復職後のフォローも充実した
専門性の高いリワークプログラム
三軒茶屋診療所
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2024/11/08


- 保険診療
うつ病などで休職している人が復職を希望した際、本人の希望や主治医からの提案でリワークプログラムを利用する場合がある。一般的に仕事などで感じるつらさや不安の軽減、対人関係のスキル向上などをめざすプログラムが提供されるが、「三軒茶屋診療所」併設の「東京リワークセンター」でセンター長を務め、高橋康弘院長のもとリワークプログラムを主導する佐藤俊之さんは、「復職後に病気が再発しても自分で管理できる力を養うことも大切です」とアドバイスする。作業療法士、公認心理師、精神保健福祉士の資格を持ち、大学で認知行動療法の研究にも従事するなどリワークプログラムの専門家である佐藤センター長に、プログラムを利用するタイミングや主な内容について、同施設での実践例も含めて紹介してもらった。
(取材日2024年9月26日)
目次
不安やつらさの軽減をめざす認知行動療法に加え、PCゲームやVRを用いた新たなアプローチも導入
- Qリワークプログラムの目的や対象になる人を教えてください。
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A
▲利用開始前は面談や施設見学などを実施する
うつ病などで休職中の患者さんが復職をめざして行うリハビリテーションがリワークプログラムです。三軒茶屋診療所の患者さんだけでなく、ほかの医療機関からのご紹介でいらっしゃる患者さんも多いのですが、主治医を変えずにプログラムを利用できる点は患者さんにとっても安心ではないでしょうか。以前の職場に戻る復職以外に転職希望の方も受け入れています。加えて当施設はクリニック併設のため、医学的根拠のある新たなアプローチも取り入れやすく、患者さんの症状の変化に対応しやすい点もメリット。例えば専用のPCゲームとグループの話し合いで認知機能にアプローチする取り組みや、VRを用いた感情認知トレーニングなども行っています。
- Qプログラムはどのように始めればいいのですか?
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A
▲早期復帰のため、早めに専門家に相談することを推奨
本人が利用を希望され、主治医もリワークが適切と認めている方が対象で、利用したいリワークの施設に主治医の紹介状を郵送または持参してください。施設が受け入れ可能と判断すれば、受け入れ面接でプログラムなどを相談することが一般的です。さらに当施設ではご自身の希望とマッチするかを知っていただけるよう、面接前の施設見学もお勧めしています。より多くの患者さんの復職を支援したいと考え、入院中などを除いてほとんどの方を受け入れるよう心がけ、早ければ面接翌日からプログラムを開始できるのも特徴です。傷病での休職に期限を設ける企業も多く、十分なリハビリテーションのためには早めの開始も検討してください。
- Qこちらではどんなプログラムが受けられるのでしょうか?
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A
▲VRを活用して対人関係のトレーニングを行うプログラムも
うつ病が再発しないよう、再発しても病をうまく管理できるよう、認知機能の回復を図る認知行動療法のほか、心と行動の両面から対人関係のトレーニングを行います。集団スポーツによるアプローチにも積極的です。認知行動療法は自分を苦しめる考え方や行動パターンを、復職という同じ目的を持つ仲間とのディスカッションを通して見直し、つらさの軽減をめざす取り組みです。また、ゲームを進める中で論理の飛躍など本人の思考の癖を見つけ出す取り組みや、行動面からアプローチするSCITやSSTに加え、周囲の人の表情をどう判断するかといった感情面についてVR映像なども用いて訓練も行ってます。
- Q集団スポーツにはどのようなメリットが期待できますか?
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A
▲多種多様なリワークプログラムで患者をサポート
患者さんの健康増進に加え、ボールに意識を集中して体を動かすことでマインドフルネスも期待できます。特に集団スポーツはメンタルヘルスへの寄与度も高いという研究結果もあり、当施設では厚生労働省の運動のガイドラインを参考にバスケットボールやフットサル、ハンドボールを試合形式で行う時間を設けています。仕事と同じように本人はメンバーや参加するスポーツを選べず、キャプテンも持ち回り制にしてスポーツが苦手でも上手な人に指示を出す立場になることも。スポーツを通したさまざまなコミュニケーション、ときには走るペースを落として体力を温存するコツなどは、復職後に無理せず仕事に取り組むときにも役立つのではないでしょうか。
- Qプログラムの提供で重視される点をお聞かせください。
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A
▲患者一人ひとりに寄り添いながらトレーニングや指導を行う
当施設では最低週1回は本人と面談し、「ほかの人と協力して作業する」など患者さんごとの課題を明確にして、達成度を自己評価してもらいますが、その際には課題が本当に実践できているかを重視しています。うまくいかない場合は作業療法士という専門性も生かし、本人の行動を促すよう工夫していきます。一方で、職場で仕事がうまく進まなくても私たちは周囲にいませんから、あまり先んじてサポートせず、失敗をどうリカバリーするかも確認してからのアドバイスを心がけています。リワークプログラムは主治医が許可し、本人が主体的に参加するもので、復職に何が必要かを自分で考えて行動してもらうことも大切にしています。