窪田 美幸 院長の独自取材記事
三軒茶屋眼科
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2023/01/13
三軒茶屋駅から歩いて8分の場所にある「三軒茶屋眼科」は、2000年の開院以来、地域に密着した医療を提供してきたクリニックだ。絶え間なく患者が訪れる同院の院長は、豊富な手術経験を持ち、世田谷区医師会の会長も務める窪田美幸先生。その華奢な体型からは想像がつかないほどバイタリティーにあふれたキャラクターも窪田院長の持ち味だ。そんな窪田院長に、眼科の医師を志した理由やこれまでの歩み、クリニックの特徴や地域への思いなど、たっぷりと語ってもらった。
(取材日2022年6月1日)
多くの手術を経験。スウェーデンの研究施設でも勤務
先生が眼科の医師を志したきっかけや勤務医時代のことを教えてください。
小さい頃から自立心が強く、何かの職業に就きたいなとは思っていました。実は高校2年生くらいまでは文系志望で、英語に興味があり、アメリカ留学が決まっていたのですが、虫垂炎になって行けなくなってしまって。それで医師をめざそうと思ったんです。眼科を選んだのは、学生時代に白内障の手術を見て目の中の美しさに魅せられたことがきっかけです。勤務医時代は手術が好きだったこともあり、白内障や緑内障の手術を数多く執刀しました。へき地診療にも携わり、東京都の離島検診などに行ったこともありました。きちんと設備が整っていないような環境で手術を行うこともあり、貴重な経験をしましたね。
スウェーデンで過ごされていた時期もあるとか。
スウェーデンに行ったのは外科医をしている夫の仕事の都合で、向こうでは専業主婦をするつもりでした。ところが、家事はすごく好きなのですが、2週間で飽きてしまって(笑)。それで、カロリンスカ研究所という研究施設でお世話になることになり、角膜のアルカリ外傷の研究に携わっていました。ちょうど2年がたった頃に出産のために日本へ帰国し、その後は3ヵ月で現場復帰しましたね。その時は子どもをベビーシッターや保育園に預けながら、小金井市にある眼科医院に勤務して主に手術や一般診療を行っていました。
三軒茶屋で開院に至った経緯は?
勤務医時代は白内障手術など顕微鏡を見ながらの細かい作業をずっと続けてきましたが、自分自身の年齢や体力的なことを考えると、そういった手術を行うことに限界を感じるようになりました。また、娘の受験など家庭の事情で自宅に近い場所で働くことが必要になったこともあり、三軒茶屋に開院することになりました。
近視矯正などの眼科一般から手術や美容相談まで対応
クリニックの患者層や多い主訴について教えてください。
当院は地域密着型のクリニックなので、患者さんは近辺に住んでいらっしゃる方が多いです。多い主訴としては目のかすみ、ドライアイ、花粉が飛ぶ時期になるとアレルギーの患者さんがぐっと増えます。年齢層は小児から高齢者まで本当に幅広いですね。最近はオルソケラトロジーによる角膜矯正を希望される小児患者さんが増えてきました。オルソケラトロジーは、特殊な形状のコンタクトレンズを寝ている間だけ装着して角膜の形状の矯正を図り、近視や乱視の改善をめざす治療法で、手術は必要ない点もメリットです。治療法自体は昔からあったのですが、数年前に条件つきで小児にも適応範囲が広がったことで需要が高まっているようです。当院は1ヵ月間のお試し期間がありますし、事前にクリニックでレンズを装着して様子を見るので、治療開始後に失敗するようなことは少ないと思います。スポーツをやっているお子さんが、クチコミで受診されることが多いです。
得意としている診療分野についてお聞かせください。
眼瞼内反(がんけんないはん)症や眼瞼下垂(がんけんかすい)、翼状片(よくじょうへん)などの治療や手術のほか、アレルギー治療にも力を入れています。実は、私自身も花粉アレルギーを持っていて、これまでさまざまな治療を試してきました。患者さんのつらい気持ちもよくわかるので、親身に対応したいと思っています。勤務医時代に数多く手がけてきた白内障、緑内障、網膜剥離などの内眼手術は、当院では行っておりませんので、他院へご紹介させてもらっています。あと、以前から目の周りのしみ等について相談を受けることが多かったので、より充実した対応ができるよう、院内に美容ケア専用スペースを併設しています。気になる方はぜひご相談ください。
診療の際、心がけていることは何ですか?
