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小林理美 院長の独自取材記事

まい皮膚科クリニック

(川崎市宮前区/鷺沼駅)

最終更新日:2021/10/12

小林理美院長 まい皮膚科クリニック main

鷺沼駅から歩いて2分という好立地の鷺沼メディカルモール内にある「まい皮膚科クリニック」。さんさんと陽光が差し込む待合室は、やわらかいクリームイエローで統一されている。さっぱりとした明るい人柄の小林理美(こばやしあやみ)院長は、順天堂大学医学部附属順天堂医院で勤務医時代を過ごし、その後は総合病院の皮膚科や、美容クリニックなどで医長や院長を歴任してきた。クリニックでは、ニキビやアトピー性皮膚炎など一般的な皮膚疾患の治療から美容的治療まで幅広く手がけるが、どの治療でも小林院長が重視するのは、患者との対話。とことん会話を重ねることで、皮膚疾患の背景にある心の問題を捉え、改善策を探っていきたいと考えているという。1ヵ月に2000人近い患者を診ながら、プライベートでは2人の子を持つ母でもある小林院長。そのパワーの源と、診療に対する思いに迫った。

(取材日2007年11月20日/再取材日2015年8月7日)

患者一人ひとりの状況を把握したオーダーメイドの治療をめざす

まずは、医師を志したきっかけからお聞かせいただけますか?

小林理美院長 まい皮膚科クリニック1

小さい頃、病気がちだったんです。小学校の低学年の頃は体が弱く休みがちで。父が病院の薬剤師でしたので、病院が身近というか、病院に入り込んで生活していました。その中で、潜在的に人を助ける仕事をしていきたいという思いがあり、医師をめざしました。最初は小児科か婦人科に進もうと考えていたのですが、研修時に各科を回ってみて、皮膚科は目に見えて治っていくのがわかり、患者さんの明るい表情が見られるのがよかったので皮膚科を選びました。

クリニック名には、さまざまな意味が込められているそうですね。

“私の”という意味で、まい皮膚科クリニックと名付けました。患者さんにとって、“私のかかりつけの皮膚科”になってほしいという願いと、私にとっては子育てするような感じで、自分のクリニックを大事に育てていきたいなという思いをかけたんです。「肌に赤みが差すんだけど……」など、気負わずちょっとしたことでも相談できるクリニックでありたいですし、患者さんにはお友達感覚で来ていただけたらうれしいですね。

こちらならではの治療について教えてください。

小林理美院長 まい皮膚科クリニック2

ゴールドスタンダード的な皮膚科の治療をベースにしています。ただ、開院当初より「内側から治したい」ということを診療のモットーに掲げていますので、患者さん一人ひとりの状況を把握した上で治療するよう心がけていますね。私はニキビ治療をライフワークとしており、ニキビ治療で受診される患者さんだけでも1ヵ月に300〜400人ほどいらっしゃるのですが、中には、例えば「この患者さんはこういうスキンケアをしていけば、薬を使わなくても治る」というケースも多く存在します。ですから、「ニキビ=この治療」と決めつけるのではない、オーダーメイドの治療をめざしています。また、薬を出す場合にも、医師が塗り方をきちんと指導しないと、患者さんがなかなかうまく使えなくて治療をドロップアウトしてしまうことがよくあるのですが、当院での指導により、他院で塗れなかった薬を塗れるようになったケースも少なくありません。本当にその薬が使えないわけではなく、患者さんの状況を把握して丁寧に指導することと、他の薬を併用することなどによって、その薬を用いて治療できるパターンもあるんですよ。

疾患の背景にある問題を、どれだけ的確に捉えられるかが大切

先生がおっしゃる「内側から治す」とは具体的にどのようなことでしょう?

小林理美院長 まい皮膚科クリニック3

皮膚科の疾患には、ストレスをはじめ、その人の後ろに隠れている問題があるはず。それを多方面から考えて、どうしたら改善できるのかを探っていくことが大切だと思っています。例えば、アトピー性皮膚炎の方が冷え症でもある場合、半身浴を勧めたり食事のアドバイスをしたりすることで、薬を使わずに症状が改善したケースがあります。また、汗をかくことで発疹がよくなるなど汗腺と皮膚疾患との関わりも深いといわれているので、「生活習慣の中でここを見直してみたらどうですか?」と指導することで、症状が和らぐ場合も。代謝の問題だったり、ストレスや精神的なバランスなどが引き起こしている疾患を、どれだけ的確に捉えて差し上げられるかが、本当に大事なんじゃないかなと思います。

心の状態と皮膚の状態はつながっているんですね。

長年、皮膚科医として働いていて、実際にそうなんだろうなと思います。アトピー性皮膚炎でもニキビでも、ベースにある“患者さんが抱えているもの”が発疹につながっていることが多々あるのです。皮膚科は表面だけ治しているように見えるけれど、もうちょっと内側のもの、つまり精神的な部分を治せていけたら、治癒率が上がるのではないかと昔から考えています。

診療の際に心がけていらっしゃることは何ですか?

