福嶋 由梨 院長の独自取材記事
福嶋歯科医院
(鳥取市/鳥取駅)
最終更新日:2026/06/23
鳥取駅から徒歩約5分の「福嶋歯科医院」。1979年に開業し、2021年からは福嶋由梨院長が継承した。父の代から大切にしてきた“予防歯科”を軸に、現在は子どもの口腔機能育成にも力を入れている。待ち時間を減らすための予約体制や完全個室の診療室、対面で丁寧に説明するスタイルなど、患者との信頼関係を重視した環境づくりも特徴だ。「口を体の一つの臓器として考えてほしい」と語る福嶋院長に、同院が大切にする歯科医療について聞いた。
(取材日2026年5月20日)
予防歯科の理念を継承する歯科医院
初めに、クリニックの特徴についてお聞かせください。

1979年に父が開業した歯科医院で、私は2021年に院長を継承し、今も父と一緒に診療しています。もともと父の代から大切にしてきたのが、口だけを見るのではなく「体の一つの臓器として口を捉える」という考え方です。歯を1本単位で考えるのではなく、健康な状態を長く維持していくことを大切にしてきました。最近は予防歯科という言葉も広まってきましたが、まだまだ「悪くなってから治療する」という感覚の方も多いと感じています。だからこそ、定期健診や日々のケアを通して、その場しのぎの治療の繰り返しではなく、健康な状態を守っていくことの大切さを知っていただきたいと思っています。
先生が歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。
父が歯科医師だったので、歯科医療は子どもの頃からとても身近でした。私自身、定期健診を受けることが当たり前の環境で育ったのですが、周囲ではそうではない人が多いことを知り、「悪くなってから行く場所」という認識が一般的だと気づいたのです。でも父は、何も問題がない段階から定期的に管理し、健康を守っていくことをとても大切にしていました。その考え方に自然と共感したことが、歯科医師をめざしたきっかけだったと思います。大学卒業後は神奈川県の歯科医院で勤務しながら、予防歯科や全人的歯科医療について学びました。父から紹介された教育機関で学ぶ中で、「父はこういう考え方で歯科医院を続けてきたのだ」と改めて理解できたことも大きかったですね。そうした経験を通して、いつかこの考え方を継承していきたいという思いが強くなり、鳥取に戻りました。
これまでのご経験は、現在の診療にどのようにつながっていますか?

勤務医時代は、予防歯科をしっかりと学びたいという思いから勤務先を選びました。また、国内の機関で学んだ全人的歯科医療の考え方は、今の診療にも大きく生きています。全人的歯科医療とは、単にむし歯を治療するだけではなく、噛み合わせや顎関節、口腔機能なども含めて、その人全体を見ながら歯科医療を行うという考え方です。さらに、患者さん自身が「自分の健康は自分で守る」という意識を持てるよう、健康観を育てていくことも大切にしています。研鑽を積む中でアメリカを訪れたこともありますが、その時は歯科医療だけでなく、言葉の壁を強く感じたことも印象に残っています。父も若い頃から海外へ学びに行き、歯科医療を追究してきた人なので、そうした姿勢には今も影響を受けています。
対話と検査を重視した予防歯科
診療で特に大切にしていることは何ですか?

