佐藤 成樹 院長の独自取材記事
耳鼻咽喉科 葛が谷こまクリニック
(横浜市都筑区/都筑ふれあいの丘駅)
最終更新日:2024/08/27
グリーンライン都筑ふれあいの丘駅から徒歩1分の場所にあるのが、「耳鼻咽喉科 葛が谷こまクリニック」。明るい色調の院内に入ると、まず受付スタッフが笑顔で迎えてくれる。緊張しがちな患者の気持ちもほぐれることだろう。院長を務める佐藤成樹先生は、1983年に聖マリアンナ医科大学医学部を卒業。後に同大学の付属病院および関連医療機関、神奈川県内の基幹病院などで研鑽を積み、2006年10月に同院を開業。大学病院勤務時代は、長くめまいの外来を担当していたという。老若男女、幅広い年齢層から多岐にわたる症状の相談を受ける佐藤院長。患者の訴えの中に重要な情報があると考え、問診に注力している。今回はわかりやすい説明が印象的な佐藤院長に、医院の特徴や診察時に心がけていることについて詳しく聞いた。
(取材日2024年6月11日)
診断の手がかりを見つけるため、問診に注力
初めに、医院の診療方針について教えてください。
当院の診療方針は患者さん一人ひとりの訴えを傾聴し、その症状を丁寧に診察して改善に向けた治療を行うこと。シンプルではありますが、私はそれが最も大切だと考えます。当院は高度医療機関ではないので先端の医療機器をすべて取りそろえているわけではありませんから、院内で診断をくだす際に一番信頼できるのは、患者さんのお声。診断を行う上での重要な手がかりを見つけるために、私は問診に注力しています。例えば風邪に似た症状で来院された患者さんに、「その症状はいつからですか」と質問したとしましょう。「3日前」という回答であれば、急性の状態なのでこのお薬を処方しようとなりますし、「2週間前」という回答であれば、風邪の初期段階は過ぎているので別の治療が望ましいという診断につながります。時々問診に力が入りすぎて、反省することも。バランスの良い問診を行うよう、心がけていきたいですね。
院内の特徴として、どのようなことが挙げられますか。
ゆとりのあるレイアウトが、当院の特徴の一つですね。院内には第2診察室を設けており、インフルエンザなどの感染症が疑われる患者さんの診察用に利用しています。またそうした患者さんにご利用いただくための別の入り口や動線も整備しているので、他の患者さんも安心して通院できるのではないかと思います。4年前の新型コロナウイルスが流行した渦中において、当院は第2診察室があったおかげで早い段階から発熱症状のある患者さんを受け入れることができました。感染した患者さんへの治療という点において、少なからず社会貢献できたのかなと感じています。
患者さんの傾向や最近の変化について、教えてください。
赤ちゃんから高齢の方まで、幅広い年齢層の方からご相談を承っています。主訴についても他の耳鼻咽喉科さんと同様、アレルギー性鼻炎、鼻・喉に生じる急性の炎症、お子さんの中耳炎、高齢の方の難聴などが代表的なもの。当院のホームページに大学病院勤務時に長年めまい専門の外来を担当していたことを記しているので、めまいのご相談頻度が若干多いように感じます。また、新型コロナウイルス流行以降、患者さんの感染症予防に対する意識が高まっていることも実感しています。患者さんから、「新型コロナウイルスは大丈夫でしょうか。インフルエンザの心配はありませんか」と質問されることもあります。インターネットが普及し、容易に病気関連の情報を受け取れる時代になったことも起因しているかもしれないですね。
大切にしていることは、学び続ける姿勢
耳鼻咽喉科を選択して、今どのように感じていらっしゃいますか。
私は高校生の頃進路に迷っていたとき、内科医の父から「医師は一生学び続けることができて面白い」と言われ、いつも忙しそうにしている父がそう感じているのなら、やりがいがあるのだろうなと医師をめざすことにしました。1983年、聖マリアンナ医科大学医学部を卒業。内科や外科が扱う器官の構造は理解しやすかったのですが、耳の中や鼻の奥の内部構造をイメージすることができませんでした。それを深く探求したいという気持ちから、耳鼻咽喉科を選択。耳鼻咽喉科が扱う器官は狭いと思われがちですが奥は深く、また全身との関わりも深い部分であり、治療に際して外科的な手術や手技を施すこともありますし、難聴、めまい、アレルギー性鼻炎、感染症などの場合は薬物療法が主体となるため内科的な診療も担います。外科的、内科的な診療の双方を担当できるところが、耳鼻咽喉科の面白さであるとしみじみ感じております。
