吉田 亜也子 先生の独自取材記事
野澤歯科医院
(成田市/成田駅)
最終更新日:2026/02/12
のどかな住宅街の中で、40年以上にわたり近隣住民の歯の健康を守ってきた「野澤歯科医院」。父が開業した同院を吉田亜也子先生が夫とともに継承したのは2023年のこと。夫婦ともに大学病院の口腔外科で先進的な医療に携わり、地域医療に貢献する道を選んだ。昔ながらの外観やアットホームな雰囲気はそのままに、2025年に内装をリニューアル。口腔外科で培った技術を生かし、インプラント治療など専門的な治療に取り組む。「子どもが少なくなったこの地域でも、幼少期からの予防歯科の大切さをもっと広めたい」と語る吉田先生は2児の母でもある。明るく華やかな笑顔が印象的な吉田先生に診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2024年12月16日)
地域の人々のために40年以上続くクリニックを継承
まず、クリニックの歴史から教えてください。

当院は私が2歳の頃に父が開業し、40年以上にわたり近隣の方々の歯を守ってきました。実家がすぐ隣なので、働く父の姿はいつも身近でしたね。同じ道を選びましたが継承するつもりはなく、父も「継がなくていいよ」とずっと言っていたんです。ところが、2020年に父が病気休養することになり、予約している患者さんも多くいたので、私と夫で不定期で診療にあたることに。父も一時は療養しながら診察できるまで回復しましたが、再び診療から離れることになり、亡くなったのは2022年です。顔なじみの患者さんも増えていましたし閉院はできないと、大学病院に勤務していた夫が2代目院長となって2023年4月に再スタートしました。「再開してもらえないと思ってた」「閉めないでくれてありがとう」といった声をいただいた時はうれしかったですね。
現在はどのような患者さんが多いのでしょうか。
父から引き継いだ患者さんも多く、今のところはご高齢の方が中心ですが、継承後は若い方もだんだんと増えています。新規でホームページを作成したり、2025年の夏に内装をリニューアルしたりといったことがより幅広い層の皆さんに届いたのかな、と思っています。お子さん連れのご家族も多いですね。私も含め、スタッフのほとんどが子育て中で、子どもとのコミュニケーションには慣れていますので、小さな心配事でも気兼ねなくご相談ください。以前からの患者さんとの関係性や従来の当院のスタイルも大切にしつつ、より良い診療と快適な時間を提供するために、新しいことにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
小児の診療で気になっていること、こんな相談もできるという点があればお聞かせください。

予防歯科が広まり虫歯の子どもが減っているとはいわれていますが、まだまだ「虫歯ができてしまったかも」とお子さんを連れてくる親御さんもいらっしゃいます。小さな頃からの歯磨きの習慣化をもっと浸透させなければと再認識する瞬間も少なくありません。仕上げ磨きも小学校高学年までは必ず続けてほしいです。当院は口腔外科も強みとしているので「転んで顔をぶつけたみたい」といった時もご相談ください。「少し前にぶつけて……」と後から心配になる気持ちもわかりますが、できればすぐに来てほしいです。歯をぶつけた、折れた、血が出たといった時はもちろん、顔面を強打しただけでも歯やそれを支える骨を傷つけている可能性もあるので放置しないようにしましょう。また、普段子ども優先の生活になっている親御さんも、お子さんの虫歯をきっかけに、親子で定期検診に通ってもらえたらいいですね。
口腔外科の経験を生かし有病者歯科にも強み
次に、先生が歯科医師を志したきっかけやご経歴を教えてください。

