足立 篤志 院長の独自取材記事
足立歯科医院
(世田谷区/喜多見駅)
最終更新日:2025/10/22
小田急線喜多見駅南口を出てすぐ。清潔感の漂う白いタイル張りの建物の1階にある「足立歯科医院」。バリアフリーのエントランスを抜けた先の待合室には、足立篤志院長の知り合いの生花店に頼んでいるというフラワーアレンジメントが季節の彩りを添えている。この地で35年以上診療を続けてきた足立院長は、話し上手、聞き上手で穏やかな雰囲気の持ち主。長年、定期受診に通う患者が多いものの、決して通院を無理強いしない理由を「来づらくなってしまうのが一番良くありませんから」と笑顔で話す。患者の性格などを会話を通して捉え、それぞれに合わせた治療やメンテナンスにも取り組む院長に、診療にかける想いから、プライベートで楽しんでいるマラソンのことまで広く話を聞いた。
(取材日2025年8月27日)
この地で35年以上。患者の今後も見据えた治療を提案
この地域で35年以上診療を行っているそうですね。

はい。私が27歳の時に開業し、2025年で37年目になります。もともとは今の場所の2階に開業して1階に降り、近くですが少し別の場所で診療を行い、8年前に改装をしてこの場所に戻ってきました。開業の話は当時、大学の口腔外科で教授として勤務していた父がいただいた話でしたが、準備を進める中で父が病気により他界。勤務医だった私が急きょ父の代わりに開業することになりました。なにしろいきなりのことでしたから、手探り状態でスタートした感覚でした。長い間、患者さんとお話ししながら診療を続ける中で、皆さんの人となりもわかるようになり、それぞれの性格を踏まえた「合う治療」を提案できるようになってきたように思います。長く通い続けてくださる患者さんも多く、改めて皆さんに支えられてきたと思います。
患者さんはどのような主訴でいらっしゃる方が多いですか?
定期通院の方が多いですが、最近はセカンドオピニオンとしていらっしゃる方もいます。インプラント治療を勧められたけど悩んでいるといったご相談が多いですね。また、そろそろ団塊の世代の先生が引退される時期のようで、今まで通っていたところから紹介されて来る方や、当院に通っている患者さんの紹介で来る方も増えています。そうした方の中には、近隣の方だけではなく遠方にお住まいの方も。年齢層としては開業当初は20代が多かったですが、私とともに年を重ねてきた50代、60代の患者さんや、ご高齢の方が多くなってきました。そろそろ体の病気も心配になってくる年齢ですので、違う診療科の相談を受けることもあるんですよ。少しでも話を聞いてもらって説明してもらうと安心するようです。長く来てくださっている方とはお友達みたいな感覚ですね。
ご高齢の方の診療で気をつけていることはありますか?

今後、通えなくなることも考えられますので、「今できることをやる」だけが正解ではないケースも出てきます。例えば、現時点ではインプラントを入れることがベストでも、その後寝たきりになってしまったら、取り外してケアできる入れ歯のほうが便利といったケースですね。完璧な治療を実施しても、その後の経過により再治療の可能性をゼロにすることはできません。だからこそ、3年後、5年後、10年後を見据え、万一駄目になった時にどうするかを常に考えながら治療しています。
受診間隔が空いても来づらくさせない診療スタイル
定期通院の患者さんが多いそうですが、通院を促すために何か行っていますか?

実はこれといってないんですよ。よく患者さんに伝えるのが、「来られる範囲で来てください」ということ。1年後になってしまったとしても来てくださればいいのです。通院間隔が空くことによって来づらくなってしまうのが一番良くありませんから。それに私自身が自分に甘いので、厳しくしてしまうとどの口が言っているんだという気持ちになるんです。当院に長く通われる方の中には、困った時だけ来られる方もいますし、そうしたお困りの時だけの来院も歓迎して受け入れています。歯科的にはもちろん定期受診を継続していただいたほうが良い状態を保てるのですが、すべての方が歯科を定期的に受診できる状況ではないことも理解できます。長い人生、忙しいとか、他に優先すべきことがあるとかで、「歯科どころじゃない」というタイミングもあるでしょうからね。
患者さんのタイミングも大事にしているのですね。
ただ、こうしたスタイルでは治療自体があまり進まないことも考えられます。ですので、これ以上悪くならないための現状維持と、痛みや腫れなどの嫌な症状を取り除くための処置ができれば、それで良しとしています。お話ししたり、長くお付き合いしていると、徐々に「この方はこういう方かな」という輪郭のようなものが見えてくるのです。「痛くなくなればまた来なくなるだろうな」というのもなんとなくわかりますので、それでもできる限りの状態をキープできるような方法を提案したりしています。自宅でのメンテナンスができる方かどうかも察することができますから、性格や生活スタイルに合わせた治療を選択できるようアドバイスしています。
診療面での変化があれば教えてください。

特に大きな変化はありませんが、仕事半分趣味半分でスポーツ歯科の勉強を始めました。運動中にはさまざまな外傷のリスクがあります。骨や筋肉などはトレーニングなどである程度鍛えることができますが、歯は守ることが難しいのです。そのためにマウスピースの着用が義務となっている種目や推奨されている種目が多数あります。小中学生でも競技中の事故が多く、マウスピースの着用を普及させようという動きが進んでいます。当院では院内でこうしたマウスピースを作製できる体制を整え、導入へ向けて準備をしています。また、マウスピースは顎関節症の治療にも用いられます。難しい症例は大学病院に紹介していますが、当院で対応できるケースもありますので、顎関節症の症状に悩まれている方もご相談ください。
常に「自分の歯だったら」を考えた必要十分な治療
診療の際、大切にされているのはどんなことですか?

自分が治療を受けたときにどう思うか、自分の歯だったらどうするか。患者さんの歯を治療するときも常にそれを考えています。歯を削ることでかえって二次的な虫歯を起こしてしまうケースもあり、私は何でも治療すべきとは考えていません。レーザーなどさまざまな治療機器を導入したこともありましたが、どうしても機械を使うための治療になってしまうように感じてやめました。「この方に本当に必要なものは何か?」を考え、本当に必要と思われる治療だけを提供するようにしています。例えば、合わない入れ歯を作り直しても、決して合うものにはならないでしょう。今あるものを直して合わせようというのが当院の考え方になっています。
趣味がマラソンとお聞きしました。
はい。実は8月末に行われる北海道のマラソン大会にも参加するんですよ。年間15大会ほど参加していて、3分の1は地方で行われている大会です。北海道や沖縄の大会は観光もできますし、行ったことのなかった宮崎県の都城市などもマラソン大会をきっかけに行ってみると良いところで、そういう楽しみもあります。減量をして自己ベストを更新でき、フルマラソン4時間切りの目標も達成できました。少し体重が増えてタイムが落ちてしまったので、なんとか戻したいですね。今も週3日、酷暑の中ですがトレーニングを続けています。
最後に地域の方へのメッセージをお願いします。

特別なことができるわけではありませんが、皆さんのお口をより良い状態に保つためにできることを一緒に考えていければという思いで診療しています。時に話が脱線して長くなることもありますが、中にはお話を楽しみに来ていただく方もいらっしゃいます。歯科医院が苦手、恐怖心が強いという方にも、安心して受診いただきたいです。治療を中断してしまった方、継続通院が難しいという方も、無理せず通える範囲でいらしてください。そして、お困りのことがあれば気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/27万5000円~

