延本 充弘 院長の独自取材記事
のぶもと歯科
(広島市中区/比治山橋駅)
最終更新日:2025/05/29

国道2号や大型商業施設から近く、利便性の高い場所に「のぶもと歯科」はある。院内は明るく清潔感があり、先進機器も幅広く取りそろえる。延本充弘院長が1975年に開業して以来、同院には地域住民のみならず、海外からの患者も多く訪れている。延本院長がモットーとしているのは「ベターはなくベスト」。治療している歯が自分の歯だったらという考え方を常に持つことで、患者が感じているであろう痛みや不快感を、少しでも軽減させたいというのだ。また患者に合わせた説明と言葉選びも重視し、何よりもまず患者のことを考える姿勢がうかがえた。同院は訪問診療にも取り組み、地域医療に貢献。いずれは副院長への継承を考えているとのことで、インタビューでは次世代への期待も語ってくれた。
(取材日2024年4月17日)
開業から約50年。地域に根差し続けるクリニック
広島市中区宝町に開業された経緯を教えてください。

開業前に勤めていた病院から比較的近いという理由で、宝町を選びました。私が独立することを決めた時、私が受け持っていた患者さんの中には「先生のところで診てほしい」とおっしゃってくださる方もいたので。あまり遠いとその患者さんたちの要望をかなえるのが難しくなってしまいますから、そこからほど近く、市内電車でのアクセスもしやすいこの場所を選びました。
あまり大きな看板を出されていませんね。
そうなんです。当院の看板はビルの入り口と横だけですね。本当は横看板も出したくなかったんですが、ここの入居条件として横看板を出すことになりました。看板だけでなく、広告もほとんど出していないんです。というのも、大学卒業後に勉強会などでオーストラリアやアメリカに行った時、歯科クリニックの看板をほとんど見たことがなくて。衝撃を受けたと同時に、かっこいいと感じたんですね。その印象が強く残っていて、自分があれこれ看板や広告を出すことがためらわれるようになりました。その結果、ほとんど看板や広告を出さずに今に至ります。
開業してから約半世紀、変化したことや変わらないことはありますか?

大きく変わったという印象はありませんね。ただ観光客は増えたと思います。それに伴って、私の妻が通訳ガイド協会に勤めている関係もあるかもしれませんが、当院も海外からの患者さんが増えました。旅行中に歯の調子が悪くなって受診されるようですね。当院では私と女性歯科医師が英語を話せますから、外国籍の患者さんも対応可能です。それから近くに大きな外資系ホテルができてからは、そこに勤めている海外スタッフの方々も患者さんとして来院されます。当院が頼りにされているのはうれしいですね。患者さんの世代交代はありますが、基本的に当院の患者層に大きな変化はありません。
医療は患者のためだけにある。患者に寄り添う診療方針
先生が歯科医師をめざされたきっかけは何だったのでしょうか?

子どもの頃から細かい作業が好きだったから、というのはきっかけの一つだと思います。今でも細かな絵を描くのは好きですね。院内に飾っているのは私が描いた絵なんです。それから進学を考えた時に自己分析をしてみて、私は会社員には向かないだろうと思ったのも理由です。一人でできる仕事のほうが向いているんじゃないかと考えました。歯科医師は自分の知識・技術を高めれば高めるほど患者さんに還元できますし、より多くの患者さんの幸福にもつながります。自分のスキルで誰かの役に立つことができるって、誇らしいことだと思うんですよ。
診療において大切にされていることを教えてください。
「ベターはなくベスト」をめざして診療にあたっています。これは恩師の言葉でもあり、私のモットーでもあります。例えば患者さんの歯を削る時、「今削っている歯が自分の歯だったら」と考えます。そうすれば、自然とベターではなくベストが目標になるんです。それに私は小さい頃からよく虫歯になっていたので、歯科クリニックにしばしば通っていました。成長してからは親知らずも抜きましたし、歯が折れて治療したこともあります。多くの歯科医師に治療されてきた経験があるので、どこをどうすれば患者さんが不快に感じるか、痛みを感じるかといったことが何となくわかります。触り方一つでも、患者さんが受ける印象は大きく変わってきますからね。多くの歯科医療の受診を経験してきたからこそ、歯科医師になった今、その経験を生かす時だと思うんです。
患者さんとの言葉のやりとりにも配慮されているとお伺いしました。

そうですね、かなり気をつけています。というのも、私が子どもの頃、熱を出して注射をすることになった時に、担当していた医師が看護師に注射の指示を出すのですが、その口調がかなり横暴で、子どもながらに「もっと優しく言えばいいのに」と思った記憶があります。言葉というのは、細かなことでもニュアンスがかなり変化します。例えば「麻酔が切れる」ではなく「麻酔が戻る」、「エックス線写真を撮る」ではなく「エックス線写真を写す」。もちろん、言葉選びだけでなく、患者さんにわかりやすい説明も心がけていますよ。簡潔に伝えたり、逆に細かく伝えたり、具体例を出したり、図や写真を使って説明したりと、患者さんの反応を見ながら、その患者さんに合った説明をするようにしています。お子さんに対してもそうです。中学生ぐらいになると一人で来院されますから、その時は保護者宛てに、治療前後の写真をおつけしてお手紙を渡しています。
これからもかかりつけ医であるために邁進
訪問診療にも力を入れて取り組まれているのですね。

当院では、政府が枠組みをつくる前から訪問診療を行っています。きっかけは市役所の職員さんから、民間の高齢者施設で入所者の口腔ケアをしてほしいと要望があったからです。1985年頃ですかね。今でこそポータブルの治療機器が開発されているので、訪問診療でもそれなりのレベルで治療を提供することができますが、当時は大変でした。設備も前例もありませんから、手探りの毎日でしたね。現在も訪問診療は続けています。高齢者福祉施設や、子ども療育施設をメインに訪問しています。要望があれば、今まで当院に通っていたけれど、加齢や病気などで通えなくなった患者さんのご自宅に出向くこともあります。
副院長やスタッフさんとの連携についても教えてください。
コミュニケーションを大切にしています。ミーティングは毎日行い、気がついたことをお互いに話してもらうようにしています。また月に1度は歯科医師とスタッフが全員集まって、意見交換や情報共有をしています。直接言いづらいことは、目安箱を設置しているので匿名で意見投稿も可能です。とにかくスタッフがいないと、私たちは何もできませんから。スタッフの意見や視点を大事にして、スタッフが働きやすい環境づくりにも配慮しています。
今後のクリニックの展望があれば教えてください。

いずれは副院長と世代交代し、当院を継承してもらう予定です。医療は日進月歩で、新しい技術や知識が次々発見、発表されています。ですから今後は副院長を中心に、当院ではまだ導入していない新しいことにも取り組んでほしいです。副院長が積極的にインプラントや歯科矯正の勉強会へ参加してくれているので、きっとそう遠くないうちに、当院でも先進的な取り組みを始めてくれるだろうと期待しています。他のクリニックともお互いに切磋琢磨しながら、地域へいい影響を与えていけたらと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/23万円~、矯正/75万円(マウスピース型装置を用いた矯正)~、ホワイトニング/4400円~