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深澤 立 院長の独自取材記事

深澤りつクリニック

(横浜市都筑区/センター北駅)

最終更新日:2020/04/01

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センター北駅から徒歩2分に位置する「深澤りつクリニック」。泌尿器科、内科、呼吸器内科を標榜するが、「地域のよろず相談所」として周辺の医療機関とも連携しながら、診療科目以外にも幅広く対応している。同院の特徴は「医療福祉相談室」と「訪問看護ステーションNOA」、そして小規模多機能型居宅介護施設「ハーモニー・ハウス」が4身一体となって、患者が住み慣れた場所や、希望する環境で最期を迎えられるように、患者とその家族を支えていること。院長の深澤立先生に、在宅診療や居宅介護施設と連携する取り組みを聞いた。
(取材日2018年6月26日)

24時間体制で患者と家族を在宅診療で支える

開院から12年。在宅診療に力を注いでいますね。

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2014年に「医療福祉相談室」と「訪問看護ステーションNOA」を開設し、24時間、往診・緊急訪問看護ができる体制を整えました。これにより、機能強化型在宅療養支援診療所として、地域の多くの医療機関と連携しながら、患者さんを在宅で支える仕組みができてきました。「進行がん、末期がんの人を自宅で診ることができるような、そんなクリニックをつくりたい」。そういう思いでこのクリニックを始めましたから、10年以上たって、ようやく軌道に乗ってきたと感じています。クリニックでの外来診療科目は泌尿器科、内科、呼吸器内科となっていますが、ある程度、どんな病気にも応えようと思っています。自分たちだけで、すべて解決できるわけではないので、近隣の病院と連携しながら対応しています。

在宅診療の取り組みについて、詳しく教えてください。

進行がん、末期がんの方や、医療処置が多い方など、密なケアが必要な方に対して、医師と看護師が患者さんの自宅を定期的に伺う訪問診療を行っています。通常は月2~4回のペースで訪問しますが、具合が悪くなったときには、夜中でも診療に向かいます。在宅診療は、医師、看護師、ケアマネジャー、訪問ヘルパー、薬剤師、理学療法士など、多くの職種の専門家が一丸となって、患者さんご本人とご家族を支えるチーム医療です。当院は、緊急の往診や看取りまでしっかり対応する強化型在宅療養支援診療所です。通常は断られてしまうような、ケアの難しい状態の方でも、ご本人の気持ちに寄り添い全面的にバックアップすることをモットーにしています。

在宅診療で、そこまで手厚いケアが受けられるのですね。

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在宅診療に対する世間一般の認知度はまだまだ低いでしょうね。「こんなことができるとは思わなかった」と、言われることはよくあります。団塊の世代の約800万人が75歳以上になる2022年問題もあり、国の政策では、どんどん自宅で看護する方向に向いています。すべての方を病院で看るわけにはいきませんから。でも、それを受ける医療従事者側の体制ができていないのが現状で、今、医師会なんかも在宅診療に出る医師を増やそうとしているんです。これからは医療も介護もすごく難しい時代になりますから、自分たちがしっかり患者さんを診られる体制をつくっていかなければいけないと思っています。

きめ細かなケアでそれぞれの最期の時間を大切にする

2017年春には小規模多機能型居宅介護施設も新たにオープンされましたね。

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末期がんや進行がんで在宅診療でケアを受けている患者さんの中には、どうしても最期を近隣の緩和系病棟にお願いしなければならないケースもあり、そうするとわれわれが最期まで関われなくなってしまいます。われわれが主体的に関わりながら、通常の医療や介護ではこぼれ落ちてしまうような、患者さんとそのご家族の要望に応えられる場所をつくりたいと、小規模多機能型居宅介護施設の「ハーモニー・ハウス」をオープンしました。

患者さんと接するときに心がけていることはありますか?

自分がその人をどれだけ知っているかというと、ほんのわずかしか知らないので、なるべく相手の方の思っていることや感じていることを大事にしたいと思っています。自分が何か言うときは、どうしても自分の価値観が出てしまうので、気をつけるようにしています。在宅診療が始まる前にスタッフによく話すことなんですが、「患者さんには、患者さんが歩んできた人生があるので、ご本人の考えや価値観に皆で一緒に寄り添っていきましょう」と。そんな中でこちらがちょっと背中を押してあげることが必要な場合もあるし、かといって押し過ぎても良くないし、バランスがとても難しいですね。また、残されたご家族に後悔が大きく残らないようにしたいと思っています。幸いうちのスタッフは、細かいことまで気がついてフォローしてくれるので、助かっています。

スタッフとの連携がとてもいいですね。

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私が試行錯誤していく中で副院長の黒田俊也先生や、非常勤の永田将一先生、森尾純子先生、そしてスタッフたちが集まり、各施設間で臨機応変に連携しています。黒田先生は緩和医療を専門に、私とは違う分野で経験を積んできた方。刺激を受けるし、彼のおかげで一歩が踏み出せるようになり、一人でやっていた頃よりも医療サービスの質が向上したと思います。それと、在宅医療に関する相談を一手に引き受けている医療相談室の存在も大きいです。日本看護協会緩和ケア認定看護師の山本さんに、医療ソーシャルワーカーの河野さん、ケアマネジャーの坂元さんの3人体制で、訪問診療や保険制度の疑問、生活費や医療費の不安など、患者さんとご家族の相談内容を伺い、行政の支援につなげるなどしています。

後悔のないように、主体的に終末期医療を考えてほしい

対応エリアは都筑区ですか?

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都筑区が中心になりますが、青葉区、港北区、宮前区、緑区も訪問エリアとしています。ただし場所によって、訪問できたり難しかったりする場合がありますので、まずはご相談いただきたい。この頃では「うちの近所の人が在宅で看取ってもらえたので、それでアドバイスをもらって相談に来ました」というふうに、紹介で来院される方も少しずつ増えています。一戸一戸回っていかなければいけないし、外来もありますし、在宅診療できる人数には限りがありますので、それも含めて電話でご相談いただければと思います。

医師を、そして在宅医療を志したきっかけは?

父が国立がんセンターの麻酔科の医師をしていたので、幼い頃からがんセンターの中に住んでいました。父は一度も「医師になれ」と言ったことはありませんでしたが、私は小学生の頃から、患者さんに寄り添うような医師に憧れていたようです。高校時代に進路を考えたとき、自分が一生やっていきたい職業は何かと自問した末に、医師を選びました。山形大学の医学部を卒業し、東京大学医学部の泌尿器科で経験を積んだ後に赴任した千葉県の病院で、素晴らしい先輩医師に出会いました。往診して、在宅で末期がんの方を看取ることも、ここで初めて経験しました。手術に没頭した時期もありましたが、次第に患者さんとじっくり付き合いたいという思いが強くなってきて、そこで、末期がんの人が家で過ごせるような、在宅医療を中心としたクリニックをつくろうと考えるようになったのです。

読者へのメッセージをお願いします。

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これまで多くの看取りを見てきましたが、残される側は、どれほど一生懸命考えて、最善と思われる選択をしたとしても、必ず何かしらの後悔をします。私自身、母の入院でその難しさを実感しました。なるべく後悔のないように、ご本人が元気なうちに、どのような最期を希望しているのか意思の確認をしておくことが大切です。エンディングノートを利用するのもいいですし、「テレビでこんな話題があったんだけど」と話を切り出すのもいいでしょう。自分の最期や、親御さんの最期を、主体的に考えていかなければならない時代だと思います。

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