吉嵜 太朗 院長の独自取材記事
吉崎歯科医院
(三郷市/三郷駅)
最終更新日:2024/07/02

三郷駅から徒歩5分ほど。江戸川沿いに立つ「吉崎歯科医院」は専門性の高い歯科治療が受けられるクリニックだ。東京医科歯科大学の大学院で、欠損した歯を義歯などで補う補綴分野と高齢者歯科を学び、現在では訪問診療も行っている吉嵜(よしざき)太朗院長をはじめ、同大学で歯周病や矯正学、口腔外科などを専門とする、各分野の専門家である歯科医師たちが集まっている。開業時に掲げた「小さな大学病院」というコンセプトを実現すべく集結したスペシャリストたちで難症例にも対応。さらに訪問診療にも力を入れている。また院長のこだわりは、雰囲気の良い院内の内装にも見て取れる。吉嵜院長にクリニックの特徴や診療ポリシー、地域へのメッセージなどを語ってもらった。
(取材日2023年9月21日)
雰囲気が良い院内で、大学病院レベルの治療をめざす
院内の雰囲気がとてもすてきですね。

ありがとうございます。リニューアルして2022年の10月でちょうど5年になります。木をたくさん使った自然の中にあるカフェのような雰囲気にしたいと思い、業者さんと何度も話し合って完成させました。待合室にあるプリザーブドフラワーは、毎年結婚記念日に妻に贈っているフラワーアーティストのものなんです。毎年購入するのでお店の方にも覚えてもらっていて、「今度開業することになったのですが内装も頼めるんですか?」と聞いたところ可能とのことで、院内を飾ってもらいました。あとは私が高齢者歯科出身ということもあって、車いすの方が入りやすいようにスロープを設置しました。待合室にはキッズスペースも設けています。
こちらのクリニックは40年ほど前に開業したそうですね。
開業者である父が亡くなってしまったので詳しい経緯は聞けずじまいなのですが、1980年頃にこの地に開業しました。私が継承したのが、2018年6月です。父からは、今までの「町の歯医者さん」では今後やっていけないからやめたほうがいいと言われていました。しかし私には専門性の高い治療を提供していきたいという思いがありましたので、すでに末期だった父には「考えていることがあるから大丈夫だよ」と伝えて、このクリニックを引き継ぎました。その後、事業計画書を作る時に、自分の考えを簡潔に表せる「小さな大学病院」というコンセプトを思いついたんです。大学病院で新患当番などをしていると、町の歯科医院に不信感を持っている方によく出会いました。「きちんと説明してくれない」「地元の歯科医院は信用できない」という声を聞いたのです。そこで、信頼していただける町のクリニックとして診療を提供したいと、このコンセプトをつけました。
とても印象的なコンセプトです。

治療の面でも大学病院のような専門的な内容を提供したいという思いも込めています。大学病院には専門の科があって、例えば補綴科の治療時に歯周病治療が必要になったら、専門の歯周病科に送るという流れがあります。大学病院のそういった多分野の歯科医師たちが集まって治療を行う診療スタイルが好きなこともあって、自分のクリニックに取り入れようと思ったんです。また、「歯科医師・歯科衛生士がかかりたいクリニック」も開業時に掲げたコンセプトです。同業者の目はやはり厳しいですから、その方たちに認められれば一般の方も安心だと思います。もう一つ「患者さんもスタッフも関わる人がみんな幸せになるクリニック」も大事にしたいコンセプトです。その3つを柱として日々診療を行っています。
各専門分野の歯科医師が連携して治療の精度を向上
専門分野を担う先生たちについて教えてください。

