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大町 健介 院長の独自取材記事

大町歯科医院

(松江市/松江駅)

最終更新日:2022/07/20

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開業100年を迎え、新築移転した松江市幸町の「大町歯科医院」。3代目の大町健介院長はしっかり噛んで食事を楽しみ、健康で充実した生活を送ってほしいという思いから、予防に力を入れて診療に臨む。幼児から高齢者まで、患者と長く関わりたいという大町院長。保育所での歯科検診で毎年撮影した口の中の写真を卒園時にプレゼントしたり、新築したクリニックは車いすのまま診療可能なほか、訪問診療も行うなど、子どもから高齢者まで患者に寄り添うことにこだわる。穏やかな語り口ながら、歯科治療にかける熱い思いが感じられる大町院長に、院内へのこだわりや診療する際のモットーなどについて話を聞いた。

(取材日2022年6月7日)

2人の師匠から予防教育と顎関節症を学ぶ

歯科医師を志すようになったきっかけはありますか?

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はっきりと歯科医師になると意思表示をしたのは、小学校3年生の時です。虫歯の治療を受けるといつも痛くて、ある時泣きながら母に「僕は痛くない歯医者になるんだ」と宣言したんです。その後、大阪歯科大学に進学し、卒業後は横浜の鈴木歯科医院に勤務しました。鈴木祐司院長が「一人の患者さんを10年間、診察し続けてやっと治療の良しあしが判断できる」とおっしゃっていたので、患者さんと長いお付き合いを継続できる環境に身を置くために、なるべく早く松江に帰ろうと決めました。横浜にいたのは4年余りですが、その間、月曜から金曜は鈴木歯科医院に勤務し、土曜は東京の中沢顎関節研究所で顎関節症に関する教えを受けて臨床経験を積みながら知識や技術を身につけました。

勤務医時代に学んだことについて教えてください。

鈴木歯科医院の鈴木院長は、保育所や幼稚園、学校などでの子どもたちへの虫歯予防など、予防教育に非常に熱心で、予防歯科の大切さを学びました。また噛み合わせは歯や歯茎の健康状態に密接に関わるので、中沢顎関節研究所で顎関節症についても学びました。当時は顎関節症の教育はそれほど進んでおらず、まさにこれからの分野。師事した中沢勝宏先生は、日本の顎関節症研究の草分け的存在でした。研究黎明期に専門的な知識を学ぶことができ、顎関節症に関する歯科雑誌の連載での知識啓発に役立てられたと感じています。2人の師匠から歯や歯茎、顎関節といった口腔機能の健康を保つ大切さを学んだことが、当院の「私たちは、食べて健康に生きる喜びを分かち合うことで、充実した人生を実現します」という理念につながっているんです。

早くから顎関節症を専門に学ばれたとのことですが、患者さんは多いですか?

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顎関節症が主訴の患者さんは多いですが、それ以外の患者さんも必ず診察でお口を開けるときに顎関節を触診します。そのときに異常を感じた方には、押さえて痛くないか、音はしないかなどを確認し、必要な場合は精密検査を行います。かつては若い女性に多いといわれた顎関節症ですが、上は90代まで診たことがあり、性別・年代にかかわらず起きる疾患です。高校生くらいまでは自然と治癒に向かうこともありますが、骨格の成長を終えた成人はそうはいきません。最近は食いしばりや歯ぎしりが原因で顎関節症になる方が増えているので、原因を調べた上で治療を行います。

よく噛んで食を楽しみながら、健康に

新築移転でこだわった点はありますか?

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どなたでも安心して来院できるクリニックづくりです。院内はバリアフリーで多機能トイレを設置し、広めの通路を用意して駐車場から車いすのまま院内にアクセスできるようにしています。8台のユニットの内、半数は車いすのまま治療が可能です。感染症対策にも力を入れました。手指消毒や検温に加え、玄関に手を洗える洗面台を用意し、受付と会計で待合室を分けて密を避けるほか、院内の床や壁などは抗ウイルス仕様に。空気清浄機で空気を循環させ、診察室には口腔外バキュームを導入し、飛沫の拡散を防ぎます。もちろん、器具の消毒・滅菌も徹底しています。また、個室の手術室や、専門のトリートメントコーディネーターが対応するカウンセリングルームを設置し、治療を受けたり心配事を相談したりする際に、安心していただける配慮もしています。

長年、歯科診療に携わってきて変化は感じますか?

