渡邊 奈美子 院長の独自取材記事
岩屋歯科医院
(藤沢市/辻堂駅)
最終更新日:2026/03/12
JR東海道本線・辻堂駅南口から徒歩約10分の、昔ながらの住宅街にある「岩屋歯科医院」。院長を務める渡邊奈美子先生は、1974年から続く父の歯科医院を2000年に継承するかたちで開業した。小児から高齢者まで幅広い層の患者が通う同院は、開業当時の面影を残しつつも、新型の診療台やバリアフリーのトイレ、新鋭のデジタルエックス線撮影装置などの導入により、明るく快適な空間に。先代の頃から通う患者も多く、高齢になり通院が難しくなった場合には訪問診療にも対応。治療だけでなく予防の大切さを啓発している。「髪を切りに行くような気軽な感覚で、お口の掃除に来ていただきたいです」と笑顔を見せる。自身も生まれ育ったという愛着ある場所で、地域に根差した診療を続ける渡邊院長に、クリニックにかける想いなどを聞いた。
(取材日2026年1月26日)
歴史あるクリニックを、時代に合わせてアップデート
クリニックのなりたちをお聞かせください。

ここはもともと、私の父が開業していた歯科医院です。2000年に父が体調を崩し、当時日本大学歯学部の歯科口腔外科に所属していた私が継承するかたちで開業しました。子どもの頃、都内に住んでいた私は、大気の影響もあってか体が弱い子でした。そんな私の成長を考えて、両親がこの場所に転居してくれたという縁もあります。大学病院での診療とは異なる部分も多く、当時は戸惑うこともありましたが、より地域の方々に密着した貢献ができることに大きなやりがいを感じています。継承のタイミングで壁紙と床を一新、トイレをバリアフリーにしたり、診療台を新しくしたりと少しずつ院内をリニューアルしてきました。とはいえ、父の代からのアットホームで親しみやすい空間を大切に考えており、昔ながらの雰囲気を残すことは意識しています。
こちらの設備や体制などについて教えてください。
最近では、エックス線撮影室にデジタル式のパノラマエックス線撮影装置を導入しました。従来は現像に時間がかかっていましたが、撮影後すぐに手元の画面でデジタルデータに基づく精細な画像を確認できます。患者さんをお待たせすることなく、精密な診断結果をその場でお見せできるようになりました。また、以前から取り組んでいるバリアフリー化や専用駐車場の設置により、車いすやベビーカーをご利用の方も安心してご来院いただけます。スタッフは熱意ある歯科助手と、月曜午後を主体に勤務する歯科衛生士が連携し、アットホームな雰囲気で患者さんをお迎えしています。私を含め、全員女性の医療チームです。
どのような患者さんが多くいらっしゃいますか?

地域柄、長年通ってくださるご年配の方が多いですが、最近は周辺にマンションが増えたこともあり、若いファミリー層やお子さんの受診も増えています。以前に比べ、お子さんのお口の中について関心が高い親御さんが増え、予防意識も非常に高まっていると感じますね。藤沢市は高校を卒業するまで医療費の助成があり、自己負担なしでの受診が可能です。こうした制度を利用して、幼少期から歯科医院とのつながりを持っていただくのは、長く歯を守るためにもたいへん有用だと感じています。また、歯科医師が女性ということもあってか、男性の先生には話しにくいお悩みを持つ女性の患者さんも多くいらっしゃいますね。
多様な診療を展開、丁寧なカウンセリングで信頼関係を
診察の際に心がけていることはありますか?

