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堤 直也 院長、伊地知 鮎子 さん、上田 まゆら さんの独自取材記事

上田クリニック

(世田谷区/九品仏駅)

最終更新日:2025/05/07

堤直也院長、伊地知鮎子さん、上田まゆらさん 上田クリニック main

九品仏駅から徒歩1分の「上田クリニック」は、訪問診療と外来診療を担う地域密着のクリニック。1990年に自由が丘で往診を中心としたクリニックとしてスタートし、2012年に九品仏へ移転、2015年には堤直也先生が院長に就任している。病気を診るだけでなく心に寄り添う診療を続けている同院。医師とソーシャルワーカー、訪問看護師が一体となった診療が強みで、同じ法人が運営する訪問看護ステーションの理学療法士や作業療法士などとも連携を取っている。取材には、訪問看護師の伊地知鮎子さんと、ソーシャルワーカーの上田まゆらさんも参加。「堤先生は、患者さんだけでなくスタッフの話もよく聞いて尊重してくださいます」という上田さんの言葉に、ほほ笑み合う3人。信頼とチームワークの良さが伝わる取材となった。

(取材日2024年9月17日)

訪問と外来診療の両輪で、医療、介護、福祉をサポート

クリニックの概要をご紹介ください。

堤直也院長、伊地知鮎子さん、上田まゆらさん 上田クリニック1

【堤院長】在宅医療という言葉がまだ知られていなかった1990年に、往診を中心としたクリニックをという想いで開業し、現在は訪問診療と外来診療の2本柱で対応しています。さまざまな医療にまつわる相談の窓口となるソーシャルワーカーが在籍していることも、地域のクリニックでは珍しいのではないでしょうか。また、地域の訪問看護ステーションやケアマネジャーさんとはもちろんのこと、同じ法人の訪問看護ステーションとも連携が強く、情報共有も密に行っています。さまざまな分野の専門家が連携し、多方面の視点から日々の診療にあたっていることが、当院の強みです。

外来診療についてお聞かせください。

【堤院長】外来では、内科と皮膚科を扱っています。内科では、風邪や頭痛、腹痛などの身近な症状をはじめ、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病、花粉症や喘息などのアレルギー疾患、認知症などさまざまに対応。皮膚科では、粉瘤、イボ、乾癬、湿疹などのご相談が目立ちます。また、巻き爪、陥入爪、薄毛、むくみのご相談にも応じています。患者さんは地元の高齢者が中心ですが、2歳くらいから90代まで幅広い層が来院されます。内科と皮膚科はよく連携が取れているので、内科の患者さんの皮膚症状を皮膚科担当の医師に相談できることもメリット。患者さんには、「午後の皮膚科の診療にかかってみませんか」と促すこともあります。

訪問診療を受けたい時は、どのような流れになるのでしょうか。

堤直也院長、伊地知鮎子さん、上田まゆらさん 上田クリニック2

【堤院長】ご本人やご家族、ケアマネジャー、入院先のソーシャルワーカーなどから、当院の在宅総合相談室へご相談いただきます。まずは当院のソーシャルワーカーである上田が窓口となり、私たち医師につなげます。訪問診療を開始するとなれば、定期的に患者さんのご自宅に伺い、治療や投薬の計画的な医療管理を行います。症状が急変した場合には往診にも対応しています。現在は、脳梗塞の後遺症、重度の認知症、がんの末期、神経性の難病、重度の自己免疫疾患などを抱えて通院困難な方を診ています。
【伊地知さん】私は必要に応じて、入浴や清拭の支援、爪切り、薬の内服や点滴、カテーテルの管理などを行っています。リハビリテーションが必要な時や、福祉用具を入れたい時は、理学療法士や作業療法士に同行を依頼することもあります。

ソーシャルワーカーが障害や難病患者に対応も

ソーシャルワーカーである上田さんは、どのような役割なのですか?

