吉田 佳史 院長の独自取材記事
野澤歯科医院
(成田市/成田駅)
最終更新日:2024/10/09
成田湯川駅から車で5分の住宅街に位置する「野澤歯科医院」。先代から40年以上続くクリニックを2023年に継承した吉田佳史院長は、歯科口腔外科が専門。総合病院での経験が長く、一般的な歯科治療はもちろん、医科の知識を生かした専門的な治療にも幅広く対応している。スタッフも子育て経験者が多く、子連れでも安心して受診できるのも特長だ。「口回りの管理で一生付き合っていける歯科医院」をめざす吉田院長に、得意な治療や今後の展望についてインタビューした。
(取材日2024年9月4日)
地域の患者のために40年以上続くクリニックを継承
昨年クリニックを継承されたそうですね。
妻の父親が開業したクリニックを2023年に継承しました。私はもともと開業するつもりはなく大学の総合病院で長く勤務していたのですが、前院長の義父が病気の治療に専念するにあたり、クリニックでの診療を手伝うようになりました。2年前に義父が亡くなった後、今後のことを考えましたが、通ってくれている患者さんのためにも閉院するわけにはいかないと思い、歯科医師である妻とともに夫婦で後を継ぐことにしました。建物もそのまま引き継いだのですが、周りに木が多いので、それに合わせてクリニックの中にも観葉植物を増やしました。建物が古い中でも清潔感を意識した雰囲気づくりをしています。
成田市の印象や患者さんの層はいかがですか?
日本全体では虫歯のある人が減っていますが、この辺りは高齢者が多い地域で、虫歯や歯を失うといった主訴も多いですね。治療を必要とする人のために歯科医師としてまだまだできることがあると感じています。もともと高齢の患者さんが多かったのですが、最近は代替わりを機に少しずつ若い患者さんも増えてきました。今後は治療にとどまらず、予防やホワイトニングにも取り組んでいきます。
どんなスタッフさんがいらっしゃいますか?
クリニックのメンバーは妻も含め、歯科衛生士、歯科助手も全員同世代で、チームワークが良いです。みんな子どもを育てているママさんでもあり、お子さんへの対応にも慣れています。お子さんの診療は私ももちろん対応しますが、スタッフが隣で話しかけるなどのサポートをしますから、安心して治療を受けてもらえると思います。また、小さいお子さん連れで来院したお父さんお母さんの治療の際には、スタッフがお子さんを見守ることができるのも、当院ならではのメリットではないかと思います。
歯科医師をめざしたきっかけは何ですか?
私の実家も歯科医院で、父は歯科医師、母は歯科衛生士、親戚にも歯科関係の人が多いという環境で育ちました。小さい頃から、歯科医療が身近な家庭環境だったと思います。医療への関心が高く、中学生の頃には医師の道にも興味があったのですが、結果的に父の母校である東京歯科大学へ進み、大学院を経て総合病院でのキャリアを積んでいきました。もともと医科への関心を持っていたことが、歯科の中でも医科に近い分野に進むきっかけだったと思います。
総合病院での経験と知識を診療に生かす
大学院ではどのような研究をされていたのですか?
当時、国が主体となってがん治療のエキスパートを育てるプロジェクト、「がんプロフェッショナル養成プラン」が行われていました。出身の東京歯科大学で、その取り組みの中の「口腔がん専門医養成コース」を専攻し、学びました。そのため、口腔外科の中でも口腔がんについては多くの経験を積むことができました。医師や薬剤師、他の職種の人と一緒にセミナーを受講したり、消化器外科や乳腺外科の講習を受けたりもしました。また、口腔がん治療で顎や舌を失った人のための義歯やインプラントなどの難症例も多く経験してきました。
クリニックでの診療にも生きていることはありますか?