診察時に心がけていることは「丁寧なカウンセリング」です。患者さんと歯科医師の1対1の関係において、信頼関係はとても大切です。その関係を構築するためには、患者さんの意思はもちろんのこと、その方の性格などを把握することも必要です。時間としては、3~5分程度ですが、この時間内に治療に欠かせない情報をヒアリングできるよう努めています。当院にはご高齢の患者さんも多いため、「他科に通院されているか」「全身的な疾患をお持ちかどうか」「服用しているお薬」などについても必ず確認します。患者さんから伺った情報と検査結果に基づいて診断を行い、患者さんごとに独自の治療内容を検討します。治療に際しての最優先事項は、患者さんが気になっているトラブルをまず解決すること。トラブル解決後に別の処置を行うことが望ましい場合は、別途相談させていただきます。
最近、患者さんの相談内容に感じられている変化はありますか?
元の審美性を気にされる方が非常に増えたと感じています。特に「笑った時に目立つ銀歯を白くしたい」「茶渋などのステインを落として白い歯を取り戻したい」といった見た目に関わるご相談を、20代から70代まで幅広い世代の方から受けています。CAD/CAM冠という白いかぶせ物の保険適応範囲が広がり、条件によっては前歯に限らず奥歯も健康保険で治療できるなど、以前よりも手軽に白い歯を選べるようになりました。プラスチックとセラミックを合わせた白い素材で作られているため審美性が高く、金属アレルギーの心配もないため、多くの方が選択されています。また入れ歯治療ではノンクラスプデンチャーという、目立ちにくく残っている歯への負担軽減が期待できる入れ歯を推奨しています。
特に注力している分野があれば教えてください。

現在注力している分野の一つは、予防歯科です。近年は、予防に対する患者さんのモチベーションが高まってきているので、以前と比べるとお口の中のお掃除を希望される方が多くなっています。口腔内クリーニングは審美性を高める目的に加え、虫歯や歯周病を予防し、全身疾患の対策にもつながることは広く知られるところです。磨き残しはどうしても起こりがちなので、定期的に、専門的なケアを受けていただくことをお勧めします。基本的に3~4ヵ月おきですが、お口の中の状態が良い方は半年~1年に1回でも大丈夫。当院では、治療を行うことなくクリーニングだけを目的に来院される患者さんは全体の3割程度。歯科衛生士がいない日は私自身が行いますが、これをきっかけに虫歯や歯茎の問題が見つかることも少なくありません。ぜひ、お気軽にクリーニングのご相談にお立ち寄りください。
全身疾患の予防にもつながる、歯科定期受診の習慣を
小児歯科や歯科恐怖症にも対応されていますね。

最近の親御さんの多くは、お子さんのお口の中をきちんと管理されているので、昔のように口腔状態の悪いお子さんはずいぶんと少なくなりましたが、小学校低学年くらいまでは、歯磨き後のチェックや仕上げ磨きの重要性をお伝えすることが大切です。虫歯が増えてきた子には、一人ひとりのお子さんに合ったアドバイスをするように心がけています。また、年齢を問わず歯科治療に恐怖心を抱いている方もいらっしゃいます。その際に、とりわけ重視しているのは「カウンセリング」です。患者さんのことを十二分に理解し、無理な治療を行わないように努めています。徐々に歯科通院に慣れていただけるようにアプローチしています。
地域医療への取り組みについてお聞かせください。
藤沢市歯科医師会の一員として、木曜日の休診日を利用し、20年以上にわたり障害者歯科診療に携わっています。月3回のペースで、鵠沼石上の「藤沢市口腔保健センター」と大庭の「藤沢市保健医療センター」に出向き、障害者の方の歯科診療を担当。障害が重い患者さんの場合は、歯科衛生士の力を借りてユニットに固定することもありますし、患者さんとスムーズに意思疎通を図れないこともあります。難しいと感じる場面に遭遇することも頻繁で、治療後に「もっと、こういうふうにできれば良かった」と自省することも少なくありませんが、こうした経験を積み重ねながら一歩ずつ成長していきたいと思っています。また、学校歯科医として保育園や小学校の歯科検診も担当しています。こうした地域活動を通じて、地域の皆さんの健康維持に少しでも貢献できればと考えています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

お口の中を清潔に保つことは、高血圧や糖尿病といった全身疾患の予防につながります。特に痛みなどの症状がなくても、美容院に髪を切りに行くような感覚で、クリーニングや検診を目的に歯科クリニックを定期的に利用していただく習慣をつけていただきたいです。クリーニングをきっかけに隠れた虫歯が見つかることもあります。また、女性のみの医療チームですので、特に男性には相談しづらいようなことも、遠慮なくご相談いただけます。何か困ったことや気になることがあれば、近所に世間話をしに行くようなイメージで、お気軽にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはノンクラスプデンチャー(少数歯欠損)/9万9000円、ノンクラスプデンチャー(多数歯欠損)/16万5000円~33万円、セラミック治療(1歯)/9万9000円~16万5000円