堤直也院長、伊地知鮎子さん、上田まゆらさん 上田クリニック3

【上田さん】病気やケガなどで不安や悩みを抱える方の相談に乗り、必要な支援へとつなげています。具体的には、患者さんやご家族の心配や不安のケア、社会福祉制度のサポート、経済的不安の解決支援、訪問診療への移行の調整などです。患者さんからは、「どんな福祉制度を受けられますか?」といったご相談が多いですね。患者さんだけでなく、地域のケアマネジャーなどから、「新しい患者さんを受け入れていただけませんか?」といった依頼をいただくこともあります。また、医師や看護師と、患者さんやご家族を結ぶパイプ役でもあるので、それぞれから相談を受けることも。ご家族の治療の理解度が不十分なら自宅へ伺って再度の確認をする、患者さんの体調が悪くなったと医師に報告を受けたら、福祉制度の再調整を行うといったことも細かく対応しています。

障害や難病を抱えた患者さんに向け、相談支援事業もされていると伺いました。

【堤院長】2017年から始めました。在宅医療は高齢者が多い一方、幼い頃から障害がある方や、難病を抱える方もいらっしゃいます。患者さん本人はもちろん、ご家族のケアも含めて総合的に力になるという想いで活動しています。相談支援については、ソーシャルワーカーと相談支援専門員を兼務する上田が中心となり、その方に合う障害福祉サービスや医療サービスを活用し、患者さんとご家族が納得する支援を提供しています。
【上田さん】障害や難病を抱えた患者さんは、十分な福祉や医療が介入できていないケースがあります。ご本人やご家族よりも、地域のケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーなどからの相談が多いですね。

連携はどのようにされていますか?

堤直也院長、伊地知鮎子さん、上田まゆらさん 上田クリニック4

【堤院長】法人内の訪問看護ステーションに在籍するスタッフを含めて最新の情報を共有できるように、毎朝のミーティングで患者さんの状態報告や訪問予定の確認を行います。また、週1回オンラインミーティングを開き、訪問スタッフが気づいた問題やその対応策などについて相談しています。
【伊地知さん】訪問診療所と訪問看護ステーションが同じ場所にあるため、直接の連携もしやすいです。「先生にすぐ伝えますね」とお伝えしたその日に医師に共有することができ、医師からご家庭へのお返事も早いです。医療用のSNSや電話も利用しながら、患者さんごとの個別対応もスムーズに行っています。

看取りまで責任を持って患者を支え、豊かな人生を応援

診療や患者さんへの対応で大切にしていることを教えてください。

堤直也院長、伊地知鮎子さん、上田まゆらさん 上田クリニック5

【堤院長】当院は、訪問診療が必要だと思えるタイミングで外来診療からスムーズに移行できることが強み。外来と訪問診療で、同じスタッフが患者さんを診続けられるのも、大きなメリットです。その方に合った適切な医療の提供とともに、今までのかかりつけ医が自宅に来てくれる安心感をご提供することを大切にしています。
【伊地知さん】患者さんやご家族のお話に耳を傾け、ご希望に沿ったサービスの提供に努めています。在宅医療はご家族の負担も大きいもの。例えば帰り際の玄関先で、「最近の患者さんの様子はいかがですか?」とお声がけすることで、本音を吐き出していただき、少しでも気持ちが軽くなればと思っています。また、住居の造りや動線を確認し、患者さんの身体機能に合わせて今までの生活スタイルを尊重することも必要です。介護用品の導入など、臨機応変に考えることは難しい反面、やりがいもあります。

上田さんはいかがでしょうか。

【上田さん】私のメインの仕事の一つは、患者さんやご家族に相談窓口として関わり、お話を伺って医師や看護師につなげることです。ただし、単に病状を伝えておしまいではありません。医療者と、患者さんやご家族が信頼関係を築いて、「どうしたら患者さんが満足する治療を受けられるだろう」と考えることが大切だと思っています。「ベッドから立てるようになりたい」「趣味を楽しめるまで回復したい」など、患者さんのご希望はさまざまです。どこまでの医療を希望し、自宅でどのように過ごしたいかなど、詳細にお話を伺い医師や看護師に伝えるため、必要であれば診療に同席することもあります。それが両者の関係性を築き上げ、最終的には患者さんの利益につながると思っています。

今後の展望を教えてください。

堤直也院長、伊地知鮎子さん、上田まゆらさん 上田クリニック6

【堤院長】近年「終活」という言葉が定着し、人生の終焉をどのように迎えたいか、ご家族も含めて考える方が増えてきました。私たちが在宅医療を推進することは、看取りまで責任を持つということです。患者さんやご家族とは、最終的にどのような終焉を迎えたいかを一緒に考えていきたいと思っています。決して、亡くなり方を考えるのではありません。特に高齢者は、残りの人生を有意義に過ごすために適切な治療を選択し、夢を持っていただきたい。人生の最後まで豊かな生き方のお手伝いをしたいのです。また、私は世田谷区での地区連携医として、区民向けの講座を開くことがあります。テーマは「認知症」「在宅医療」などですが、多くの方が集まり関心の高さを感じます。これからも、地域住民の医療の底上げをしながら医療貢献したいと考えています。

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