小林 庸夫 副院長の独自取材記事
小林歯科医院
(熊谷市/熊谷駅)
最終更新日:2026/08/06
1937年に開業した「小林歯科医院」は、4代にわたり地域の歯科医療を守り続けてきた。4代目にあたる副院長の小林庸夫先生は、院長である父・晴行先生の背中を見て育ち、20年以上ともに診療にあたっている。2代目院長が掲げた5つの誓いを礎に、患者との関わりを大切にする姿勢は脈々と受け継がれ、家族ぐるみで通う患者も少なくない。歯科衛生士である母と妻も加わり、家族一丸となって支える温かさが、光の差し込む清潔な院内にも満ちている。「人と人とのつながりが大切」と終始穏やかな笑顔で語る小林副院長に、噛み合わせ治療へのこだわりや子どもの口腔機能を育む取り組み、地域に寄り添うこれからについて聞いた。
(取材日2026年6月24日)
人を大切にする心を、4代にわたり受け継いで
まずは歯科医院の歩みについてお聞かせください。

当院は1937年に私の曽祖父が開業しました。もともとは東京の四谷で診療を始めたのですが、空襲をきっかけに生家のある熊谷へ戻り、以来この地で診療を続けてきました。曽祖父から祖父、そして院長である父へと受け継がれ、私で4代目になります。父とは20年以上にわたって一緒に診療にあたってきました。長い歴史の中で、患者さんとの関係も世代を超えて続いています。80代の方が「子どもの頃からずっとここに来ているよ」と話してくださることもありますし、私が幼稚園の頃にお世話になった先生が今も通ってくださっています。ご本人だけでなく、親御さんやお孫さんまで、2代、3代にわたって通われるご家族も少なくありません。
院内に掲げられている言葉が印象に残りました。
院内に掲げてあるのは、2代目院長である祖父が定めた「5つの誓い」です。「患者さんを大切にし、いつも優しい心で接します」という言葉に始まり、品位を高める努力や言葉遣いへの心がけ、先輩後輩の関係、そして日々の行動を振り返り明日への向上の糧にすることが記されています。祖母が心を込めて筆文字で書いてくれたもので、代々大切に受け継いできました。この理念に加えて、私自身が日々感じているのは「人と人とのつながり」の大切さです。患者さんはもちろん、一緒に働くスタッフも含めてみんなで支え合いながら歯科医院をつくっていく。祖父の代から脈々と続いてきたその姿勢を、これからもしっかり守り続けたいと考えています。
日々の診療で、患者さんに対して大切にしていることは何ですか?

当院が何よりも大切にしているのは、「優しさ」です。ご家族ぐるみで通ってくださる方も多いので、患者さんやご家族について伺ったことをメモに残し、来院された際には、例えば「息子さんはお元気ですか」とお声がけするようにしています。ご家族が通ってくださっているのに他人行儀になってはいけませんから、そうした日々の関わりをとても大切にしています。治療ではまずお話をしっかり伺い、その方にとって何が一番良いかを一緒に考えます。痛みが苦手な方には麻酔液を体温と同程度に温めてからゆっくり注入するといった配慮もしています。つらい思いを抱えて勇気を出して連絡してくださった方を、できるだけ温かくお迎えしたい。その気持ちは常に忘れないようにしています。
噛み合わせの視点を受け継ぎ、子どもの口腔機能を育む
治療で特に力を入れている分野を教えてください。

