小森 亜紀 院長の独自取材記事
松本歯科医院
(世田谷区/駒沢大学駅)
最終更新日:2024/08/20

駒沢大学駅から徒歩3分の「松本歯科医院」。ここは、小森亜紀院長の父である松本一臣先生が開業し、この地で50年以上にわたり愛され続けてきた歯科医院だ。同院を継承した小森院長は、「患者さまを全力で支えるのが歯科医師の務め」という松本先生の姿勢を受け継ぎ、地域の「健口」づくりに尽力。温かなまなざしで、日々患者と向き合っている。また、「誰もが通いやすい環境づくりを」という小森院長の想いは、バリアフリー化や感染症対策といった形で、院内の所々に表れているようだ。そんな同院が力を注いでいる治療や、診療におけるモットーについて小森院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2012年5月11日/情報更新日2024年8月2日)
高齢者や親子連れにも優しいクリニックをめざして
清潔感にあふれ、ゆったりとした雰囲気のクリニックですね。こだわりを教えてください。

ご年配の方や女性にも優しいクリニックにしたいと思い、どなたでも安心して受診いただけるように環境を整えました。その一つが、バリアフリー設計です。先代の院長だった父が高齢の方の治療を一生懸命やってきたこともあり、この点には特にこだわりを持っています。私は女性の視点から、小さなお子さんを持つお母さんが通いやすいように、といったことも重視しました。例えば、車いすやベビーカーでもスムーズに移動できるのはもちろん、ベビーカーでそのまま診察室に入って赤ちゃんと対面する形でユニットに座れるようにしています。お母さんもお子さんも、安心してご来院いただけたらうれしいです。特にお子さんがいらっしゃる方は、歯が痛くても我慢されて、ご自分のことを後回しにしてしまいがちですので、そういった状況を少しでも減らして差し上げたいですね。
感染症対策も強化されているそうですね。
他の患者さまと重ならないように予約時間を調整し、ソーシャルディスタンスの確保にも努めています。ドアノブや水回りなどのアルコール消毒はもちろん、診療台は患者さまごとの消毒・清拭を欠かしません。また、医療器具は1人分ずつパックして滅菌し、歯を削るタービンなどは使用の度に洗浄、滅菌しています。何よりも安心して治療を受けていただきたいので、スタッフみんなで考えてできる限りの対策を講じています。
どのような方がいらっしゃいますか。

近隣にお住まいの方を中心に、満遍なくいらしている印象です。ご家族そろって受診される方も多いですよ。最初は「女性の先生だから行ってみよう」という感じでお子さんが来られて、その様子をご覧になったお母さんが「私もお願いします」、そのうち「主人もお願いします」とお父さんも来て、という感じですね。ご紹介など、こういったつながりは大事にしていきたいです。
誤嚥防止のため口腔体操を実施。歯の移植にも対応
こちらでは、口腔体操を診療に取り入れていると伺いました。

ご高齢の方は嚥下(飲み込み)機能が落ち、誤嚥から肺炎になって病態が悪化することが多いのですが、それをできるだけ防ぎたいと考えたのです。そのためには、口と喉の筋肉を落とさない口腔体操がとても有用ですので、当院でも積極的に行うようにしました。また、嚥下機能が大幅に落ちると体にチューブを入れて流動食を胃に送ることがありますが、そうなると体の機能が低下するだけでなく、老人ホームに入ることができないなどの問題も出てきます。食事の際、「飲み込もうとするとむせてしまう」といわれるご高齢の方は少なくありませんので、嚥下障害を防ぐための口腔体操がもっと認知されるようになればと思っています。
歯の移植をされているのも特徴的ですね。
歯を失ったときの治療法としては入れ歯やブリッジ、インプラント治療などがよく知られていますが、もう一つ、移植という方法もあります。親知らずなど使っていない歯を移し入れるというもので、ご自分の歯ですから親和性が高いことが大きなメリットですね。移植する歯が健康であるなどいくつか条件がありますが、それらをクリアすれば有用な手段になると考えています。
新しい設備も導入されたそうですね。

ええ。今よりもさらに精度の高い治療が行えるよう、2024年7月にデジタルマイクロスコープを導入しました。これによって、最大80倍まで患部を拡大して見ることができるようになりますので、虫歯などの取り残し防止はもちろん、主訴からではわからなかった些細な異常の発見にも役立つはずです。また、治療中にその場で患部の状況を詳しく患者さまにお見せすることができるのもメリットだと思います。実際の映像や画像を一緒に見ながらご説明できれば、よりスムーズに、わかりやすく状況をお伝えすることができるのではないでしょうか。当院では予防歯科にも力を入れていますので、お口の中の現状を正しく把握していただき、予防意識の向上や、セルフケアのモチベーション維持にもつなげていきたいですね。
ライフスタイルに合わせた治療プランを提案
診察する際に心がけていることを教えてください。

患者さまが、日々の生活の中で大切にされていることを意識して治療方針を立てています。と言いますのも、私が医師としてお勧めしたい治療があっても、それが患者さまの望まれる治療とは限らないからです。例えば、30代で子育て真っ只中のお母さんと、70代でお仕事をされている方とでは、治療法のプライオリティーも変わりますよね。虫歯治療一つとっても、30代のお母さんでしたらセラミックの詰め物がいいと言われるかもしれません。70代の方でしたら詰め物の色より、早く治療を終わらせたいとおっしゃることも。一方で、もしお若い方でもスポーツをされていれば「丈夫な銀歯がいい」と言われる方もいるでしょう。こうしたこともあり、当院では患者さまのライフスタイルを十分に把握できるよう、診察時のコミュニケーションを重視しています。もしお仕事をされていれば、「夜は遅いんですか?」「神経を使われるお仕事ですか?」とお聞きする形ですね。
歯科医師を志した理由をお聞かせいただけますか。
以前は、父の後を継ぐことに反発した時期や、歯科医師の資質が自分にあるのか悩んだ時期もありました。でも、幼い頃から父の仕事について話を聞いて、やりがいのある仕事だという思いが深層心理の中に刻み込まれていたのでしょう。いろいろ考えた末、父と同じ大学を出て歯科医師になりました。勤務医時代は、オールラウンドに診察できるようにということを心がけていました。父のクリニックを継ぐという気持ちは初めはそれほど強くなかったのですが、継承したからには地域に根差して皆さんのお役に立ちたいと思っています。
最後に、今後の展望をお願いします。

ご高齢になると、食事と会話が何よりの楽しみという方も多いと思います。そんな方に大切なのは、お口と歯。「食べ物をこぼしてしまって恥ずかしい」というお気持ちになると楽しみが減ってしまうので、どんな姿勢でどんな器具を使えばこぼさずに食べられるか、口腔体操を交えつつ患者さまと一緒に考えていきたいです。また、当院では「親子歯磨き講習会」や「大人の健口講座」など、啓発活動にも取り組んでいます。治療だけでなく、積極的に知識を提供することは、地域に根差した診療を行うにあたって大切なことだと思います。現在、開催は感染症対策で自粛中ですが、環境が整えば再開して口腔ケアの重要性などをしっかりお伝えしていきたいです。患者さまと密にコミュニケーションを取り、マイクロスコープも活用して、画像などから次第に良くなっていく実感を持っていただきたいですね。受診するのが楽しくなる歯科医院、それが私の理想です。
自由診療費用の目安
自由診療とはホームホワイトニング/2万2000円
歯の移植:手術/7万7000円(※その後の処置には1回3000円かかります。通院回数やかぶせ物に使用する素材は患者さまごとに異なるため、直接ご相談ください)