母校である東京医科歯科大学の先生を中心に、歯周病、根管治療、虫歯、高齢者歯科、摂食嚥下、インプラント治療、矯正歯科、口腔外科など、さまざまな分野を専門とする歯科医師が来てくれています。自家歯牙移植や難しい親知らずの抜歯なども大学病院に行かずに当院で対応できます。治療の選択肢が広がることも、専門の歯科医師たちが集う利点です。例えば、噛み合わせを治療する際に抜いてかぶせるかどうかなど治療計画を悩んだとき、矯正歯科の先生と連携できると、取れる選択肢が広がり、抜かなければならない歯がガクッと減ることもあるのです。また、東京医科歯科大学の学生や歯科衛生士の学校に通う学生たちが、専門の先生方の治療を学びながら勤務もしています。そういった勉強したいスタッフが集まるクリニックという点でも、「小さな大学病院」をめざしています。
患者さんはどのような方が多いですか?
当院の専門的な治療を受けたいと、口の中に大きな問題を抱えている方が多くいらっしゃいます。他院で治療を受けたけれど納得できなかったり、インプラント治療をしたけれどうまくいかなかったりといった方もいます。どういう疾患が多いのかというよりは、すべての疾患において難症例の方が多いですね。大学病院の予約がなかなか取れず、東京医科歯科大学の先生がいるから来ましたというケースも。三郷の方がメインですが、周辺の松戸や、少し離れて川崎、大宮からいらっしゃる方もいます。年齢層としては50、60代の方が多いですね。地域の中学校や小学校歯科医、幼稚園歯科医や保育園歯科医も務めていますが、小児はそこまで多くはなく、キッズルームも親御さんの治療についてきたお子さんがよく利用されています。
先生の専門分野について教えてください。

補綴と高齢者歯科が専門です。東京医科歯科大学を卒業後、同大学病院で臨床を学び、同大学院の義歯学・高齢者歯科学分野に入局して経験を積みました。現在は、高齢の方の訪問診療で摂食嚥下の治療やリハビリを行い、専門に学んだ入れ歯の治療もしています。大学では補綴をメインに学んでいましたが、それだけでは歯科医師として説得力がないと考え、歯内療法を得意とする歯科医院でマイクロスコープを使った治療についても経験を積ませていただきました。
歯科分野から地域患者の健康な生活をサポートしていく
診療の際、大切にしていることはありますか?

患者さんの希望に沿った治療方法を選択することです。めざす完成形があってそれが保険内でできないのであれば、自費で行って理想どおりをめざせるのがもちろんいいですが、実際は費用が患者さんの障壁になります。ですので、自費で治療する場合、保険治療の場合というのを患者さんと相談しながら決めています。まずゴールを決めて、その過程で越えなければならない外科処置、期間、費用についてしっかり話し合い、設計図を作成。そのため、初診は基本1時間かかります。急患の患者さんは別ですが、検査をして治療プランの立案に1時間使い、治療は次の診療からになります。難しい患者さんに関しては立案にさらに時間をかけることもあります。
現在、訪問診療にたいへん力を入れていらっしゃるとお聞きしました。
障害のある方や、高齢で病気などをお持ちで通院が難しい方のお宅や介護施設へ、患者さんの口腔内の状況に合わせて、週1回~3ヵ月に1回のペースで訪問しています。訪問診療車には、ポータブルの治療機器が積まれていて、なるべくクリニックに近い治療ができるようにしています。診療で多いのは、誤嚥性肺炎を予防するための口腔ケア。ご自分やご家族で口腔を清潔に保つのは難しいこともありますので。いかに誤嚥を防ぐかが重要で、嚥下内視鏡を使ったり、実際に食事をしてもらい食物が飲み込めているかチェックしたりすることも欠かせません。介護施設では誤嚥を防ぐ食形態のリハビリの支援などもしています。また、専門性を生かして入れ歯のメンテナンスにも対応しています。ご自身に合っていない入れ歯を使用している場合もあるため、その方にしっかり合った入れ歯なのかどうかを確認し、必要に応じて新しく入れ歯を作成することもあります。
最後に今後の展望、地域の方へのメッセージをお聞かせください。

現在、難しい症状を抱える患者さんにも頼りにしていただけていると感じます。今後は困っている他の歯科医院から、大学病院に送る前に依頼をもらえるようなクリニックにしたいですね。また、三郷地域のためにきちんとした治療を提供できる歯科医院でありたいと思っています。メンテナンスなどをしっかり行い、地域の患者さんの健康観を上げて維持していけるようにも努めていきます。口の中から健康を支え、生活も含めて幅広くサポートしていきたいです。また、訪問診療は浸透してきたとはいえ、自宅に歯医者さんが来てくれるサービスがあることを知らない方もまだ多いので、医科・介護の専門職と連携して啓発に努めていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/44万円~、矯正/71万5000円~、自家歯牙移植/10万円程度
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。