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松原太明 院長の独自取材記事

まつばら歯科クリニック

(世田谷区/用賀駅)

最終更新日:2021/10/12

松原太明院長 まつばら歯科クリニック main

用賀駅すぐの路地裏に、ひっそりと佇む隠れ家的歯科クリニック「まつばら歯科クリニック」がある。一見カフェか美容室かと思わせる木目調の扉。その扉を開け一歩足を踏み入れると、そこにはナチュラルで温かい空間が。「歯が痛くなってから行くのではなく、痛くならないようにするための場所にしたい」と語る院長の松原先生は、一見クールな雰囲気を装いながらも案外愉快なキャラクター。週に一、二度お手伝いに来てくれるという奥様は元々歯科助手なだけあって明るく頼もしく、患者さんとは治療時間よりも長く話し込んでしまうこともあるとか。近所の行きつけのように、気軽に足を運べそうだ。

(取材日2007年5月10日)

最良の治療は、予防

歯科医になろうと思ったきっかけをお話いただけますか?

松原太明院長 まつばら歯科クリニック1

最初から歯科医を目指していたというわけではなく、人に感謝されるような、人のために役に立つような仕事につきたい。さらに何か手に職をつけられるような業種を模索していました。中でも歯科医を選んだ理由は、私自身が子供の頃から虫歯で苦労した経験があり、「歯科医院はとても恐ろしい場所だ」というイメージが強かったので、ならば逆に内側から見たらどうなんだろうと、突然興味が沸いたからなんです。

どういう歯科医になろうと思っていましたか?

小さい頃の私にとって、歯医者は行きたくない場所ナンバーワンだったんです。だいたい虫歯になると、一度痛くなってもしばらくすると痛みがおさまるじゃないですか。最初にちょっとした異常を感じた時にすぐに治療に行っていれば良かったんでしょうけれど、それを放置して、我慢出来ないほど痛くなって、さらに腫れたりして、結局相当悪化してから行くから、麻酔も効きにくいし、治療も痛いし不快だし、結果的には歯の命ともいうべき神経を取られたりするんですよ。今でもそうですが、みなさん、歯が痛くなってから来るでしょう?痛くなる前に来れば、治療をしなくて済みますし、嫌な思いもしなくて済むんですよね。それに実際のところ治療とはいっても、100%元通りにはできないんですよ。治療した歯には必ずダメージが加わり、治療の度に確実に歯の寿命を少しづつ短くしてしまっています。最良の治療は、高価な自費の治療や海外の最先端の治療などではありません。病気を病気になる前にしっかりと予防することなんです。現在では虫歯や歯周病(歯槽膿漏)は予防できる時代なんですよ。

ご自身の痛い経験も活かされているんですね。

そうなんです。それと私、大学を卒業してから約10年間、口腔外科に在籍させていただてたんです。そこでは全身疾患をお持ちの患者さんもたくさん拝見させていただいたのですが、ある患者さんの歯を一度に13本抜くことになったんです。依頼された通りに歯を抜いていたのですが、よく見ると、抜いた歯は今までに治療経験のある歯ばかりなんです。治療する側としては、かなりショックを受けましたねえ。逆に言うと、手を加えていない元々のご自身の歯は、少々ガタがきていても、抜かずに済んでいたんです。どんなに良い治療をしても、元々持っているご自身の歯に勝るものはないんですね。もちろん、一度痛んでしまった歯は治療をせざるを得ませんが、一生自分の歯で食べていくためには、やはり治療されないように、予防をすることに尽きるんだと思いました。

ちゃんと治したい人を、ちゃんと治せる環境を

その後の経緯を教えてもらえますか?

松原太明院長 まつばら歯科クリニック2

その後、神奈川県の総合病院の歯科口腔外科に勤め、大学時代の大先輩で手術のスペシャリスト、私の口腔外科での師匠でもある部長の中村篤先生から多くのことを学ばせていただきました。抜歯という、歯の最後の過程に日々携わりながら、このままじゃいけないと思っていたちょうどその頃に、ものすごい先生に出会ったんです。相模大野でご開業されている西川洋次先生といって、知識も技術も超一流、とにかくひとりで何でも治療できる、噛み合わせを重視した歯と顎の関節、顎の筋肉のことなら何でも知っていて、どんな症状にも対応できる、首から上のスペシャリストなんですね。その西川先生の診療所に週に1度行かせてもらったんです。そこで日本のトップの治療、こうやれば歯が残せるんだという過程を見て、非常に衝撃を受けたんです。歯科医ならこうじゃなければと。中村先生や西川先生には、まだ足下にも及んでいませんが、今でも困ったこたがあったら、先生方には相談をさせていただいています。そこからは、開業に向けて進んでいきました。

転機だったんですね。開業の場を選ぶにあたってこだわったことは?