当院では、応急処置が必要な場合はまず痛みを取るための処置を優先しますが、その後は必ず全体の検査を行った上で治療計画を立て、患者さんに納得いただいてから治療を開始しています。その中でも一番大切にしているのが、予防についてきちんとお伝えすることです。治療だけしても、日頃のセルフケアが十分でなければ良い状態は維持できませんので、最初に予防プログラムの時間をしっかり設けています。地域でも早くから唾液成分の測定も取り入れていて、むし歯になりやすい原因や口の中の環境を確認した上で、その方に合ったケア用品をご提案しています。その際に患者さんには、普段使っているケア用品をすべて持ってきていただいています。その上で、それぞれのこだわりや生活スタイル、その方の気持ちや性格も踏まえながら、一方的に変えるのではなく、その方に合った方法を一緒に考えることを大切にしています。
御院の歯科検診の特徴について、詳しく教えてください。
歯科検診では、口の中の状態だけでなく、噛み合わせや口腔機能まで含めて詳しく検査を行っています。その後に「共同診査」という時間を設けています。これは、私たちが一方的に説明するのではなく、患者さんと一緒にエックス線画像や口の中の写真を見ながら、どういう状態なのかを確認していく時間です。例えば、「健康な歯肉はこういう色です」「歯周病になるとこういう変化が起こります」といったことをお伝えしながら、ご自身の口の中を見ていただきます。そうすることで、患者さんご自身に興味を持っていただけると考えています。自分の口の中に関心を持っていただくことが、予防の第一歩だと思っています。健康な状態がどのようなものかわからないと、良い状態かどうかも判断できませんので、まずは知っていただくことを大切にしています。
院内環境や診療スタイルにもこだわりがあるそうですね。

当院では、待合の椅子をあえて4席のみにしています。それは「待たせない診療」を大切にしているからです。予約の時間は、その患者さんのためだけに確保した時間と考えているので、1人あたり1時間ほどの診療時間を設けながらスケジュールを組んでいます。また、診療室は完全個室にしていて、プライバシーにも配慮しています。さらに父の代から大切にしているのが「説明は椅子を倒したまま行わない」ということです。治療中はもちろん椅子を倒しますが、お話をする時は必ず起きていただき、目を見て対面でお話しします。やはり、人と人との信頼関係がないと治療は成り立たないと思いますので、しっかり話す時間、聞く時間を大切にしています。院内も、歯科医院らしすぎない、少しほっとできる空間を意識しています。受付スタッフが季節の飾りや絵を工夫してくれていて、家に招くような感覚を大切にしています。
口の機能育成を支える地域密着型診療
今、特に力を入れている取り組みについて教えてください。

最近、子どもたちの口の機能が育ちにくくなっています。むし歯は減っていますが、口がぽかんと開いていたり、しっかり噛めなかったり、歯並びに問題が見られたりするお子さんはとても増えています。学校歯科医として子どもたちを診る中でも、何もしなくても自然に歯並びが整う子は本当に少なくなったと感じます。そこで当院では、歯並びだけでなく、鼻呼吸や姿勢、足の力、体幹なども含めて確認するようにしています。ここ2年ほどは、正しく鼻呼吸ができるように指導する「息育」へのアプローチにもスタッフ全員で取り組んでいます。小児矯正でも、単に整った歯並びをめざすのではなく、全身の機能を重視しています。
定期健診や地域への啓発活動についてもお聞かせください。
当院では、治療が終わった時点で「ここからがスタートです」とお伝えしています。定期健診は、健康なお口を守り続けるために欠かせないものだからです。当院には、父の代から40年以上通ってくださっている患者さんも多く、学生時代から結婚、出産と、その方の人生の変化を長く見させていただいています。生活環境や年齢によって必要なケアも変わってきますので、その時々に合わせたサポートを続けていくことを大切にしています。また、歯科健康講座などを通して、地域への情報発信にも取り組んでいます。以前は父が「ビーバークラブ」という活動を行い、患者さん同士のつながりを大切にしていました。現在は、スタッフと一緒に歯科健康講座を続けていて、今年は高齢期のフレイル予防をテーマにした取り組みも計画しています。
最後に、今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

小さなお子さんから高齢者まで、途切れることなくサポートしていける歯科医院でありたいと思っています。歯科健康講座なども、院内だけではなく地域の方にも来ていただけるよう続けていきたいですね。実際に新聞を見て参加してくださる方も多く、皆さん「元気に過ごしたい」という意識を持っておられるのだなと感じています。口の中は、悪くなってから治療するよりも、健康な状態の維持を図るほうが、実は負担も少なく守りやすいものです。そのためにも、口の中を体の一部として大切にしていただきたいですね。もちろん、自分だけで守るのは難しい部分もありますので、歯科医院も頼っていただきながら、二人三脚で健康を守っていければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/35万円~、成人矯正/70万円~