両祖父をはじめ、親戚の多くが歯科医師という環境で育ち、違う職業に憧れたこともありましたが、最終的にはこの道を選びました。口腔外科を専門にしたのは、研修先の先生が口腔外科出身で治療を間近に見ながら学んだのがきっかけです。その先生に「口腔外科を学ぶなら、歯科大学が持つ総合病院である東京歯科大学市川総合病院もいいんじゃない?」と勧められて入局し、医科の先生との距離が近い環境で幅広く研鑽を積みました。親知らずの抜歯や多様な口腔粘膜疾患の治療はもちろん、骨折治療、良性腫瘍切除、腸骨移植、顎変形症治療など全身麻酔の手術にも数多く携われたのは貴重な経験でしたね。
口腔外科での忘れがたい経験などはありますか。
良性腫瘍で顎の半分を切除した20代の方を今も思い出します。がんではなかったので命にこそ関わりませんが、顔を失いかけるというのはつらくないわけがありません。腸骨移植をして顎の再生を図り、そこにインプラントを入れて……と、元の状態とまではいかないものの、長期の治療を通して徐々に会話や食事などの機能が回復に向かっていく経過に寄り添うことができました。こうした特殊なインプラント治療の症例を数多く扱ってきた経験が私の強みの一つになっています。また、形成外科と連携しがん患者さんに筋肉の移植手術をしたり、耳鼻咽喉科と相談して治療を進めたり、内科とともに慢性疾患のある方の口腔管理を行ったりと医科歯科連携の経験も積みました。抜かなくてはいけない歯を放置していると、口腔内はドミノ倒しで悪くなりがちです。糖尿病などで抜歯はできないと言われてお困りの方も、一度お口の中を診せてください。
ミドル・シニアともなると気になる歯の1本もありますよね。

40歳以上となると、歯が欠損している人もよく見かけるようになります。噛み合わせの相手を失った歯をそのままにしていると、歯茎から伸びるように歯の根の部分が出てきてしまうので要注意。空いている部分にも周りの歯が倒れてくるなどして、周囲の歯の寿命を縮めることにつながってしまいます。噛み合わせも悪くなるなど、欠歯を放置していて良いことは一つもありません。歯を失った場合の選択肢は、入れ歯とブリッジのほか、ミドル・シニアならば多くの場合まだ骨もしっかりしているので、インプラント治療という手もあるでしょう。口腔外科の専門家として難症例のインプラント治療に携わってきた経験を生かし、他院でインプラントは難しい……といわれたケースにもできる限り対応します。状態やご希望に合わせて適切な手法を提案しますので、ぜひご相談いただきたいですね。
幼少期からの予防歯科で「もっと早くに」をなくしたい
今後の展望をお聞かせください。

まだ定期検診の重要性という意味で予防歯科を広めていく必要があると思っています。歯科は子どもの頃から通う習慣をつくることが大事。お子さんに歯が生えたら遠慮せずにお連れください。親世代の歯周病ケアも気になるところです。歯周病が進行する原因の一つである歯石は自分では取れないので、3ヵ月に1度のクリーニングを呼びかけていきたいですね。また引き続き、診断の正確性にこだわり、適切な処置につなげることにも注力していきます。患者さんの症状から必要な検査を判断できるよう大学病院で訓練しており、エックス線やCTの画像を精密に読み取り診断するのは得意分野です。歯科医師の友人から相談されることも。今後も、当院の体制と私の経験を生かしていければと思っています。
お忙しい毎日かと思いますが、休日はどうお過ごしですか。
長男のラグビーの練習の送迎などをしていますが、土曜は私、日曜は夫と役割分担して、日曜は長女と過ごしていることが多いです。難しい症例などは夫と話し合いダブルチェックで診療を進められるのも当院の特徴ですが、子育てもチームで取り組んでいます。長男のラグビーをきっかけにスポーツマウスピースも作るようになりました。コンタクトスポーツに伴う歯が折れる、唇を切る、脳震とうなどのリスクは、マウスピースで予防を図れます。最近はサッカーや野球のプロ選手も使用が増えている印象があり、ラグビー以外のスポーツを頑張っているお子さんにもご活用いただければと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

お子さんの仕上げ磨きを高学年まで続けてほしいと申し上げましたが、同じ年頃の男の子を持つ親としてそれが難しいこともわかります。「うるさい」と拒否されても、親子ともにストレスなくどう突破していくか。歯科衛生士ともども一緒になって考えていきますので、ぜひ頼りにしてください。また、日々の診療の中で「もっと早くに来ていれば良かった」という後悔の声をたくさん聞いていて、「もっと早くに」をどうにかしてなくしたいというのが一番の願いです。どんな小さなお悩みでも、ためらわずにいらしてください。末永くご家族の健康を口腔内から見守らせていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはスポーツマウスピース作製/4400~8800円(年齢によって異なる)、インプラント治療/31万~35万円、骨造成(移植・人工材料含む)/5万5000円~

