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河内 康之 院長の独自取材記事

河内歯科医院

(新発田市/加治駅)

最終更新日:2022/03/01

河内康之院長 河内歯科医院 main

新発田市稲荷岡の静かな住宅街の一画に「河内歯科医院」がある。3代目院長である河内康之先生の祖父の代から続いているという、歴史を持つ歯科医院だ。清潔感のある白壁とナチュラルな白木を基調にデザインされた明るい院内は、開放的でリラックス感のある空間。河内院長は、東京歯科大学卒業後、同大学に残って口腔外科を学び、総合病院の歯科口腔外科などでの勤務医経験を経た後、2015年に院長へと就任。歯周病予防から虫歯治療、入れ歯の製作といった一般歯科から、小児歯科、口腔外科領域までを幅広くカバーする診療を行っている。高齢化に伴い需要が急増しているという訪問歯科診療や患者の送迎、食支援までを視野に入れた、きめ細かな歯科医療の提供をめざしているという河内院長に、いろいろと話を聞いた。

(取材日2021年11月29日)

地域に寄り添った歯科医療の実現をめざす

こちらの開業のご経緯を教えてください。

河内康之院長 河内歯科医院1

当院を開業したのは祖父で、父、僕で3代目です。戦後間もなくの開業ですから、もう70年以上になりますね。父からは「歯科医師になれ」というようなことを言われたことはありませんが、親戚にも歯科医師が多い家系で、いずれは僕が継ぐことになるのだろうとは思っていました。でも実際に歯科医師になってみたら、仕事として収入が得られるというだけでなく、患者さんから感謝もされて、すごくやりがいのある職業だなと感じました。自分の子どもに自慢できるような姿を見せたいという気持ちもあります。

どのような患者さんが多いですか?

やはり高齢者が多いですね。祖父の代から通ってくれている患者さんもいらっしゃいます。でも最近はホームページを見て来たという若い患者さんも増えてきました。若い方にとっては、なんとなく都市部の歯科医院のほうが良い治療をしてくれるんじゃないかというイメージがあると思うんです。そういった先入観を払拭して、どういう歯科医院か知ってほしいと思って、ホームページをつくったんです。最近は若者に人気の写真共有SNSにも注目しているんですよ。そういったところから知名度を高めていきたいと思っています。あとは訪問歯科診療の依頼も増えています。それも含め、こういった地域に寄り添った診療を実現するには、医療や介護などの多職種連携が必須です。そのため毎月医師や薬剤師、介護職の方たちとの会合に出席したり、取り組みとしては在宅歯科医療連携室を担当したりと、診療外での活動も行っています。

そういった多職種連携の推進は、必要に迫られてということですか?

河内康之院長 河内歯科医院2

そうですね。僕は卒業後も大学に残って口腔外科を学び、それから総合病院に勤めたんですが、そこでは他科との連携がスムーズにできていました。こちらに戻ってからも、医療や介護の人たちから助言や協力を求められることが意外と多かったんです。それには総合病院での自分の経験が役に立ったのですが、地域全体としてそういった連携体制を整えていく必要があると感じました。もともと知り合いが1人もいない状態で帰ってきたので、人脈づくりの目的もあって、そういった活動に参加するようにしていたんですが、いざ参加してみたら意外と地元の先生が少なくて、いつの間にか主要メンバーになっていたという経緯もあります(笑)。でもやっていて楽しいですし、やりがいがありますね。

食支援を含めたオーラルフレイル対策にも着手

専門分野は口腔外科ですか?

河内康之院長 河内歯科医院3

基本は一般歯科ですが、口腔外科も含めた幅広い診療ができることが強みです。この地域には紹介できるような専門的な医療施設が少ないため、当院内でできるだけ幅広い診療ができるようにしたいと思っていました。それはいずれこちらに戻ることを前提として学生時代から考えていたことです。大学に残って口腔外科を学んだのは、高齢の有病者の診療に役立つだろうと思ったからで、その後勤務した病院も、訪問診療を行っているところを選びました。治療は保険診療が基本です。確かに品質は自費のもののほうが良いと思いますが、例えば、人生の最期を迎えようとしている方にとって、歯のかぶせ物の見た目がきれいだということにどんな意味があるんだろうと思ったら、強く勧める気にはなれません。それよりもどうすれば少しでも長く自分の口で食事を取れるようにするかということが重要だと考えます。今後はそのための食支援にも力を入れていきたいと思っています。

