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高橋 康弘 院長の独自取材記事

三軒茶屋診療所

(世田谷区/三軒茶屋駅)

最終更新日:2024/11/07

高橋康弘院長 三軒茶屋診療所 main

東急田園都市線で渋谷駅から4分ほどと便利な三軒茶屋地区で、1954年から診療を続ける「三軒茶屋診療所」は、心療内科と精神科を専門とする診療所だ。「近年はうつ病や不安障害などで休職される方も増えています。そのため当院ではリワークプログラムなどを通じ、症状の改善だけではなく、復職までを視野に治療を行っています」と話す高橋康弘院長は患者の包括的なサポートを心がけている。教育者をめざす過程で人格形成へアプローチする面白さに目覚め、大学を卒業後に改めて医学部に入り直したという高橋院長に、薬になるべく頼らない方法にも対応しているという診療方針やリワークプログラムの特徴などを聞いた。

(取材日2024年9月26日)

リワーク施設を持つ心療内科と精神科の診療所

こちらの診療所の特徴を教えてください。

高橋康弘院長 三軒茶屋診療所1

当院は1954年に開業しましたが当初は内科の診療所で、心療内科を併設したのは1997年からです。2012年には当院があるビル1階に、主にうつ病で休職中の患者さんを対象にしたリワークプログラムを提供する東京リワークセンターを開設しました。これを機に現在のような心療内科と精神科を備える専門の診療所となり診療を行っています。私は教育学部に入学し、人格形成に必要なアプローチについて学んだことで精神分野に興味を持ち、卒業後に改めて医師をめざしました。教育学とは異なる、医学をベースに患者さんに幅広くアプローチしたいと考えて精神科の医師になったので、当院では患者さんのさまざまな悩みに対し、包括的にサポートできるよう心がけています。

主にどのような患者さんが受診されるのでしょうか。

主訴として多いのはうつ病、パニック障害を含む不安障害です。近隣にお住まいの方が中心ですが、当院のある三軒茶屋は神奈川方面と大手町などの都心部の中間に位置しているため、田園都市線を利用して通勤されている川崎・横浜などにお住まいの患者さんもいらっしゃいます。実際に通院された患者さんからのクチコミで来院された方のほか、最近では当院のホームページを見て来院される方も増えています。復職をめざしたリワークプログラムに積極的に取り組んでいることもあり、年齢・性別を問わず幅広い患者さんが受診されていることも当院の特徴といえるでしょう。

心療内科と精神科では診療にどんな違いがあるのですか?

高橋康弘院長 三軒茶屋診療所2

精神科と心療内科の違いは、あくまで目安としてですが、入院が必要になるほど重篤な症状の場合は一般的に精神科の範囲と考えられ、心療内科はそれよりも軽度な状態の方が対象といえます。もともと心療内科はストレスなど精神的な問題に起因する高血圧や胃潰瘍といった内科の病気、いわゆる心身症を対象として始まりました。現在の心療内科は、身体症状より不安やうつ状態などの精神症状が中心となる病態も含め広く診療する科になっています。最近は高齢になって発症した認知症をうつ病だと思って来院され、診察で認知症と診断されることも少なくありません。当院ではこうした患者さんには、近隣にある地域の基幹病院にMRIなどの検査をお願いする病診連携で対応しています。

より多くの患者へのリワークプログラムの提供をめざす

患者さんの診察はどのように行われるのでしょうか?

高橋康弘院長 三軒茶屋診療所3

初診の患者さんには問診表をご記入いただきます。質問項目は今までの病歴、現在の心身の状況、アレルギーの有無、タバコや酒といった嗜好品についてなど。加えて生活史や職場環境、家族関係といったことまで、かなり細かく伺う内容となっています。その後、当院のソーシャルワーカーによるヒアリングを30分ほど行います。そうした問診票やヒアリングの内容も参考に、医師が患者さんを診察します。初診で診断がつくことも多く、その結果をもとに次回の受診から具体的な治療に入っていきます。症状を緩和するための薬のほか、必要があれば快適な睡眠を促すための薬、症状がアルコール依存などに起因する場合には一時的に禁酒を促す薬なども処方します。ただ、薬の中には依存性を持つものがあるため、当院ではなるべく薬に頼らないアプローチも実践しています。

薬に頼らないアプローチとは、具体的にどういった方法なのですか?

