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高橋 康弘 院長の独自取材記事

三軒茶屋診療所

(世田谷区/三軒茶屋駅)

最終更新日:2020/04/01

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下町の人情味溢れる雰囲気と、洗練された雰囲気を併せ持つ街として人気の東急田園都市線・三軒茶屋駅周辺。開業してからすでに50年を超える歴史を持つのが心療内科を専門とする「三軒茶屋診療所」だ。「ストレスの多い現代社会において、うつ病や不安障害を原因として長期にわたり休業を余儀なくされる人も増えています。そこでリワークプログラムなどを通じ、症状の改善だけではなく、社会復帰までを視野に治療を行っています」と語る高橋康弘院長は、教育者をめざす過程で人格形成へアプローチするおもしろさに目覚め、大学を卒業後に改めて医学部に入り直した努力家だ。今回はうつ病治療への取り組みを中心に、心療内科との向き合い方なども含め話を聞いた。
(取材日2016年2月23日)

心療内科は心身症や軽いうつ病などの症例を中心に担当

まずは診療所の歴史について簡単にお聞かせください。

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当診療所が所属する医療法人の本部は柏にあるのですが、こちらの診療所の歴史は古く、開業したのは1954年で、当初は内科の診療所として開業し、心療内科を併設するようになったのは1997年からです。現在診療所はビルの2階にありますが、ビルの1階のスペースを活用して4年前にうつ病の方の社会復帰を目的としたリワークプログラムを実践するためのデイケアを開業したのを契機として、現在は心療内科専門の診療所となっています。

心療内科と内科、精神科の違いを教えていただきたいのですが。

精神科と心療内科の違いは、あくまで目安としてですが、入院が必要なような重篤な症状がある場合は、一般的に精神科の範囲になるのに対して、心療内科はより軽度な状態の方が対象です。もともと心療内科はストレスといった精神的な問題に起因しておこる高血圧や胃潰瘍などの内科的疾患、つまり心身症を対象として始まりました。その後、それに加えて、身体症状よりも不安やうつ状態などの精神症状が中心の病態も広く扱っております。最近では高齢化社会を反映して、認知症のケースも増えてきており、うつ病と思って来院されたあと診察の結果認知症と診断されることも少なくありません。こうしたケースは当診療所の場合、近隣にある東京医療センターなどにMRIなどの検査をお願いする病診連携をして対応しています。

現在どのような症状の患者さんが多く通院されているのでしょうか。

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主訴として多いのはうつ病、パニック障害を含む不安障害ですね。近隣にお住まいの方が一番多いのですが、当診療所のある三軒茶屋は神奈川方面と大手町などの都心部の中間に位置していますから、田園都市線を利用して都心に通勤されている川崎・横浜近辺にお住まいの患者さんも多くいらっしゃいます。実際に通院された患者さんからのクチコミで来たという方や、最近では当診療所のホームページを見て来たという方も増えています。先程も申し上げましたように社会復帰を目的としたリワークプログラムに積極的に取り組んでいることもあり、30~40代の働き盛りの方が多いのが特徴かもしれません。

リワークプログラムで社会復帰をめざす治療を実践

実際の診療の中身について簡単にお聞かせください。

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初診の際にはまず問診表をご記入いただきます。質問の中身は今までの病歴、現在の心身の状況、アレルギーの有無、たばこや酒といった嗜好品について、そして生活史や職場環境、家族関係といったことで、かなり細かくお伺いさせていただきます。その問診表を見ながら診察させていただくわけですが、ほとんどの場合初診で病名診断ができますから、その結果に基づいて次からは具体的な治療に入っていきます。症状を緩和するための薬のほか、必要があれば快適な睡眠を促すための薬、そして症状がアルコール依存などに起因している場合には一時的に禁酒を促す薬なども処方しますが、こうした薬の中には依存性がある物もあるため、当診療所ではなるべく薬に頼らない治療を実践しています。