なるべく患者さんをお待たせしないことです。患者さんにとって長時間待つことは大きなストレスのはずですし、感染対策という意図もあります。そのため現在は視力検査と視野検査を予約制にしているのですが、これでさらに待ち時間は減らせていると思います。あとは、患者さんが何を求めてここへいらっしゃっているのかをきちんと聞き出すようにしています。例えば「手術をせずに薬で治療したい」「徹底的に調べたいから大きな病院を紹介してほしい」など、患者さんって実際に口に出さなくても、それぞれでお考えになっていることがあると思うので、そういったことをしっかりヒアリングするように努めています。
医師会のお仕事もなさっていて、多忙なのではないでしょうか?
そうですね。特にここ最近は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で医師会の仕事が増加傾向にありましたので、どうしてもクリニックの休診日が増えてしまうこともありました。1ヵ月前には私の予定がわかるので、クリニックのスケジュール表を患者さんにお渡ししたりホームページに休診日を掲載したりして、できるだけご迷惑をおかけしないように心がけています。ただ、世田谷区医師会の会長職を務め始めたことで地域の他医療機関との連携がより深まりましたので、必要に応じて患者さんにご紹介できることが当院の強みだと思います。知り合いの先生がたくさんいますし、その先生方の得意分野も把握できているため、目のことに限らず適切な医療機関をご案内できるんですよ。「三軒茶屋眼科に行けば目のこと以外でも相談できる」と認識していただけるように、かかりつけ医としての役割はしっかり果たしていきたいと思っています。
2000年の開院以来、地域に密着した医療を提供
患者さんとの印象的なエピソードを教えてください。
たくさんありますが中でも特に印象深いのは、開院して3年がたった頃のことです。ようやく仕事にも慣れてきたのに、なぜか虚脱感に襲われて落ち込んでいたのです。そんな時に常連の難聴のある患者さんが飛び込んで来て、「目が覚めたら耳がまったく聞こえなくなっていた」と泣きだしたのです。私はなすすべもなく、ただ一緒に泣きながら話を聞きました。その後、その方はある程度まで回復したそうなのですが、「先生がいてくれたから乗り越えることができた」と言ったのです。その時、私もスランプを抜け出していることに気づきました。私は患者さんに支えられているのだと実感しました。あとは視力のかなり悪い女性の患者さんも印象に残っています。その方が「メイクをしたい」とおっしゃるので、目が見えにくくてもメイクできる方法を考えてアドバイスしました。そんな相談ができると思っていなかったようで、とても喜んでいただけて私もうれしかったですね。
休日はどのようにリフレッシュされていますか?
健康には気をつけているので、以前は加圧ジムや整体に通っていました。最近は診療や医師会の仕事で自分の時間を取りづらくはなっているのですが、サウナには定期的に行くようにしています。人目を気にせず利用できる個室制のサウナが気に入っていて。思いきり汗をかいた後に水風呂に入って、またサウナに入るというのを繰り返すと、ものすごく気持ちいいんですよ。自律神経が整って、心身がリフレッシュするのを感じます。
最後に今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
当院では訪問診療も行っており、エリアは特に限定せず、必要としてくれる患者さんのもとに伺っています。患者さんにも喜んでもらえますし、地域の訪問看護ステーションからのオファーも多いので、今後も引き続き力を入れていきたいと考えています。また、ご自身では大丈夫と思われる場合でも、深刻な症状になってしまっているケースもありますので、お気軽に来ていただければと思います。2000年の開院以来、地域に根差して診療してきましたが、今後もお世話になったこの地域や患者さんに寄り添いながら診療を続けていこうと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/15万円〜、トライアル期間1ヵ月3万円(返金制度あり)