持病がある方へ治療の提供につながっています。高齢の患者さんも多い分、持病や服薬についての相談を受けることもあります。総合病院での経験から、この先に出てくる症状や使用している薬の副作用が想像できますから、見通しを持って歯科治療を進めることができます。また、かみ合わせにおける考え方においても特殊な口腔環境を治療してきた経験から、当院での義歯やインプラント治療に生かせています。他の歯科医院での治療を断られたケースでも、一度ご相談いただきたいと思います。
歯や骨の移植の相談も増えているそうですね。
抜歯が必要となった時、親知らずが残っていればそれを移植することが選択肢の一つとして考えられます。保険適応であることもあり、希望される方の多い治療ですね。このような移植は歯科口腔外科の知識と技術で、比較的幅広く対応できる自信があります。以前から他のクリニックから依頼を受け、歯や骨の移植を行うことも多かったですね。
睡眠時無呼吸症候群にも知見をお持ちと伺いました。
睡眠時無呼吸症候群の診断は呼吸器内科や耳鼻咽喉科の医師が行います。治療の第一選択は専用のマスクを装着するCPAP療法ですが、そのマスクがうまく使えない人や基準に満たない軽症の方へ向けた第二の選択として、歯科で作製するマウスピースである「オーラルアプライアンス」があり、これも専門の一つとしています。当院ではまだあまり多く携わっていませんが、今後近隣の医師と連携していけたらと思います。
診断を重視し、長期的な視点で治療を選択
診療の際に大切にしていることは何ですか?
一つはできるだけ患者さん本人の要望を踏まえた上で治療方針を提案することですね。そして今だけ状態が良くなるように治療するのではなく、10年後にもできるだけ状態を良いままで保てるよう、治療方法はできるだけ長期的な視点で選択するようにしています。もう一つは診断を大切にすることです。痛みの原因を全身の状態などさまざまな要因を踏まえて、適切な診断をつけるようにしています。
歯科における診断の重要性とはどういうことでしょうか?
医科では、病気があれば検査をして、しっかり診断をつけて治療方針を考えていきます。一方歯科は、虫歯と歯周病がほとんどです。虫歯の有無は目で見てわかりやすいので、歯科は診断に重きを置かない傾向があります。しかし口の中にはいろいろな原因が隠れています。実は、虫歯でもその位置やでき方によって原因の判明につながることがあるのです。例えば、唾液が少なく口が乾燥するためにできやすい形の虫歯を見つけたら、患者さんに聞き取った上で、口の乾く全身的な病気を疑って検査も実施していく。このように医療をトータルで考えていけるようにと考えています。
休日はどのように過ごされていますか?
長男がラグビーをしていて、クリニックが休みの日曜祝日は試合や練習に付き合っています。子どもたちのタックルを受けたり、けがの対応をしたりもしていますね。初めはルールもわからなかったのですが、子どものおかげでルールを覚え、リーグ戦や日本代表の試合を見始めたらどっぷりとはまってしまいました。もともと治療用のマウスピースを扱っていましたが、スポーツマウスピースも作るようになりました。体の接触があるスポーツでは、歯がぶつかって唇に穴が開いてしまう、歯が折れてしまうなどの懸念や脳震とうを起こす可能性がありますが、マウスピースの使用で予防することが期待できます。地域のラグビーチームの子が相談してくれることもありますね。子どもからの影響で広がった診療のジャンルですが、ラグビーだけでなくさまざまなスポーツでも活用していただきたいです。
最後に、今後の展望を教えてください。
総合病院で幅広い分野を扱ってきたように、このクリニックでも少しずつできることを増やすために設備も充実させていきたいです。口の中の疾患であれば、さまざまな方向性の内容を幅広く対応できる歯科医院をめざしていきたいですね。また、歯だけに限らず、ちょっとした口周りの相談にも気軽に来てもらえればと思います。口の周りの管理で一生付き合っていけるような歯科医院でありたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはスポーツマウスピース作製/4400~8800円(年齢によって異なる)、インプラント治療/埋入:14万3000円~、上部構造(クラウン):5万5000円~、骨造成(移植・人工材料含む)/5万5000円~