これまで多くの子どもを診てきましたが、この10年で大きく変わりましたね。以前は乳歯から永久歯に生え替わる段階で顎の成長不足で歯並びの乱れが起きるものでしたが、最近は乳歯の時点で歯並びが悪い子どもが多いです。保育士さんに確認すると、「なかなか食べ物が飲み込めない」と言うので、保護者の方にお伝えしたら、「うちの子、唐揚げを食べていますよ」と驚かれて。味が濃い食べ物を噛まずに丸飲みしているから、食べられていると勘違いしているんですね。このような場合、口腔機能発達不全症になり、うまく噛んだり飲んだりできない、滑舌が悪くなる、口呼吸になるなど、さまざまな問題を引き起こします。口腔機能が正常に発達するように、離乳食の段階からよく噛む習慣をつけていただきたいですね。当院では、リハビリやトレーニングも行っていますので、お気軽にご相談ください。

噛む能力を高めるためのアドバイスをお願いします。

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よく噛むには、食材の味を楽しむ味覚を持つことが大切で、調味料の濃い味はじゃまになります。薄味の料理をゆっくりよく噛んで、素材の味を楽しむことです。子どもによく噛む習慣をつけさせるには、味覚ができあがる3歳までに味の濃いものを与えすぎないこと。特に離乳食の頃は野菜をそのまましゃぶらせて、素材の味を味わう体験をさせるのがお勧めです。私自身は一口50回以上噛みますが、これもぜひ実践していただきたいですね。50回を越えると唾液がどっと分泌されて、食べ物の味の変化が感じられるはずです。特に日本では、ごはん、おかず、汁物を三角食べして、口中調味といって口の中で味が混ざっていくんです。50回以上噛むと、それぞれの味がほどけていくのを感じられるでしょう。あとは、よく噛むためには食事中にお茶やお水などの水分で流し込んで食べないようにすることも大切です。

より良い診療を追求し、患者と長く関わりたい

診療する上でのモットーは何ですか?

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常に向上心を持ち、昨日よりも、さっきよりも、もっと良い治療ができるように心がけています。還暦を迎えましたが、開業100周年を機にクリニックを新築移転し、前を向いていこう、新しいことに取り組んでいこうと考えています。勤務医時代には「自分の口の中を診てもらうのは、ここしかない」と、遠方からわざわざ選んで通い続ける患者さんを診たこともあります。そんなふうに思われて一生涯、患者さんに関われるクリニックをめざしています。幼い頃から診ている患者さんが、成人になって子どもを連れて来たり、3代にわたって通うご家族がいるのは、歯科医師として幸せなことです。

今後の展望をお聞かせください。

歯科医院としてSDGsに取り組みたいと考えています。既に実践しているのは働き方改革です。スタッフに気持ち良く働いてもらうために、公休も多めに設定し、有給休暇は完全に消化してもらっています。特に予防歯科に欠かせない歯科衛生士は子育て世代の女性が多いので、仕事との両立をしっかりサポートしていきたいですね。あとこれから着手したいことは、地域連携です。島根県が取り組んでいるヘルスツーリズムに歯科医師として介護食などの面から関わって、介護が必要な方にもおいしいものを食べて旅行を楽しむお手伝いができないかと考えています。他にも、移転前のクリニック跡地は会議室として使用しているので、地域の方を対象に食にまつわる勉強会のようなものを管理栄養士さんと催したいなど、いろいろなアイデアがあります。

最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

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口腔内の健康は、全身の健康に影響します。ある自治体で、住民の口腔ケアと歯科検診を続けたら全体の医療費が削減できたという報告も。80歳で20本歯を残す「8020」は有名ですが、歯にはそれぞれ役目があり、一本でも欠けると咀嚼能力が落ちるなどの影響が出ます。私自身、奥歯を失ったときに顎関節症になり、真っすぐ歩けなくなって驚きました。そうした症状を避けるためにも、人工の歯でもいいから28本の歯を保つことを目標にしていただきたいです。そのために、自覚症状がなくても定期的に歯科検診やケアで歯科医院に足を運んでください。口の中は見えないので異常も気づきにくいですが、だからこそ大事にしてほしい。そして、いつまでもおいしく食事を楽しんで、生き生きと過ごしていただきたいですね。

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