院長である父が長年力を入れてきたのが噛み合わせの治療で、私もその考え方を自然と受け継いでいます。例えば歯周病の原因をさかのぼると、噛み合わせの偏りや噛み癖に行き着くことが少なくありません。お口の健康には噛み合わせが深く関わっていることを、日々実感しています。中でも私が力を入れているのが、歯ぎしりから歯を守るためのマウスピースの作製です。歯ぎしりを自覚できる方は全体の約3割と言われていますが、お口の状態を診ることで気づけるケースも多く、必要な方にはご提案しています。マウスピースは私自身が調整を行います。顎が楽な位置で噛んでいただきながら、約1時間かけて患者さん一人ひとりに合った状態に仕上げていきます。来院の都度調整することも可能です。 歯や顎への負担を少しでも軽減できるよう、丁寧な調整を心がけています。
今後、新たに力を入れていきたい分野はありますか?
2、3年後に父から院長を引き継ぐ準備を進めていますが、今後力を入れていきたいのが、子どもの頃から口腔機能を育むことの大切さを伝える啓発活動です。最近は虫歯が減ってきた一方で、お口の周りの筋肉が十分に発達していないお子さんが増えています。本来は口をしっかり閉じて鼻で呼吸し、舌が上顎にぴたっとついた状態が望ましいのですが、こうしたお口の機能について学ぶ機会はほとんどありません。小さいうちにお口の機能を鍛えておくことが、将来の健康につながります。お口の機能がきちんと育てば、歯並びが悪くなるリスクを減らすことにもつながります。幼稚園や保育園、小学校の検診などでも、その大切さをお伝えしています。小さいお子さんからご高齢の方まで、一貫してお口の健康をお手伝いできる歯科医院をめざしています。
入れ歯やかぶせ物はどのように製作されていますか?

先代の頃から、歯科技工士が院内に常駐する体制を維持しています。今の歯科技工士は私よりも長くこの歯科医院に勤めているベテランで、とても頼りになる存在です。常駐の大きなメリットは、例えば入れ歯が割れてしまった場合でも、その場で歯科技工士に修理を依頼でき、その日のうちにお返しできることです。外部に依頼すると時間がかかりますし、歯科技工士が院内にいない場合は、診療チェアで調整できる範囲に限られてしまいます。当院では、かぶせ物などを製作の途中段階で一度お口に合わせ、必要に応じて微調整を行った上で歯科技工士が仕上げを行います。こうした工程を院内で完結できることも大きな強みです。少しでも質の高い補綴物を患者さんのお口にお届けできるのは、歯科技工士が院内に常駐しているからこそだと感じています。
家族とスタッフで支え合い、地域とともに歩み続ける
スタッフの方々が生き生きと働いている印象を受けました。

祖父の代には、スタッフとそのご両親を招いて旅行に行っていた時期があったそうです。子どもの頃にその写真を見て、この歯科医院は本当に人を大切にしてきた場所なんだと感じたことを覚えています。その姿勢を、私たちもしっかり受け継いでいきたいと思っています。当院は女性スタッフが多く、小さなお子さんのいるスタッフもいます。急な発熱や学校行事の際にも無理なく休めるよう、スタッフ同士がお互いにカバーし合える体制づくりを心がけています。一日の終わりには、スタッフ全員でその日の気づきや課題を共有する時間を設けています。また、月に一度は全体ミーティングも行っています。歯科衛生士同士が自主的に苦手な分野を練習し合う場面もあり、職種を問わず気軽に意見を伝え合える風通しの良い職場づくりを大切にしています。
こちらならではの特徴的な取り組みについて教えてください。
歯科衛生士でもある私の母のアイデアから生まれたのが「デンタルエステ」のメニューです。母自身が勉強会に足を運んで技術を習得し、今も自ら施術にあたっています。唾液腺や表情筋、リンパ、目元、頭皮などをマッサージした上で、口腔内も手指で丁寧にほぐしていく内容です。歯科医院ならではの視点で、口元と口腔内のケアを一体的に行えるのは、歯科衛生士としての専門知識を持つ母がいるからこそだと感じています。
今後への思いをお聞かせください。

当院は、院長を務める父、歯科衛生士の母と妻とともに、家族みんなで運営している歯科医院です。妻はもともと歯科衛生士ではありませんでしたが、子どもを保育園に預けられるようになったタイミングで自ら学び、資格を取得してくれました。家族の協力には日々感謝しています。私がこの仕事に大きなやりがいを感じるのは、患者さんと長く関わりながら健康を支え、地域に貢献できていることを実感できるからです。歯科医院にとって技術は重要ですが、それ以上に大切なのは人と人とのつながりだと考えています。そのためには、私自身を含め、一人ひとりが人間性を磨き、感謝や思いやりの心を持つことが欠かせません。当院では「愛・感謝・誠実」を理念に掲げ、「日本一、笑顔とありがとうがあふれる歯科医院」をめざしています。これからも家族やスタッフと力を合わせ、患者さんとともに成長しながら、この地域に寄り添い続ける歯科医院でありたいと思っています。

