武本 修一 院長の独自取材記事
タケモト歯科
(神戸市東灘区/アイランドセンター駅)
最終更新日:2023/06/08

島の中心を走る六甲ライナーのアイランドセンター駅から北西に徒歩3分。複合商業施設を臨む一角に「タケモト歯科」はある。人工島である六甲アイランドに住民が住み始めた1988年に、武本修一先生の父である先代院長が開業し、2021年春に父から武本先生が院長を継承した。開業から現在に至るまで、島の歩みとともに親子2代で住民の歯の健康を支え続けてきたクリニックだ。子どもから高齢者まで幅広い世代の歯の悩みに寄り添いながら、新たな一歩を踏み出したクリニックの現況や今後の展望、地域への思いなど、さまざまな話を聞いた。
(取材日2022年5月11日)
六甲アイランド誕生からともに歩んできたクリニック
開業したのはいつですか?

ちょうど六甲アイランドができた頃に、父が開業しました。34年前くらいですね。六甲アイランドで開業するにあたって神戸市の抽選があり、すごく倍率が高かったと聞いているのですが、それに当選して開業に至ったと聞いています。その当時は、六甲アイランドがまだできたばかりで、住民が暮らすマンションもこの棟ぐらいしかまだ建てられていなかったそうです。当時はまだ小さなコミュニティーでしたから、地域の皆さんがみんな知り合いのようなつながりがありました。私は開業した年に生まれて、その中で育ったので、私のことを子どもの頃からよく知ってくださっている患者さんも多いんですよ。だから昨年ここを継承した時も、昔から通ってくださっている患者さんが「よく帰ってきてくれた」と喜んでくださって。親戚みたいですね(笑)。
継承するきっかけと、それまでの経歴をお聞かせください。
父が3年ほど前に倒れて、診療を続けることが難しくなったのが継承のきっかけです。当時私は大阪で勤務医として研鑽を積んでいた時期だったので、すぐに後を継ぐのではなく、しばらくは歯科医師会から先生を紹介してもらって代診で診療を行い、その後昨年5月に継承しました。継承までの経歴は、大阪大学歯学部を卒業後、韓国の歯科事情を知りたくて現地に赴き、クリニックに勤務。その後東京のクリニックで先進の歯科医療を学ばせてもらい、大阪のクリニックでも研鑽を積んで、患者さんのニーズに幅広く対応できる歯科全般におけるスキルを身につけてからこの歯科医院を継承しました。
日曜も診療を行っていると聞きました。

月曜も20時まで診療させていただいているのですが、やはり平日働いている人が歯科医院を受診するのは、なかなかタイミングが合わないということが多かったので、日曜も9時30分から18時まで診療を行うことにしたんです。日曜は、私が以前勤務していた大阪のクリニックの診療に行っているので、先輩の歯科医師が日曜日の診療を手伝ってくださっています。口腔外科領域にも詳しく、勉強熱心でとても信頼している先輩なので、安心して日曜の診療をお任せしています。そんなこともあり現在は、私と非常勤歯科医師2人の3人体制で日々の診療を行っています。
子どもから高齢者まで、日々のセルフケアを丁寧に指導
診療において大切にしていることは何ですか?

そうですね。まずは患者さんの話をしっかり聞くこと。先代の院長である父は、患者さんに「優しい先生」ということでとても慕われて、患者さんに頼られる存在でした。いつも患者さんの話をよく聞き、丁寧に寄り添っていた姿が印象深く、私もその姿勢を見習っていきたいと思っています。あと、診療で大切にしているのは、納得していただけるようわかりやすく説明することですね。実際にご自分の口の中を見ていただいたほうが理解しやすいので、鏡や画像などで治療前・治療途中・治療後の状態を見てもらい、どう変わっているのかなどをわかりやすく説明し、十分納得してもらえるよう心がけています。
小児歯科にも対応しているそうですね。
一般歯科から小児歯科まで、患者さんのニーズに幅広く対応しています。小さなお子さんの場合は、やはり歯科医院に行くのを怖がる子が多いので、不安を取り除くためにも、最初に器具を触ってもらって説明しながら「痛くないよ、怖くないよ」と、少しずつ慣れてもらう練習時間を設けています。あと、歯磨き指導にも力を入れています。小さな子どもさんの場合、歯磨きの習慣づけと、きれいに磨くためには親御さんのサポートが不可欠です。子どもさんの歯の健康を守るためにはご家族の協力がとても重要なので、ご家族に仕上げ磨きの方法や、どうして歯磨きが大切かなどの説明・指導などを丁寧に行うようにしています。また、虫歯を予防するためのフッ素塗布は、保険診療で行える年齢が13歳未満と制限があるのですが、13歳以上のお子さんや大人の方でも予防のために希望される場合は、自由診療扱いでフッ素塗布に対応します。
歯周病予防についてはどのようにお考えですか?