例えば当院に在籍する臨床心理士によるカウンセリングです。患者さんの希望や医師が必要と考えた場合に実施しますが、患者さんが心の内の思いを表に出すことで、1回のカウンセリングでも変化が期待できる場合があります。また、患者さんの病気のきっかけになる要因を軽減するため、職場や家庭の環境調整も行っています。一般的に新型うつともいわれる非定型うつ病の場合、職場の特定の1人との折り合いが悪くて会社に行けなくなるケースもあるのです。そうした場合には会社の人事担当者に同席いただき、現在の状況をご説明して可能なら部署を異動してもらうなどの助言を行います。家族関係が原因となっている場合には、医師が間に入って家族の意思疎通の手助けをする場合もあります。

復職をめざすリワークプログラムについて教えてください。

高橋康弘院長 三軒茶屋診療所4

主にうつ病により休職している患者さんが対象で、早期の職場復帰に結びつけると同時に、復職後の再発を防ぐことを目的としたプログラムです。当院併設の東京リワークセンターでは作業療法士、公認心理師、精神保健福祉士の資格を併せ持つスタッフが中心となり、PCゲームやVRを用いるなど、新たなアプローチも取り入れています。認知機能の回復を図り、仕事に必要な集中力や持続力を養うセルフモニタリングのほか、グループワークを通して社会との関係や対人関係に必要な力を高めるトレーニングも行い、集団スポーツではグループで物事を進める力の向上も期待できます。さらに疑似職場ともいえる環境で事務作業などに従事する機会も設けています。並行して週1回はスタッフと面談を行い、課題への取り組みなどを施設側と患者さん自身が共有して、個々の問題点の解決を話し合うことも重視しています。

日常の小さな出来事を通じて上手に気分転換を

先生自身がストレスをため込むことはないのでしょうか。

高橋康弘院長 三軒茶屋診療所5

実はその質問を受けることがとても多いのですが(笑)、私の場合は診察室から一歩外に出るだけで自然に気分を切り変えられるようです。また、お昼休みなどはできるだけ診療所の外で食事を取るようにするなどで積極的に気分転換を図っています。一方で休日などは、最近はもっぱら体を休めることを第一にしていて、家で音楽などを聴いて過ごすことが多いですね。

リワークプログラムを検討される患者さんにアドバイスをお願いします。

当院併設の東京リワークセンターでは、復職をめざす方をできる限り支援したいと考えています。すでにほかの医療機関で治療を受けている患者さんも、主治医を変更せずに当施設のプログラムを受けられますから、安心してご利用いただけるでしょう。また復職後にメンタルの不調を感じるときは、当施設で相談もでき、早期に対応すれば再発防止にも役立つと思います。回復には十分な時間が必要なことも多いので、復職を希望される方は一度当施設を検討いただければと思います。

最後に、心の不調に悩む方にもメッセージをいただけますか。

高橋康弘院長 三軒茶屋診療所6

会社においても家庭内においても、現代生活においてすべてのストレスを避けて通ることはできません。そこで大切になってくるのが上手に気分転換をしてたまったストレスをうまく消化するという点です。これはそれほど難しく考えることはなく、できることをできる範囲でするだけで充分なんです。また現代はインターネットなどを中心に情報があふれていますが、あまりその情報に惑わされないことも大切です。最近はネットなどで簡易診断のようなものがあり「私はアスペルガー症候群だという結果が出ました」などと心配して来院される方もいらっしゃるのですが、基本的には問題のない場合がほとんどでしょう。気になることがあれば、まずは一度専門の医療機関を気軽に受診していただきたいですね。

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