小林理美院長 まい皮膚科クリニック4

押しつけの医療ではなく、対話の中での医療を大切にしています。ライフスタイルの中の、一見、無駄に思えるような事柄からも治療のヒントになることがあるので、できる限り患者さんとお話ししています。例えば、よくあるマンゴー皮膚炎の場合でも、「マンゴー食べました?」と聞かないと、患者さんは症状の原因がマンゴーだと気付かないのです。「かぶれですね、薬を出しておきましょう」と言うのは簡単だけれど、かぶれ一つとっても何か原因があるわけで、またマンゴーを食べたらかぶれてしまいますよね。患者さんとのちょっとした会話の中で原因がわかったときは本当にうれしいですし、医師としての面白さも大きいです。患者さんのお話を聞いて、精神的なことも含めて生活全体を見渡し、トータルで診ていくのが理想ですね。

信条は「その人にとって何がハッピーか」を考えて診療すること

訪れる患者さんは年齢層もニーズも幅広いそうですが、対応にあたり気をつけていることは?

小林理美院長 まい皮膚科クリニック5

例えば手の湿疹でも、薬を塗れば一時は治るけれども、また再発するじゃないですか。ですから、「その症状がどうして発生するのか」という根本的なお話から始めるわけですが、一方で、もらった薬が効いているというのは事実としてあって、「頻繁には通院できないから、薬がたくさんあればいい」と希望される患者さんには、副作用が出ない分だけ薬をお出しして、「しばらく来なくても大丈夫ですよ」と対応します。これも一つのニーズですよね。患者さんによって満足度にも差はありますし、全員が全員、100%満足するということはないんですけれども、私の気持ちとしては、どちらのニーズにも対応できるよう、「その患者さんにとって何がハッピーか」を常に考えてベストを尽くしたいと思っています。また、当院では、しみやしわをはじめ美容皮膚科の分野も手がけていますが、「第三者的に見たら気にならなくても、ご本人にとって気になることなら、それは治療対象」という考えも開院当初から変わりません。患者さんが「このしみが気になる」とおっしゃっているなら、たとえそれがほんの小さなしみでも「全然気にしなくていいですよ」と言うつもりはないんです。“ハッピーな状態”は人それぞれ異なるし、皮膚科に限らず、医療の答えは一つじゃないと思うのです。

日々多くの患者さんを診ながら、私生活では子育て中という先生。その原動力は何ですか?

診療自体が好きなのと、人そのものが好き、ということですかね。相手が喜ぶことや、どんどん信頼関係が生まれていくことが楽しいですし、とにかく人と話すのが楽しくて。高校1年生の娘と小学3年生の息子がいるのですが、朝から子どもとしゃべって、ここへ来てスタッフとしゃべって、患者さんとしゃべって、家に帰ってまた子どもとしゃべって。しゃべっていない時がほぼありません。欲張りといえば欲張りかもしれませんね。クリニックを続けていく中で、できないこともたくさん出てはくるけれど、その場その場を全力投球で動き回っているので、明日死んでもたぶん悔いはないかな。

スタッフにも子育て経験者が多いとのこと、患者さんにとっては安心ですね。

お子さん連れの方が診療を受けている時は、スタッフがお子さんを見ていることもありますよ。私一人では何もできないので、本当にスタッフの力に助けられて、この人数の患者さんを診させていただいています。人間的にも落ち着いていて、勉強させられる部分が多い、よくできたスタッフたちなんですよ。診療に際しても、患者さんのお話はできるだけじっくり聞いて差し上げたいけれど、「診察室で聞いていたら次の患者さんを診られない!」というときには、代わりにスタッフに聞いてもらい、それを私が伝え聞くなど、ちょっとした工夫で少しでも患者さんにお待ちいただく時間を軽減できるよう心がけています。

最後に、今後の目標を教えてください。

小林理美院長 まい皮膚科クリニック6

やっぱり、自分がハッピーなときは人にもハッピーを与えられる可能性が高いし、自分が落ちていたら人をハッピーになんてできないので、「自分の仕事や生活の中に、満足度がどれだけあるか」ということが重要だと思うんですよね。ですから、これからも“患者さんにとってのハッピー”を大切に、ぶれることなく、自分の中で納得いくような方向性で、自分が満足しながら医師を続けていけたら幸せですね。

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