先生が着目されている食支援について教えてください。

高齢になると歯が悪くなるだけでなく嚥下機能も低下してきます。そういった状態をオーラルフレイルと言うのですが、高齢者医療においてこれから重要なキーワードの1つになっていくと思います。僕らの役割として口腔内の環境を整えるだけでなく、どんなものを食べれば栄養を取れるかということも重要です。そういった活動を、新潟県の栄養士会と連携して進めていこうとしています。他県ではすでに実現しているところもあり、歯科医院の中にキッチンスタジオを設けて、栄養士さんが食材の選び方や料理法をレクチャーしているところもあるそうです。歯科医師というと虫歯や歯周病の治療などに目が行きがちですが、そういった食と栄養についても支援していきたいと思っています。

ほかに歯科医院としての特色や、診療におけるポリシーなどはありますか?

河内康之院長 河内歯科医院4

歯科の基本は予防だと考えていて、何か症状がなくても定期的に来ていただける状態が一番良いと思っています。定期的なメンテナンスを通じて、何か問題があればその都度対処するという診療スタイルですね。当院には歯科衛生士が3人常駐していて、ブラッシングの指導や、補助器具の適切な使い方などを指導しています。すでに現在の患者さんの8割くらいは、定期的に来てくれている方です。診療に対するポリシーは特にありませんが、基本的には自然体で診療に臨んでいます。そのほうが自分もストレスを感じないし、楽ですね。格好つけることが苦手なんです(笑)。気をつけているとしたら、患者さんができるだけ不安を感じないようにするということですね。

口腔がんの早期発見にも力を入れたい

口腔がんの認知を広める活動もしているとお聞きしました。

河内康之院長 河内歯科医院5

口腔がんは増えていて、現在でも年間1万人くらい罹患しているといわれます。啓発活動をしている機関もありますが、具体的にどうすれば早期発見ができるかと、行政も含めた話し合いをしているところです。僕自身もある程度の知識と経験はありますが、開業医レベルでどのように対処していけば良いのかを模索しています。口腔がんというのは部位によって症状が違い、なかなか具体的にイメージしにくいんです。例えば初期の歯肉がんは歯周病の症状に近く、舌がんは口内炎に似ていることが多い。本人にはそういった違いがわかりにくいですが、経過を追うことである程度は判断できます。場合によっては組織を採取して大学病院に送り検査することもあります。僕自身口腔がんの方も診てきているので、見る目はあると思っています。やはり一人で悩まず、専門家に診てもらうことが大切ですね。

訪問歯科診療だけでなく患者さんの送迎もされているそうですね。

この辺は路線バスの本数が少ないので、スタッフが運転する自家用車での送迎を始めました。寝たきりの患者さんのような場合は訪問で診療していますが、こういった地域ではその手前の段階でのケアも必要だと実感しました。訪問歯科診療では、管理型といって口腔機能の維持を目的に管理することが中心になりますが、その前段階として通院できるうちにできるだけ治療を済ませておくことも大切だと思っています。そのために通いやすい手段の1つとして考えたのが送迎です。

それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。

河内康之院長 河内歯科医院6

やはり高齢になって通院が難しくなってしまう前に、定期的に歯科医院に通院する習慣をつけ、必要な治療は行っておくようにお願いしたいですね。もう1つは、口腔がんに対する意識をもっと世の中に広めていきたいと思っています。何か気になることがあれば、放っておかずに何でも相談してほしいです。また自分も子どもを持つ親の1人として、子どもの治療というのは本人だけでなく親の目から見てもつらいものです。できるだけ小さいうちから、虫歯を作らないような生活習慣を心がけてほしいと思います。そういったことも含め、当院は地域の皆さんにとってなくてはならない存在として、どんなことでも相談できるような歯科医院でありたいし、またそうなっていかなくてはいけないと思っています。

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