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原島 大 院長の独自取材記事

原島歯科クリニック

(川崎市多摩区/稲田堤駅)

最終更新日:2021/10/12

原島大院長 原島歯科クリニック main

京王稲田堤駅から徒歩3分。静かな住宅街の一角に「原島歯科クリニック」はある。院長である原島大(はらしま・まさる)先生の祖父、父と3代にわたって地域住民の歯の健康を守り続けてきたクリニックだ。2010年5月、現在の場所に同クリニックを移転、リニューアルオープンの後、原島先生が院長に就任した。院内は全面ガラス張りで明るく開放的。壁面はギャラリーとなっており、患者からプレゼントされた書や写真、アートフラワーのほか、原島先生の2人の愛娘が描いた絵も飾られており、「忙しくても、なるべく休日は子どもたちと遊ぶようにしています」と話す良き父親でもある。おおらかで話し上手な原島先生に、日々の診察で心がけていることなどをじっくりと聞いた。

(取材日2015年3月10日)

休日返上で診療する父の姿を見ながら少年時代を過ごす

先生が歯科医師になられたきっかけを教えてください。

原島大院長 原島歯科クリニック1

ここは1935年頃祖父が開き、父が2代目院長を務めた歯科医院です。祖父の代から長年にわたり歯科医院を営んでいた関係上、子どもの頃から自分は歯科医師になると決めていました。2010年に現在の場所に移転しましたが、父の代までは、ここから少し先に行った森の隠れ家のような場所に住居を兼ねたクリニックで、私もそこで育ちましたが、住居を兼ねていて父がいつもクリニックにいる状態でしたので、正月、お盆なども関係なく、いつでも患者さんが来院されていました。正月やお盆は、ほかの歯科医院はどこも閉まっていますよね。そんな時も、父は嫌な顔一つせずに対応していたので、患者さんはとても喜んでおられましたね。そんな父の背中を見て育ちましたので「大人になったら歯科医師になろう」と早くから心に決めていました。

どういった患者さんが来院されるのでしょうか。

はい、当院は3代続くクリニックですので、小さなお子さんから高齢の方まで幅広い年齢の患者さんに来院いただいています。クリニックの診療以外では、近隣の幼稚園の園医も務めていますので、近くにお住まいのお母さんをはじめ、家族ぐるみで来院してくださってます。また、親知らずの抜歯や顎関節症、粘膜の疾患などで来院してくださる方もいらっしゃいますね。私自身口腔外科を専門としてきましたので、親知らずの抜歯など得意としております。例えば、横に向いて生えている親知らずなどは、通常、大学病院の口腔外科で治療をしますが、大学病院だと、診療時間が短く、土曜は休診しているので受診できない方も多いです。そういった方が、「原島歯科クリニックなら土曜も診てくれる」ということを聞きつけて来院してくださるケースもありますね。また、ほかの歯科医師から紹介された難症例の患者さんの抜歯も行っています。

診察の際に心がけていることは何ですか?

原島大院長 原島歯科クリニック2

最も大切にしているのは、患者さん一人ひとりとのコミュニケーションです。そして患者さんに寄り添い、その方に最良の治療法をご提案したいと考えています。治療方針の説明も、患者さんが理解しづらい専門用語はなるべく使わず、できる限りわかりやすい説明に徹するようにしています。気持ちの良い治療の第一歩は「お互いの納得」であることを肝に銘じ、診療に臨むように心がけています。そのほかにも、薬の副作用には注意していますね。例えば、高齢の患者さんは骨粗しょう症の治療薬の副作用により、抜歯などの後、顎の骨の一部が死んでしまう病気「顎骨壊死」の発症が報告されています。ほかにも、高血圧の薬による歯茎の腫れ、抗うつ剤による唾液への副作用などがあります。このような薬の副作用には細心の注意を払い、発見した場合は適切な処置を施すようにしています。

