれた同院を2017年に継承した。やわらかな笑顔と芯のある言葉が魅力的な小寺院長に、クリニックや歯科治療へかける思いを聞かせてもらった。
(取材日2023年9月4日)
両親から引き継いだ、患者を第一に考える心
まずは歯科医師をめざしたきっかけを聞かせてください。
子どもの頃から歯科医師として働く両親の背中を見て育ってきたので、「大人になったら、このクリニックを継ぐんだ」と、いつの頃からか思うようになっていました。両親が忙しい時は仲良しの患者さんが面倒を見てくれたりもしていたんですよ。だから、「あんなに小さな女の子だったあなたが診療しているなんて不思議ね」なんて言ってくださる方も少なくありません。両親が亡くなって、私がここを継ぐことになったのですが、母が私に「これだけは守ってね」と言ってくれたことがあるんです。それは「とにかく患者さんを第一に考えなさい。経営を第一に考えては絶対にダメ。患者さんのことを思い、大切に診療しなさい」ということ。両親のそういう思いも含めて引き継ぐことが私の務めですから「患者さん第一の診療をしよう」と日々思っています。
こちらを継承される前は、病院の歯科口腔外科にお勤めだったそうですね。
卒業後は総合病院の歯科口腔外科に在籍していました。「歯科医師=虫歯を治す人」というイメージがあると思うのですが、そこでは、虫歯の治療だけでなく、口腔がんなどの患者さんをたくさん診させていただいていました。親知らずの抜歯、歯茎のできものの除去、事故による外傷など、難症例の治療にも対応していました。ですので、当院では一般的なクリニックではあまり行っていない外科的治療も対応しています。例えば、歯の根の先に問題がある場合、病巣が含まれる歯根の先端を切り取るための手術である歯根端切除術もその一つです。歯を抜かずに済みますので、歯の機能を残すことが期待できます。患者さんができるだけ抜かない、削らない治療を望まれるのは当然のこと。そのために、さまざまな選択肢を提示したいと思っています。
患者さんから寄せられる悩みで多いと感じるものはありますか?
食いしばりや顎関節症といったお悩みは多いですね。ただ、ご本人が気づいていないケースも多いものです。症状が長く続くと、歯に負担がかかって歯が割れたり、欠けたりすることも。自分では無意識にやっているのでなかなか止めるということは難しいですね。対策として、少しでも歯にかかる負担を減らすために噛み合わせを整えたり、睡眠時に装着するマウスガードを推奨したり、ほかにも、整体のように顎を伸ばすことで症状が少し和らぐことも望めるのでストレッチ方法もお教えします。噛む力が強いとお口の中に骨隆起というコブができることもあって、会話や食事に支障が出たり、入れ歯に当たって痛くなったりする場合には除去手術にも対応しています。
患者の声を丁寧に聞いて、希望を理解したい
患者第一の診療のために、心がけていることはありますか?
患者さんの声を丁寧に聞くことです。何に困っていて、どうしたいと思っているのかをちゃんと理解して治療をすることを大切にしていますね。当院には3人の歯科医師が在籍しており、患者さんとマンツーマンの担当制になっています。特別にリクエストがなければ、毎回同じ歯科医師が対応しますので、通院していただきながらお互いに理解を深めて、うまくコミュニケーションが図れるようになったらいいなと思っています。クリニックに来るのを楽しみにしている人は少ないと思いますが、少しでも歯科医師と仲良くなって「ちょっとお話でもしに行こうか」という気持ちで来てくださるようになればとてもうれしいです。
患者さんはどのような方が多いですか?
当院のようなクリニックは本当にいろいろな患者さんがいらっしゃいます。年齢も性別も症状もさまざまです。ですから、町のクリニックは幅広い知識と技術が必要だと実感します。だから、私は「歯の何でも屋さん」をめざしています。そのために、勉強会にも足を運び、すべてにおいて自分のレベルを上げる努力を怠らないようにしています。私自身子どもを持つ母親でもあるので、遠方に出かけるのは大変なときもありますが、夫も歯科医師なので協力しながらやっていますね。一緒に勉強することも、それぞれに別の勉強会に参加して家で情報交換をすることもありますし、仕事でもプライベートでもいろいろと勉強はできるなと実感しています。
予防歯科にも力を入れているそうですね。
特に近年は、歯周病が糖尿病などさまざまな病気にも影響を及ぼすといわれていますので、予防歯科には注力しています。歯科衛生士による定期的なメンテナンスはもちろん大切ですが、虫歯や歯周病予防には毎日のお手入れが何より大事ですので、ブラッシングのチェックには力を入れています。正しいブラッシング方法に導くほかにも、適した歯ブラシや補助器具を選んだり、歯周病のお薬を見直したり、お一人お一人のタイプに合ったお手入れ方法をご提案します。また、歯科医師と同じく歯科衛生士も担当制にしています。リラックスして、気軽に何でも相談してみてほしいですね。
「歯の何でも屋さん」として、今後も挑戦を
子を持つ母として、また歯科医師として、妊婦さんやお母さんに伝えたいことはありますか?
実際に子どもが産まれると、なかなか自分のメンテナンスにまで気が回らないものです。ですから、妊娠を考える時期が来たら、先に歯の治療を終わらせておくといいと思います。妊娠中は麻酔やお薬を使うことにためらうこともあるでしょうから、ぜひ、その前に足を運んでほしいですね。また、妊娠中や子育て時期には通院のハードルが上がります。ひどくなってしまうと、通院期間も治療時間も長くなってしまう可能性もあります。当院はキッズスペースが隣にある診療台があり、ベテランの保育士もいるので、赤ちゃんや小さなお子さんにスタッフが1人必ずついている横で、お母さんが安心して治療を受けられます。子どもの一次矯正も行っているので、将来的な相談も、同じ女性として、母親として、アドバイスさせていただきます。
今後リニューアルを予定されていると伺いました。
ええ。今までも少しずつ壁紙を張り替えるなど、小さな改装は行っていたのですが、クリニックも年季が入ってきましたし、年内に少し大きなリニューアルを考えています。2023年10月に歯科用CTやマイクロスコープなどの先進機器を導入しました。それに伴って、対応可能な診療も増えるので、マイクロスコープを使った根管治療やインプラント治療も開始する予定でいます。将来的にはインプラント治療の際に骨造成といった難症例や大人の歯列矯正も行えるようにしていって、当院に来ればどのような治療も受けられる、ワンストップの診療体制を確立していきたいと思っています。
最後に今後の展望と、通院されている患者さんや読者にメッセージをお願いします。
歯科診療では、患者さんが自分の治療を見ることができない分、事前の治療説明が大切だと思っています。今も、治療の説明ではタブレットを使ってイラストや写真を見ていただきながらお話しするなど、できるだけわかりやすい説明を心がけていますが、今後は大型モニターを設置するなど、さらにデジタル化を進めていく予定です。また、地域のニーズに対応し、訪問診療にももっと力を入れていきたいと思っています。そして、もちろん患者さんに接する私たちが医療従事者として、また人としての質を上げる努力も怠らずにいたいと考えています。来てくださる皆さまのお口の健康を守り、健康で楽しい人生を送るためのデンタルサポートがわれわれの使命。今後も皆さまの声を大切に、丁寧な診療をしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/5万円
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。