松原太明院長 まつばら歯科クリニック3

痛いと言って突然患者さんが来院されると、予定の患者さんの治療が乱されるでしょ。ちゃんと治したい人をちゃんと治せる環境を作りたいと思いました。丁寧に時間をかけて、ひとりひとりじっくり診れるようにしたかったんです。ならば、飛び込みの患者さんにあまり邪魔されないように、ちょっと裏通りの隠れ家的にするのはどうかと。駅からは近いんですが、大きな通りから一本路地に入る、自分だけのお店的な感じで(笑)。

診察で心がけていることはありますか?

自分が受けたい治療をすることですね。少なくとも、自分がやったことが、患者さんにとってのマイナスにならないように考えながらやっています。痛みを取るだけの、その場しのぎの、継ぎはぎの治療ではなく、先を見越した治療を。もちろん、治療をしなくても良い歯を作るために、健康なうちから定期的に予防に通ってもらえればと思います。ここでは歯科全般をやっていますが、特にお子さんが多く来るんですよ。そこで感じるのは、子供の頃から、きちっと歯の大切さを教えてあげて、どうしたら虫歯になるか、なぜ歯を磨くのかを、小さなうちから知らせてあげなければ、ということ。スウェーデンなどヨーロッパでは、幼稚園から歯の健康に対する教育を叩き込まれていますから、80歳になった時に残っている歯は、20本以上もあるんですよ。なのに日本は、残念ながら6〜7本、先進国の中でも最下位なんです。歯に対する考え方が違うだけで、将来こんなに差が出てくるんですよ。そもそもの歯医者の使い方を、痛くなったら行く場所ではなく、痛くならないように行く場所であってほしいと思っているんです。だって、美容院に行くときは、みなさん綺麗になりたくてルンルンして行くでしょう?歯医者に行く時はなぜ、どよ〜んとした感じで行くのか。だから歯医者は、痛みを取るために行くのではなく、美しくて健康な歯にするために行く場所になれば、気持ちも変わると思うんですよね。実際に、歯のクリーニングをすると、みなさん気持ちいいって言ってくださるんですよ。

歯医者を上手に利用してほしい

こちらでは、先生のご専門の口腔外科も行っているとか?

松原太明院長 まつばら歯科クリニック4

さすがに全身麻酔の手術はできませんが、インプラントを入れるための骨の移植というのはやっています。インプラントをしたくても、骨が足りないために他の病院ではできない患者さんもいらっしゃいますからね。そういう時には、ご自身の口の中の骨や人工の骨を移植します。他にも、埋まっている親知らずの抜歯などの口の中の手術はほとんど行えますよ。顎関節症のお悩み、診断や治療方針について主治医以外の医師の意見(セカンドオピニオン)に関するご相談にもお応えしています。

守備範囲の広さは先生のご経験の賜物ですね。他の治療としては?

松原太明院長 まつばら歯科クリニック5

なんでもやります。矯正に関しては、僕の信頼している同級生の矯正専門の先生が定期的に来てくれています。子供が多く来るから、必然的に子供の矯正の要望も多いんですよね。噛み合わせや歯並びが悪いと、いろいろな病気の要因になるんですよ。噛み合わせが悪くうまく噛めていないと、特定の歯に変な力がかかりやすく、表面に細かいヒビが入って、そこから虫歯や、果てには歯槽膿漏になるんです。ガタガタした所は磨きにくいから、虫歯も進行してしまう。矯正は、見た目の美しさだけではなく、機能的に噛めるようになることが重要なんです。矯正はね、究極の予防なんです。

これからクリニックをどう育てていきたいですか?

日常の歯みがき一つとってみても、磨けば良いというものではなく、磨けているということがとても大切で、歯の磨き方が悪かったり、磨きすぎても歯が削れてしまってたり、知覚過敏の原因になっている方も多く見受けられます。患者さんに、正確な情報を伝えなければ、と思っています。昨年開業してから模索の一年で、基本的な考え方やこれからの展望が固まってきました。それが予防を中心に考えた治療なんです。これからは、予防のためにも歯科医を上手に利用してもらいたいと思います。

お休みの日の過ごし方は?

休日は子供と遊んでいますね。小学3年生、幼稚園の年長さん、2歳の3人兄弟です。上のふたりはサッカーをやっているから一緒に練習や試合に行ったり、家でゲームをやったり、勉強を見てあげたり。この間は、「ドラえもん」の映画に行って、いっしょに泣いちゃいました(笑)。

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