杉山義祥理事長、杉山功祐院長の独自取材記事

医療法人社団祥豊会杉山歯科医院

(横須賀市／馬堀海岸駅)

最終更新日：2024/03/14

馬堀海岸駅から徒歩3分。1979年開業の「杉山歯科医院」は、長きにわたって横須賀・馬堀近辺の地域住民の歯の健康を守り、地域医療に貢献し続けてきた。杉山義祥理事長は「生かす医療から生きる医療へ。最後まで自分のお口で食べよう」をモットーに掲げ、歯周病治療や予防歯科を中心に、SPT（歯周病安定期治療）やスポーツ歯科にも力を入れている。インプラント治療やSPTでは専用個室も用意するなど院内感染防止対策も徹底。院内は、ビル内に設けられた中庭を望むことができ、義祥理事長自らが育てているという花々が目を楽しませてくれる。2023年、息子である杉山功祐先生が院長を継承。「平均寿命と健康寿命の差、これを縮めることがこれからの課題」と、親子2代にわたる地域医療への変わらぬ思いをじっくり聞いた。

（取材日2023年11月13日）

生かす医療から生きる医療へ。健康寿命の延伸に貢献
予防とメンテナンス重視の治療で地域の健康を守る
心の通う診療で地域に恩返し

生かす医療から生きる医療へ。健康寿命の延伸に貢献

2023年4月より、息子の功祐先生が院長を継承されたそうですね。

【功祐院長】私は子どもの頃から大勢の患者さんに感謝される父の背中を見て育ったので、物心ついた時には歯科医師になろうと決めていました。歯科というのはお口の中を診るミクロな視点が重要視されがちですが、父は患者さんを診る時、まず患者さんの顔を診て、それから姿勢や全身の様子を診て、やっとお口の中を診ていくというマクロの視点とミクロの視点を持って治療に臨んでいます。これまで父が培ってきた知見や歯科医療を学びつつも、何か一つ父を超えられるものを身につけられればと、専門とするマイクロスコープによる歯内療法をはじめ、日々研鑽を重ねています。
【義祥理事長】私は歯科医師になって42年もたっていますので、進歩の早い歯科の世界では、功祐先生のほうが詳しい分野も少なくなく、力を借りる場面が増えてきたので院長交替を決めました。学生時代から週に1度は診察室に立ち、当院のモットーもしっかり受け継いでくれています。

こちらの歯科医院のモットーについて教えてください。

【義祥理事長】開業当初のモットーは「抜かない、削らない、痛くない21世紀の歯科診療をめざして」でした。そのうち21世紀がやってきて、診療方針も一新しました。新たなモットーは「生かす医療から生きる医療へ。最後まで自分のお口で食べよう」です。医科は日本人の平均寿命を大きく延ばすことに貢献し、日本人の平均寿命は世界一になりました。しかし健康寿命と平均寿命には大きな開きがあります。この「健康寿命」の延伸に大きく関わってくるのが、歯科医療だと考えています。自分の口で最後まで食事ができることは全身の健康につながると思います。患者さんの健康を第一に考えながら診療にあたり、歯周病や予防歯科を中心に、現在はSPT（歯周病安定期治療）にも力を入れています。

歯科医療を通じて全身の健康に貢献してこられたのですね。

【義祥理事長】自分の口で咀嚼して食事を取るということは、健康の基本です。近年では、口腔機能の衰えに対する認識も広まってきました。口腔内の筋肉減少は、食環境の悪化や生活機能の障害などにもつながります。また、咀嚼は脳に良い刺激を与え、認知症や物忘れの予防にもつながり、全身の健康を支えます。「健康寿命をどう延ばしていけるか」という課題の中に、歯科診療が貢献できる部分は大きいと考えています。例えば、健康寿命を延ばすためには適度な運動が大切です。当院では、舌の運動能力、口腔内の水分量などの他、骨密度の測定もかなり前から取り入れ、口腔機能だけでなく運動機能の低下の早期発見や防止に役立てています。

