津谷 佳代 院長の独自取材記事
津谷歯科医院
(伊丹市/新伊丹駅)
最終更新日:2023/04/28

新伊丹駅から徒歩7分、新旧モダンな家が並ぶ閑静な町の一角で、患者を温かく迎える「津谷歯科医院」。1973年の開業以来、「安心して通える町の歯医者さん」として地域住民に長く親しまれ、歯科治療を通じて地域の健康を支えてきた。2018年から2代目として同院を引き継いでいる津谷佳代院長は、一人ひとりの患者に寄り添った医療を提供し、必要な歯科治療をいつでも提供できる歯科医師でありたいと話す。歯や口腔の健康な状態を少しでも長く維持・保存するために、マイクロスコープを用いた精密な保存治療に積極的に取り組むほか、「見た目がきれいなのは当たり前。患者さまと一緒に、歯の健康寿命を延ばしていきたい」といつも明るく前向きな津谷院長に、歯科医師としての想いなど、いろいろな話を聞いた。
(取材日2022年10月24日)
マイクロスコープを駆使した精密治療で歯の保存を
最初に、この歯科医院についてお聞かせください。

おかげさまで、当院は来年、開院50周年を迎えます。一般歯科治療から歯周病の予防や治療、審美歯科診療まで、患者さまの症状に合わせ幅広く対応していますが、常に心がけているのは「いかに歯の健康寿命を延ばすか」です。マイクロスコープを活用する精密保存治療や、噛み合わせのずれがあった場合、骨格に適した咬合を見つけ出して総合的な治療をめざすのも当院の特長です。私は大学卒業後、大阪歯科大学歯科保存学講座に研修医として3年間在籍し、多くの症例や患者さまと向き合いながら治療や研究を進め、研鑽を積みました。父が体調を崩したのをきっかけに当院に入り、約20年勤務してから2018年に父から継承しました。「患者さまの歯を治療したら、再発しないように虫歯になりにくい状態をつくること。歯の終身保存、それが豊かな人生の第一歩になる」という父からの教えを忘れずに診療しております。
院長が得意とされるマイクロスコープによる精密保存治療とは?
治療部分をマイクロスコープで肉眼の約20倍に拡大して顕微鏡歯科治療を行う、精密保存治療を得意としています。歯学保存学には昔からミラーであらゆる方向から見ながら治療するミラーテクニックがあり、父も私も修練してきたので、それまでも精密治療は得意な分野でした。ただ、7年前にマイクロスコープを使う治療と出会い、歯科用ルーペでははっきり確認できない細部までパッと明瞭に見えることに衝撃を受けましたね。「1day(ワンデイ)治療」も含め、当院では幅広い治療に活用しています。
マイクロスコープを用いた治療にどのようなメリットを感じていますか?

これまで気づけなかった歯の一本ずつの変化や隙間も見えるので、より適切な処置や修復ができます。治療を諦めていた歯も残せるようになることが見込めるなど、歯科保存の可能性が広がりましたね。歯茎の深い場所の歯石もよく見えるので、歯科衛生士によるメンテナンス後に、私がマイクロスコープでWチェックをするなど、歯科検診から各治療まで幅広く活用しています。また、口腔内がよく見えることから、できるだけ歯を抜かずに適切に歯を守るMI(ミニマルインターベンション)を実践。治療中に画像を録画できるのでデータとして蓄積し、共有することも可能で、大きいモニターで患者さまに「ここがこんなに汚れていますね」とリアルに伝えられるのも魅力です。当院の患者さまはマイクロスコープでのお口のチェックが当たり前になっていますよ。
治療やデータの「見える化」で歯の健康維持をアピール
「1day治療」とはどういったものですか?

