加藤 和子 院長の独自取材記事
加藤歯科医院
(船橋市/海神駅)
最終更新日:2023/06/13
京成電鉄京成本線海神駅より徒歩3分の場所にある「加藤歯科医院」。元は自宅だったという場所を改装しただけあり、所々にアットホームな温かみが感じられるクリニックだ。院長の加藤和子先生は、長きにわたり、噛み合わせ治療に力を注ぎながら患者の口腔内の健康、それにつながる体の健康を守るよう努力してきた。納得いくまで丁寧な診療をする、という信念を貫く加藤院長のもとには、遠くは奄美大島から定期的に通ってくる患者もいる。噛み合わせは体の中のつえといえるほど、全身の体調にも関わる大切なものと考えている加藤院長。インタビューでは、加藤院長が噛み合わせに力を入れるようになった理由や、貫いている信念、診療方針などを熱く語ってもらった。
(取材日2018年5月10日/更新日2023年5月31日)
咬合治療を求めて、遠方からも患者が来院
こちらにはどのような患者さんがいらっしゃるのでしょうか。
通ってくださっている方の7割はこの近くに住んでいる方ではありません。東京や千葉の奥の方、横浜から通ってくださる方もいます。一番遠くは奄美大島からの方でしょうか。また、通院を始めたばかりで転勤が決まった方には「どうしますか? 北海道で別の病院に通いますか?」と聞いたら、「ここに通います」と言ってくださって、月に一度北海道から通院されています。遠くから来院される患者さんも多いため、ちょこちょこと診療を進めるのではなく、一度にある程度まとまった時間をかけて行うので、診療は完全予約制にしています。また、ありがたいことに長く通ってくださる患者さんも多く、カルテがとても厚くて困ってしまうこともあります(笑)。
どのような治療を行っていますか。
一般的な診療も、もちろん行っていますが、噛み合わせの診療を得意としています。噛み合わせは決して口の中だけの問題ではなく、体のゆがみやその他の身体症状にもつながります。噛み合わせが悪くなる原因は、「もともと歯並びが悪い」「歯を抜いたまま放置した」「眠る時同じ方向ばかり向いて眠る」「上下歯列がひどくデコボコしている」などがあります。症状のある方には、まず上下の歯の型を採って石膏模型を作ります。その模型と噛み合わせの状況、姿勢、体の症状などを参考に診断、説明をしていくというのが通常の流れです。
どうして噛み合わせに力を入れるようになったのでしょうか?
私自身、ひどい肩凝りがあったことがきっかけです。この肩凝りさえなかったら、どんなに楽だろうと思っていましたが、その頃にちょうど噛み合わせを勉強しておりまして。それで、噛み合わせを無視した診療をしてはいけないと思うようになりました。それが1990年頃のことなので、もう28年にもなります。歯科治療は保険診療でできることもありますが、噛み合わせは基本的には自費診療で、当院の約6割の方は自費での治療を希望していらっしゃいます。治療についてだけではなく、費用面での負担も患者さんとお話しして、ご希望に寄り添うような形でできるように努めています。
自分が納得いくまで、とことん丁寧に診療
診療する上で、心がけていることはありますか?