予防とメンテナンス重視の治療で地域の健康を守る

注力されているというSPTについて教えてください。

【功祐院長】SPTとは、一言でいうと定期的に行う歯周病治療です。定期検診やメンテナンス治療の考え方をもう一歩進めたもので、虫歯や歯周病の治療を終えた患者さんが対象です。数年前に保険適用となり、自分の歯を多く残すために有用だと考え、当院でも予防歯科の一つとして、この治療に力を入れています。院内には半個室のSPT専用のユニットが2台、またSPT専用の個室や、特殊な微粒子でクリーニングを行える医療機器を導入。継続して受けていただくことで、口腔内の良好な状態を長期間維持することが期待でき、それによって全身の健康につなげたいと考えています。長く当院に通い続けてくださる患者さんが多いことから、当院では歯科衛生士が担当制で患者さんを受け持ち、定期的に管理していくメンテナンスを中心にしています。

最近は、睡眠時無呼吸症候群の相談も増えてきているそうですね。

【義祥理事長】睡眠時無呼吸症候群は、就寝中に呼吸が止まってしまう状態が断続的に繰り返される症状です。一時的に全身が低酸素状態になるため、体への負担がとても大きな病気です。また、睡眠の質も悪くなり睡眠時間を多くとってもしっかり体が休めておらず、常に睡眠不足となり突然眠気に襲われたり、車の運転や仕事など私生活に大きな支障が出たりしてしまいます。当院では指先にプローブを装着して血流量を終夜連続的に測定する睡眠評価装置を用いた睡眠状態の検査に対応しています。睡眠時無呼吸症候群の患者さんは必要に応じて内科と連携しながら治療を進めていくことも可能です。家族からいびきを指摘されたことのある方は、一度受診されることをお勧めします。

スポーツ用マウスガードや、就寝時に装着するナイトガードにも対応されていますね。

【義祥理事長】スポーツ用マウスガードは、歯や顎、頭蓋骨、脳などへの外傷の予防につながるだけでなく、噛み合わせの安定性や筋力、平衡感覚にも好影響を与えると考えます。一方、就寝時に装着するナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりから歯を守るためのものです。ストレスなどからくる食いしばりや歯ぎしりは、歯を損傷させるだけでなく、睡眠の質を下げることにつながることから、当院では独自の素材配合で、眠りを妨げず適切に噛みしめることのできるよう適度な硬さのナイトガードの作製に努めています。痛みの改善や睡眠の質、生活の質の向上にもつながると考えています。

心の通う診療で地域に恩返し

患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

【功祐院長】原因不明の不調が続き、何科に相談したらいいのかわからないという患者さんも少なくないでしょう。ただ、歯ぎしりや食いしばりが原因となっているケースもあり、よくよくお話を聞くと、人間関係などでストレスを抱えていらっしゃることが影響していることも考えられるのです。患者さんのお話をよく聞いて、何にお困りなのか主訴を見極め、問題改善に向けてその方に合ったご提案をさせていただきます。

訪問診療にも対応しているそうですね。

【義祥理事長】配偶者を失った患者さんは、会話や外出の頻度も減る中で、何とか当院に来てくださっています。そんな患者さんに「よく来てくれましたね」と声をかけ、心を通わせることができるのは地域に根差した歯科医院ならではです。ただそういった方に限らず、高齢になると外出がおっくうになって家に閉じこもりがちになることも。ずっと元気でいられるように、私はよく患者さんに「友達をつくりなさい、一緒に食事や旅行に出かけなさい」と、日頃から言い続けているんです。しかし、患者さんがいよいよ通院困難になった時には、今度は私が患者さんのもとに出向きます。長年お付き合いしてきた患者さんなので、私が行くだけできっと喜んでくれると思うんです。訪問診療でも、歯科医院で行うのと同じような治療が行える設備を用意していますので、安心して治療を受けていただきたいですね。

地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

【功祐院長】馬堀海岸には小さい頃から私をかわいがってくださった患者さんも大勢います。家族同然の患者さんたちにできるだけ元気で長生きしていただきたいというのが私の願い。歯科医療を通じて皆さんの健康をサポートし、地域に恩返しができればと思っています。些細なことでも、気軽に相談していただけたらうれしいですね。
【義祥理事長】当院では、「生かす医療から生きる医療へ。最後まで自分のお口で食べよう」という思いのもと、お口の健康を通じて、患者さんにより豊かで、より質の高い生活を提供できればと考えています。親子2代で多角的、かつ長期的に地域の皆さんの健康を口腔内から守っていきたいですね。これからも地域の皆さんの健康づくりをサポートできるよう、新院長やスタッフとともに信頼される歯科医院づくりに努めてまいります。