蔵本 理枝子 院長、伊藤 邦成 先生の独自取材記事
いとう整形外科
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2025/08/12

三軒茶屋駅南口から徒歩1分の場所で、「動かしながら治す」をモットーに掲げてきた「いとう整形外科」。動かして生活しながら、通院を減らして短期間で治す診療をめざしている。生活習慣指導にも注力し、治療だけに頼らず、自己管理で治す大切さも伝えているという。「私もスポーツが大好きで、多くのけがから、その痛みや適切な動かし方を経験してきました。だからこそ、患者さんにもわかりやすく伝えられるんです」と弾ける笑顔で話すのは、蔵本理枝子院長。初代院長であり父である伊藤邦成先生から院長職を引き継ぎ、伊藤先生とともに日々患者と向き合っている。今回、蔵本院長と伊藤先生に診療内容や特徴などについて話を聞いた。クリニック全体を明るい雰囲気にする蔵本院長や伊藤先生からは、患者の健康を思う温かさがひしひしと伝わってきた。
(取材日2025年7月9日)
父から娘へ、こだわりの診療スタイルを継承
院長職を交代された経緯をお聞かせください。

【蔵本院長】父はまだまだ元気で若いですから、私が院長職を引き継ぐことで、伸び伸びと診療をして、より長く現役でいてほしいという思いがあったんです。また、私自身、外来が好きというのも理由の一つですね。私は15年以上、当院に在籍してきましたが、日頃の診療と並行して、20年以上メディアでの活動も続けてきました。スポーツ雑誌やスポーツ新聞、本の出版などを通して、わかりやすい言葉で人々に役立つ医療情報を発信してきたつもりです。ありがたいことに、当院にはメディアをご覧になって来院される患者さんもいますし、よく知っている患者さんばかりなので、とても心地良く診療することができています。
院長交代に伴い、リニューアルしたことはありますか?
【蔵本院長】ホームページのリニューアルやクリニックロゴの一新、少しのシステムの導入は行いましたが、基本的には父のスタイルを継承しています。大事にしてきた点には私も同意していますし、これからも守っていきたいなと。クリニック名も昔から多くの患者さんに親しんでいただいていますし、私自身も、もともとは伊藤姓なので改称していません。
患者さんとの対話を大切にされているそうですね。

【蔵本院長】ええ。例えば、エックス線写真を撮って「安静に」と言うだけの診療は行っていません。整形外科の症状は痛みが一時的であったり、運動して徐々に良くなったりすることも多く、「どう動かすか」を丁寧に指導することが大事だと考えているんです。痛みが引いても動かし方がわからなければ、根本的な改善にはつながりませんよね。ですので、診療ではとにかく細かく説明します。親子そろって説明の時間が長くなってしまいますが(笑)、代わりに通院回数を減らしていきたいなと。痛みが続く時間や改善の可能性の目安、けがをした部位の動かし方や姿勢も丁寧にお伝えします。
【伊藤先生】理解を深めてもらうために、いろいろと書き込んだエックス線写真のコピーや、体の動かし方についての手づくりのプリントをお渡しすることもありますよ。ぜひ帰宅後にも確認してもらえたら。忘れないようにと常に持ち歩かれている患者さんも多いようです。
「動かしながら治す」ことを一番に考える
「I'm a Gym」の考えを大切にされているそうですね。