歯周病については歯だけを診るのではなく、その土台である顎の骨や歯茎の部分がしっかりしていないと状態がどんどん悪くなるので、そこを確認するためにも、口全体のエックス線写真を撮って、歯周病がどれだけ進んでいるのか、歯周病が進みやすい状態かどうかということを詳しく検査します。その結果、歯周病を発症している、もしくは将来的なリスクが高い場合は「今はしっかり噛めていても、将来的にはこうなる可能性がありますよ」ということを具体的にイメージしやすいように説明します。大人においても正しい歯磨きの仕方が大切なので歯磨き指導をするようにしています。患者さんの中には「定期的に通院してメンテナンスをしていたら安心」と思っている方もいらっしゃるんですが、そうではなく毎日の生活で行う歯磨きなどのセルフケアが何より大事。そのことをできるだけわかりやすく説明して理解していただくことが重要だと考えています。
地域のデンタルIQの向上をめざし、歯の健康を守る
歯科医師になって良かったと思うのはどんな時ですか?

やはり患者さんが喜んでくれた時ですね。今日も毎週日曜に診療を行っている以前の勤務先から、「訪問診療で行っていた患者さんのご家族から感謝のお手紙が届いています」とメールが来ていました。そういうのを見ると、仕事の疲れも取れ「歯科医師になって良かったな」と思います。勤務医時代から、患者さん本人やご家族の気持ちに、親身になり寄り添って診療を行うようにしているので、訪問診療の際にもいろいろなお話をして、信頼関係が深まることが多くありました。日々の診療でもそうですが、患者さんから信頼してもらい、こうして感謝していただけるというのは、やはりやりがいにつながりますね。
こちらでは自由診療にも対応されていますね。自由診療に対する先生のお考えをお聞かせいただけますか?
例えば虫歯治療の場合、保険診療で使用可能な材料での治療だと、治療後に虫歯が再発してしまうことがあります。これは詰め物・かぶせ物をした隙間から菌が入り込み、内側で虫歯が進行してしまうからです。一方、自由診療でセラミック素材などを使うと、治療後10年での虫歯再発がほとんどないといわれており、また歯の色味や形も一人ひとりに合わせて対応しますので、機能面でも審美面でもより精度の高い治療がめざせます。ただ、自由診療は保険診療と比べて費用がやや高くなってしまうというデメリットも。当院では、自由診療はあくまでも選択肢の一つ、と考えており、カウンセリングに時間をかけて患者さんのご希望を丁寧に伺い、ご納得いただいた上で治療を開始するよう心がけています。気になる方はお気軽にご相談ください。
最後に、今後の展望についてお聞かせください。

将来的には、この六甲アイランドで暮らす人たちの歯と口の健康への関心・意識、デンタルIQを向上させていけたらと思っています。それに関連して、例えばこの地域の子どもの虫歯数が統計的に見て少なくなるよう予防に取り組んでいきたいです。あと、ここに通ってくださっている患者さんの中にも、高齢で足腰が悪くなったり病気になったりで通院が難しいという患者さんもいらっしゃるので「将来的にそのような患者さんに限って在宅診療ができたら」と考えています。まだ継承したばかりで時間もなく、大きなことはできないのですが、この地域で暮らす人の歯の健康寿命をできるだけ延ばし、安心して暮らせるように、日々の診療の中で予防の大切さなどを丁寧に発信していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはフッ素塗布(13歳以上)/500円、セラミックインレー/45000円