地域のかかりつけ医としての役割を全うしたい

最近は、子どもの虫歯が少なくなってきているとか。

原島大院長 原島歯科クリニック3

そうですね。昔に比べるとお子さんの虫歯は減りました。私は歯科医師会で学校歯科保健にも携わっているため、実際にお子さんの歯を見ていく中で感じているところです。年々お母さんの健康意識が上がっていることに加え、少子化でお子さんにしっかりと目が行き届くようになった結果だと思います。ただ、最近は子どもの口内環境の二極化が問題となっています。虫歯が1本もない子がいる反面、一人でたくさんの虫歯を持っている子がいるのです。その差をいかになくしていくかが歯科検診などで直接子どもたちに接する歯科医師の今後の課題だと考えています。虫歯が多い子に、ただ歯磨きができていないから歯磨きをしようと促すのではなく、なぜ歯磨きができないのか、意識の問題なのか、環境の問題なのか、こういったことまで考えながらサポートしていけるよう努めています。

小さいお子さんを持つお母さんからはどのような相談をされますか?

指しゃぶりや、歯並びについての質問が多いですね。「小さな子なのに歯ぎしりをする」という相談もありました。食べ物に関する相談も少なくないですが、甘い食べ物がすべて悪いわけではありません。糖分には脳を活性化させる大切な働きもあるので取り過ぎに注意をして食べていただければと思います。また、3歳までにお菓子など甘いものを食べさせると、甘いものを欲しがる脳になるともいわれているのですが、そういった情報提供も心がけています。それから、お子さんに虫歯ができたときは「しっかり治していきましょう」「これから新しい虫歯を作らないようにしましょう」と、前向きな取り組みを呼びかけるようにしています。子どもに虫歯ができたことで落ち込むお母さんも多いですから。一緒にお子さんの歯を守る意識変革の機会と捉えていただければうれしいですね。

印象に残った出来事があればお聞かせください。

原島大院長 原島歯科クリニック4

前歯を失った患者さんが来院されたことがありました。来院時は、手で口元を隠して話されていたのですが、前歯を治療した後の明るい笑顔は印象的でした。それから、小さなお子さんがいきなり1人でクリニックに入って来た時は驚きましたね。「どうしたの?」と聞くと、「トイレを借して」って言うんですよ(笑)。前の通りが通学路になっているので、そんな楽しいアクシデントも起きるのですね。小さな出来事ですが、当院が地域に溶け込めていることが実感できてうれしかったです。私自身もここで育ちましたし、この地域の人々の生活の一部といいますか、そんな存在のクリニックになれたらいいなと考えています。

「点」ではなく、継続的な「線」の診療で早期発見を

糖尿病と歯周病の相互関係も近年大きな問題となっています。

原島大院長 原島歯科クリニック5

糖尿病になると歯周病が悪化するといわれています。また逆に「歯周病になると糖尿病の症状が悪化する」ことも報告されています。そのため当院では、患者さんのお口の中だけでなく、体全体の健康も考慮し診療を行います。最近はマスコミが盛んに医療情報を発信しますので、その影響もあり「口の中にできものがある。がんなのでは?」と心配して悩まれる方も少なからずおられます。お口の中にできものがあって気になる方は、遠慮なくご来院ください。もし口腔がんの疑いがあった場合には、大学病院や総合病院との連携をしております。

今後の展望についてお聞かせください。

現在は、キュア(治療)が多くなってますが、キュアよりケア(手入れ)に患者さんの意識を持っていきたいですね。私の子どもの頃、この辺りは田園風景が広がっていました。今はマンションもたくさん建ち、地方からこの地域に移り住む方も増えてきました。父の代から長きにわたって通院されている患者さん、そして新しくこの地域に移り住まれた患者さんお一人お一人を、私が年を取って引退するまでしっかりと責任を持って診療させていただければと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

原島大院長 原島歯科クリニック6

患者さんの治療には「点」ではなく「線」として携わらせていただきたいです。健康な歯を維持するために、患者さんと私が二人三脚で伴走する感じでしょうか。「点」、つまり一時的に症状を診ただけでは、例えばその患者さんが虫歯や歯槽膿漏になった原因がつかみにくくなります。患者さんの口内環境を長期間にわたって見守り続ける「線」の診療でしたら、お口の症状から糖尿病など内科的な疾患を発見できる可能性が高まります。皆さんには生涯、健康な自分の歯を保っていただき、おいしいものを食べ続けていただきたいですね。そのためにも、来院してくださる患者さんとは「点」ではなく「線」でお付き合いさせていただき、歯の健康だけでなく口内環境から見えてくるさまざまな病気についても早期発見ができればと考えています。

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