薬に頼らない治療とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

当診療所には臨床心理士も常駐しており、診療とは別にカウンセリングを実施しています。カウンセリングは非常に有効なアプローチで、自分の心の内にある思いを吐き出すことで、1回のカウンセリングでも変化がでる場合も少なくありません。その他には医師自らが患者の環境調整を行うことでしょうか。今、一般的に新型うつなどと称される非定型うつ病の場合、特定の1人との折り合いが悪くて会社に行けなくなってしまうケースが実際にあります。例えばそうした場合には実際に会社の人事の方に同席いただいて現在の状況をご説明して、可能であるならば部署を異動してもらうといったことに医師自身が積極的に関与していきます。また、最近では家族関係が原因となっている場合には、医師が間に入って意思疎通の手助けをする場合もあります。

先程からお話に出ているリワークプログラムについてご説明いただけますか。

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リワークプログラムとは、うつ病をおもな原因として休職をされている方を対象に、早期の職場復帰に結び付けると同時に、復職後の再発を防ぐことを目的に行うプログラムです。実際にはデイケアに基本週5日、9~16時まで通っていただきます。仕事に必要な集中力や持続力を養うセルフモニタリング、グループで1つの課題に取り組みながらコミュニケーション能力を養うグループワークやコミュニケーショントレーニング、体力の回復を目的としたフィジカルトレーニングなどを、疑似職場ともいえる環境をつくり、実際に事務作業などに従事しながら行っていき、その様子をソーシャルワーカーなどが観察。個々の問題点を見つけて克服するためにはどうしたことが必要かといったカウンセリングを重ねていきます。

実際にどのような問題点が見つかることが多いのですか。

作業課題を与えると非常に集中して取り組むため短時間に質の高い結果を出すけれど、周囲の人と共同で作業に取り組む姿勢がまったく見られないといった場合があります。本人としては作業をこなせているのでどこが問題なのか気付きにくいのですが、実際の職場では共同で作業を行う場面を避けて通れませんから、ソーシャルワーカーがコミュニケーションに問題があったことを指摘して、初めて自分の問題点に気づくといったことが多いように思います。その方が所属する会社に実際に経過報告を上げて密に連携を取りながら復職をめざし導いていきます。最近では会社側への認知が広がってきたこともあり、2度、3度とうつ病を原因として休職を繰り返すようなケースでは、会社の方からリワークプログラムへの参加を勧める事例が増えてきています。

日常の小さな出来事を通じて上手に気分転換を

精神科の医師になられたきっかけを教えていただけますか。

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実は大学医学部入学前には教育学部に在籍しており、その過程で人格形成に必要なアプローチについて学んだことで精神分野のことに興味を覚えました。ただ教育学の場合、アプローチの方法が限られてしまいますが、精神科の医師であれば投薬といった方法を含め、もっと多角的にアプローチできると考え、4年生大学を卒業後に精神科の医師をめざして再度医学部に入り直しました。

先生ご自身、ストレスが溜まってしまうことはないのでしょうか。

実はその質問を受けることがとても多いのですが(笑)、診察室から一歩外に出ると、私の場合意外とそれだけで気分を変えることができるんです。また、お昼休みなどはできるだけ診療所の外で食事を摂るようにするなどして積極的に気分転換を図っています。休日などは、最近はもっぱら体を休めることを第一にしていて、家で音楽などを聴いて過ごすことが多いですね。

心の不調に悩む方にアドバイスがあればお願いします。

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会社においても家庭内においても、現代生活においてすべてのストレスを避けて通ることはできません。そこで大切になってくるのが上手に気分転換をして溜まったストレスをうまく消化するという点です。これはそれほど難しく考えることはなく、できることをできる範囲でするだけで充分なんです。また現代はインターネットなどを中心に情報があふれていますが、あまりその情報に惑わされないことも大切です。最近はネットなどで簡易診断のようなものがあり「私、アスペルガー症候群だという結果が出ました」などと言って来院される方もいらっしゃるのですが、診察すると問題のない場合も少なくありません。ですから気になることがあれば、まずは一度専門機関を気軽に受診していただきたいですね。

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