通常は、虫歯の悪い部分を削って歯型を採り、詰め物やかぶせ物ができあがって装着するまでに1週間以上かかります。けれど、CAD/CAMシステムを用いた治療なら、午前中にマイクロスコープを活用しながら虫歯を治療し、スキャンし、院内のファーネスでセラミックもジルコニアも仕上げられるので、夕方には詰め物やかぶせ物の装着が可能になります。型採りも必要ないので負担も軽減でき、何より短い時間で行うため、新たな細菌感染がないうちに完結できるという治療法です。1日で、見た目はもちろん丈夫で長持ちする義歯を得るための治療ですが、こちらは自由診療です。保険適用の診療と比べてのメリットやデメリットも含め、患者さまに必要な治療について伝えていきたいです。
注力されている「見える化」について伺います。
普段見えない口の中や歯のことを明らかにするのが「見える化」で、マイクロスコープの画像など患者さまにご自分の口の中をよく見てもらいながら治療を進めるのもその1つ。歯科用CT、デジタルエックス線、口腔内スキャナー、ルーペなど、こだわって選んだ機器から得られる情報も同様、他には唾液で虫歯・歯周病・口臭のリスクを調べる検査や飲み込む力に直結する口腔機能の検査も「見える化」につながります。歯科治療では患者さまの普段のセルフケアが鍵になりますが、まずは自分の歯や健康に興味を持ってもらうこと。そして普段の磨き方などは、担当制で患者さまのことをよく知る衛生士から習って上達できれば、自分で病気を予防できて自信になりますし、歯も守られ、しっかりおいしく食べることもめざせます。「見える化」で虫歯の再発サイクルを断ち切りたいですね。
患者さんとのエピソードなどあれば教えてください。

まだ歯科保存学部講座に在籍し研修医1年目の時ですが、総合診療を学ぶ機会がありました。先輩から引き継ぎ、精神疾患を抱えた若い女性を担当しました。歯はボロボロで、複雑な口腔内全体を見直すことから根気強く治療を進めました。その後、治療がスムーズにいき、お顔つきも変わり、何よりうれしいことに社会復帰をすることにつながったのです。「あぁ、医療ってこういうことか!」と実感する体験でした。口腔内を治療したことが患者さまの自信となって自然な表情が生まれ、心に作用したのではないかと励まされました。ご本人からお礼にと頂いたポーチは宝物で、この体験は今の診療のベースになっています。
歯は財産。健康で幸せな100年時代を実現する
スタッフの皆さんに日頃伝えていることは?

スタッフたちは本当によくついて来てくれるなぁと感心し、頼りにしています。常にスタッフに伝えるのは、努力は裏切らないということです。せっかく仕事するなら楽しいほうがいいし、楽しくするためにはある程度レベルアップしないとつらいだけになる。だから楽しめるように努力をしようと声をかけます。私も勤務医も歯科衛生士も、マネキンを使うなどして技術を磨く練習をしますし、個々で勉強会にも参加しています。私自身、これからさらに口腔内細菌の種類や量を観察する位相差顕微鏡の導入や、患者さまからの要望の多いインプラント治療の院内実施など、やりたいことが山積みです。当院には「健康で幸せな人生100年時代を実現する!」というミッションがありまして、これを患者さまだけでなくその家族やスタッフ、関わるすべての方と達成したいですね。
診療中、気をつけておられることはありますか?
患者さまのちょっとした体調の変化に気を配り、できる限り情報を共有すること。そして何より医療は安全第一ですから、治療の上でわからないことがあれば、手を止めて他の人に聞くことです。「わからないなりにやってみました」は医療の現場で通用しません。わからないなら、すぐに助けを求める。そして患者さまにケガをさせたり迷惑をかけたりしないためにも、常に互いを意識してサポートすることを心がけています。院内の診療室を半個室にすることで、患者さまのプライバシーを保ちつつ、他の診療中の様子を確認できるようにしています。
読者にメッセージをお願いします。

当院のある伊丹市の歯科医師会では「8020運動」で条件を達成した人への表彰を行っていますが、熱心にセルフケアに励まれた成果だと思いますので、当院の患者さまが選ばれたら誇らしいですね。食事や栄養バランスは健康に生きる上でとても重要です。若い方でもしっかり噛めているかということが大事です。さらに歯を守るにはケアも必要ですね。もし、歯のことで悩みがあるなら、歯科への早めの相談をお勧めします。他院で受けた治療のことでも気後れせずにお尋ねください。例えば当院では対処できない症例については、速やかに外部の信頼できる専門の歯科医師をご紹介しますのでご安心ください。お口がきれいになったら、心身全体が整う感じがしませんか。伊丹市市民総合歯科健診や定期健診などお気軽にお声かけください。
自由診療費用の目安
自由診療とは審美歯科診療(ホワイトニング)/1万5000円~、詰め物(セラミック)/1万円~、詰め物(ジルコニア)/4万円~、かぶせ物(セラミック)/7万円~、かぶせ物(ジルコニア)/9万円~