【蔵本院長】「I am a Gym = 合間ジム」と私たちは呼んでいるのですが、「自分自身がジムである」「合間にできる運動を自分でする」という両方をかけて、この言葉を伝えています。例えば、歯磨きしながら膝を動かすなど、普段からできることを指導することで、痛みの緩和につなげていきたいなと。ただ漫然とクリニックに通うだけでは医療費も無駄になってしまいますし、「痛みを取るために自分でできること」をお伝えしていきたいです。特に初診ではじっくり時間をかけて、1部位につき20~30ヵ所以上も触りながら原因を探ります。
【伊藤先生】患者さんに理解してもらえるように、2人ともたくさん説明するようにしています。とはいえ、やってはいけないことを伝えるのではなく、「動くために、どうすれば良いか」を納得してもらえるような伝え方にこだわっていますね。
蔵本院長が診療で心がけていることは何ですか?
私はトライアスロンやサーフィンが好きで、靱帯を切るなど、とにかくけがが多いんです。身をもって体験していますから、痛みの度合いやけがをした状態での動かし方、回復までのプロセスがある程度わかります。だからこそ、実体験を踏まえて、患者さんには「あえて制限しなくていいこと・治療中は控えたほうがいいこと」などを丁寧に説明しています。症状や治療の内容を詳細にお伝えし、生活上のアドバイスも行っていきたいなと。あとは、骨粗しょう症や腱鞘炎といった更年期ならではの症状について、女性目線で説明しています。出産や育児の経験もあるので、出産後に起きる腱鞘炎の際に痛くなりにくい抱っこひもの着け方や授乳クッションの使い方、妊娠中のお薬のアドバイスなどもさせていただいています。
伊藤先生が蔵本院長へ期待されることを教えてください。

【伊藤先生】正直、完璧です。彼女は長年私の診察時の話を隣でよく聞いてきたので、私が大事にしてきたことを誰よりも理解し、継承してくれています。私はずっと、古代ギリシャの哲学者、アリストテレスの言葉「Life is Motion」を掲げ、動いてこそという考え方で多くの患者さんを診てきました。自分の体は「つくる」もので、何もしなければ、骨も筋肉も衰えてしまいます。診断や伝え方はさまざまだと思いますが、私個人としては安静ほど悪いものはないなと。患者さんも早く動きたいと思っているので、その気持ちに寄り添いながら、できるだけのことを提供したいという思いでやってきました。彼女はこの教えを大事にしてくれています。当然、その分自分の言葉に責任を持たねばならないので、慎重にはなりますが、その点もわかった上で運営してくれていますね。引き続き、そのマインドで多くの患者さんに向き合ってほしいです。
安心して家族を連れて来てもらえるクリニックに
患者さんからはどのような相談が多いですか?

【蔵本院長】当院は「動かしながら治す」を掲げていますし、痛みなく動かすにはどうしたら良いか、ということを大事にしています。そのため、早く治して動きたいアスリートの方々には特にニーズをいただいている実感がありますし、ご紹介も多いですね。また、この辺りはファミリーが多く、けがをしたお子さんからご高齢の方まで患者層も幅広いです。あとは「他院や整体院などにずっと通っているけれど、なかなか症状が改善しない」といった方々からの相談も受けています。
来院の際の注意点はありますか?
【蔵本院長】当院では、患者さんをできるだけお待たせしないよう、当日ウェブ予約と有料時間予約の予約システムを導入しました。パソコンやスマートフォンの操作が苦手なご高齢の方のために、診療開始の15分前から順番受付も行っています。私自身も待つのが苦手ですし、なるべくスムーズな診療を心がけていますが、患者さんとの対話を重視しているので、お待たせすることもあるかもしれません。あらかじめご了承いただけたらうれしいですね。困ったらいつでも我慢せずに来ていただきたいですし、痛みがなくても、何かしら違和感があればお気軽にご相談ください。また、私たちはお子さんの対応も慣れていますので、お子さん連れで受診することに躊躇されている親御さんもご安心ください。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【蔵本院長】ご家族・ご友人を安心して連れて来てもらえるようなクリニックをめざしていますし、実際にたくさんのご紹介があることに喜びを感じています。今後もそれを続けていきたいですし、地域に貢献したいです。また現在、当院とは別に、痛みがある人でも利用できるジムを開設しようと準備しています。クリニックの診療だけではどうしても限界がありますし、「動く」を意識することを習慣づけられる場所をつくりたいですね。
【伊藤先生】お伝えしたいのは、少しの不安でもお気軽にご相談くださいということです。今はインターネットで手軽に情報が得られますが、それゆえ、根拠のない思い込みをされている方も多いようです。ご自身で詳しく調べられることは素晴らしいことだと思いますが、当院では些細なお悩みにも真摯に向き合います。お困りの際は、どうぞお気軽にご来院ください。