自分が納得いくまでとことん丁寧に診療をすることです。次の方が待っているからとか、時間が来たからといって、診療を切り上げることはありません。ですから完全予約制とはいえ、患者さんを少しお待たせしてしまうこともあります。申し訳なく思っているのですが、患者さんの中には「先生は職人だから。ゆっくりやって、待っているから」など言ってくださる方もいらっしゃるのでありがたいですね。私が納得いく仕事ができるのは、スタッフに恵まれているからということに他なりません。スタッフは、10年20年と勤めてくれていて、プロフェッショナルでとても丁寧な仕事をしています。
スタッフさんも皆さん長くお勤めなのですね。
そうですね。今は歯科衛生士2人、歯科技工士が1人います。噛み合わせの治療を行う上で、治療がだいたい終わると、その後は検診やメンテナンスでクリニックに通っていただくのですが、ベテランの歯科衛生士がしっかり歯の健康をサポートします。また噛み合わせの治療において、歯科技工士との連携は非常に重要となります。歯科技工士は20年近く、このクリニックで一緒にやっており、私の片腕のようなもの。本当に頼りになる存在です。
印象深い患者さんとのエピソードを教えてください。
もう随分前に噛み合わせの診療をした方で、今は離れた場所に住んでいらっしゃるのですが、定期的に検診に来てくださっています。お子さんが「ママはどうして近くの歯医者さんに行かないで、遠くの歯医者さんに行くの?」と尋ねたそうなんです。その方はお子さんに「ママの口の中は、作品なの。だから製作者のところへ行くのよ」と答えたと聞きました。そんなふうに私が治療した口の中を大切にしてくださっている患者さんがいるのは、とてもうれしいですね。
ところで、先生が歯科医師をめざしたきっかけは何だったのでしょう。
父が歯科医師だったので、同じ道を志しました。私は6人きょうだいの一番下だったこともあって、父は私に短期大学に進学して、嫁に行ってほしいという思いを持っていたようです。当初は私もそのとおりにしようと考えていました。ただ、自分の学びたいことが短大で学びたいことではありませんでした。じゃあ何をしようと考えた時に、長く父の背中を見てきたので、歯科しか思い浮かびませんでした。でも、もう何十年と歯科医師をやってきた今でもこの仕事は奥が深くて面白いんです。面白くて死んでいられないという感じです。その上で、人のお役に立つことができる、天職だと思います。
噛み合わせは、体の中の“つえ”のようなもの
先生が健康で気をつけていることはありますか?
食べ物にはとても気をつけていて、30年間玄米菜食を心がけています。決して我慢してそうしているわけではなく、お肉などは体が欲していないのです。食べてもおいしく感じないし、体もつらくなるので自然と今の食生活にたどり着きました。勉強会に参加する時も、お弁当が出るのですがそれは断って自分で握った酵素玄米のおにぎりを食べています。甘いものは頂くことがあるので、お茶の時間に楽しむこともありますが、自分で買うことはありません。でも甘酒は大好きで冷蔵庫に常備しています。あとは趣味が日本舞踊で、どんなに疲れていても週に一度のお稽古を続けています。
お子さんの噛み合わせ治療についても教えてください。
噛み合わせのずれは、放置しても自然に治ることはありません。お子さんの噛み合わせも同様です。今のお子さんは硬いものをあまり食べていないので、歯列が小さくなることで歯が入りきらなくて、矯正を必要とする子も多いですね。そういったお子さんには、当院では、歯並びだけでなく噛み合わせも考慮して、抜歯をせずに、顎を広げるところから矯正治療を行います。歯列が狭くなると、骨盤などに連動して、体に症状が出てきてしまうことがあるからです。また、子どもの反対咬合の場合、乳歯の上に人工歯を乗せて噛み合わせを挙上し、費用をあまりかけないで改善を図るオーバーレイという方法もあります。その後永久歯に交換した後重なっている歯があれば二次矯正が必要な場合もあります。矯正治療はお金も時間もかかるので、親御さんも大変だと思います。相談にはいつでも乗りますので、お子さんの将来が良くなるように選択をお手伝いできたらいいなと思います。
読者へのメッセージをお願いします。
長く口の中や噛み合わせを診てきて思うのは、噛み合わせというのは、「体の中のつえ」と言っても過言ではないなということです。噛み合わせが狂うと体の重心が狂うので、脊髄が圧迫され、その結果脊髄から出ている神経血管を圧迫し、さまざまな症状が出てきます。噛むことはとても大事なことですし、それを治療するということは体全体を整えることだと思っています。噛み合わせの多くが自費診療になりますので、迷われる方もいるかもしれませんが、気になる方はまず相談だけでもしていただけると良いと思います。義歯を装着していて症状のある方もご相談ください。また、歯列不正の方の歯を抜かない歯列矯正治療も得意としております。さらに当院では、隔月に無料で「デンタルセミナー」を行っています。症例の画像をご覧いただきながら、噛み合わせについてたっぷり2時間お話ししますので、興味のある方には気楽にご参加いただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは噛み合わせ治療検査(検査、問診まで)/5500円、
大人の矯正/55万円~、子どもの矯正/33万円~、子どもの矯正・反対咬合の場合(オーバーレイ)/11万円程度