これまでの経験の中で、医師としての考え方につながっていることはありますか。
医師になりたての、注射デビューの日のことです。長期入院の患者さんのベッド脇で、初めて静脈注射をすることに。緊張と不安で押しつぶされそうになっている私を見た患者さんから、「医者は何人もの患者さんを経て成長していくものだ」と勇気づけのお言葉を頂戴しました。その温かいお言葉は今でも鮮明に耳に残っております。経験を重ねるうちに初心を忘れがちな時もありますが、そうした時にはこの患者さんの言葉を思い出すようにしています。また父の言葉ではありませんが、常に学び続ける姿勢を大切にしています。患者さんからの学びや、外部の勉強会などに積極的に参加し情報のアップデートなどを怠ることなく継続すること。それが、医師の務めの一つかもしれないですね。
院長が診察を行う際に、心がけていることを教えてください。
耳鼻咽喉科は、新型コロナウイルスのような感染症が流行した際には感染リスクの高い診療科の一つといえるでしょう。お薬を処方するだけであれば懸念要素は少ないのですが、鼻や喉を丁寧に診て処置を施すとなるとそのリスクは高まります。新型コロナウイルスの流行以降、今でも感染防護用スタイルで診察を行っており、発熱症状のある患者さんの場合はさらに防護レベルを高めた形で診察に臨んでいます。感染症を警戒する意識が薄らいでいる状況下ではありますが、医療人自らその制限を緩めることには抵抗感を覚えます。医療に携わる身として、患者さんには「医師であるからには、そのリスクを軽視せず万全の対策を講じている姿」を見ていただきたいですし、そうした考えの医師が存在してもいいのかなと思います。
いつでも患者を温かく、優しく迎え入れる医院
医療体制について教えてください。
当院は、医師1人とスタッフ10人の体制です。スタッフの人柄、日々の業務に向けた志の高さには感謝するばかりですし、私自身がスタッフから多くを学ばせてもらっているという感じです。当院に10年以上勤務しているスタッフもおり、職場環境も良好。小さなお子さんや高齢の方に対して、温かな言葉がけや気配りをしてくれるので本当にありがたいと思っています。時折、自発的にスタッフ間で患者さんに関する情報共有を行っている姿を見かけることも。例えば歩行が不自由な方や聞き取りが苦手な患者さんの予約が入っている場合、事前に「このような対応をしましょう」といった意思疎通を図ってくれています。私にとっても頼もしいスタッフが、いつでも患者さんを温かくお迎えします。ご不安があれば、何でも気軽にご相談いただけるとうれしいです。
地域の方から、どのような医院として認知されたいですか。
時折、耳鼻咽喉科以外の、例えば内科的症状に関するお話をされることがあります。私の専門分野ではないので具体的なアドバイスはできませんが、相談しやすい相手として認めてくださっているのかなと思うとうれしいですね。地域にとって、そのような存在でありたいと思います。例えば「こういう症状が気になっているんだけど、どこか受診した方がいいかな」という患者さんがいらっしゃったら、「行ってみたほうがいいですよ」と背中を押して差し上げることはできます。それによって患者さんのお気持ちが整理されるとしたら、喜んで尽力したいです。
最後に、今後の展望をお願いします。
今後も今までどおり患者さんおよび患者さんの症状と真摯に向き合い、丁寧な治療を継続していきたいと思っています。医院の中には治療内容に特化していたり、明確なアピールポイントを持っているところも少なくありません。当院は、そうした形とは異なります。当院に足を運んでくださった患者さんの症状がどのような状態であっても、その状況の改善に専念するのが当院の特徴。また運営方針などを決めてそのやり方に固執するということでもなく、その時に患者さんや社会環境から求められることに対して、柔軟に対応していきたいと思っています。