山田 貴雄 院長の独自取材記事
C&Cデンタルオフィス
(川崎市麻生区/新百合ヶ丘駅)
最終更新日:2023/08/10

小田急線新百合ヶ丘駅前の大型ショッピングセンター内にある「C&Cデンタルオフィス」は、虫歯や歯周病など一般的な歯科疾患に対するマイクロスコープを駆使した精密治療に加え、近年は予防歯科、とりわけ生後間もない乳児の時点から虫歯ゼロをめざす取り組みに注力しているクリニックだ。山田貴雄院長はがっしりした体と柔和な笑顔、説明の労を惜しまない姿勢が患者を和ませる。予防への情熱も生半可でなく、少しでも多くの患者が生涯を通じて歯のトラブルと無縁でいられるよう、あらゆる手を尽くす覚悟が見える。そんな山田院長に、長い診療生活の中での歯科医師としての考え方の変化、予防で重点を置いていること、今後の展望などについて語ってもらった。
(取材日2023年7月10日)
治療から虫歯にさせないための予防へ
初めに、こちらのクリニックについて先生からご紹介ください。

新百合ヶ丘駅に隣接するショッピングモールの3階で診療を行っているクリニックです。僕は2005年からここで勤務し、17年に元の医療法人から独立して現在に至っています。たいへん利便性が良く、たくさんの人が行き来する場所にありますが、大きな看板を出してアピールするような環境ではないため、初めはホームページで当クリニックを知って受診される方が多いようです。その分、これからお話しするように、すぐに治療に入らないらしい、とか、クリーニングが多いらしい、とか、診療の特徴についてもあらかじめご理解いただいているように感じますね。
院長ご就任当初から現在までの間に、診療や先生の考え方に何か変化はありましたか?
11年ほど前にマイクロスコープを導入したことですね。まだ勤務医だった頃で、医療法人の経費では購入できなかったから、思いきって自分のお金で買いました。きっかけは、ある先生のもとでマイクロスコープによる拡大下での治療を初めて見て、その精密さに驚かされ、それまでの自分の仕事が全然及ばないと学んだからです。以来、もともと僕がめざしてきた、できる限り精密で、再治療しなくて済むための治療に励みました。ですが、マイクロスコープでしっかり治療ができるようになった一方で、それでも治療できない、残せない歯がどうしても出てきてしまうという課題にも突き当たったんです。
治療のレベルが上がったからこその悩みですね。どうやって解決しようと考えたのですか?

予防に力を入れるということです。虫歯や歯周病の治療はどれだけ頑張っても、結果的に歯を残せない場合があります。長い治療を終えた歯が数年しか持たなくて、結局抜かなければいけなくなってしまうことも、残念ですがないとは言えません。それなら、歯が生えたばかりの子どもの時から予防に努め、乳歯の段階でも、そして永久歯になっても一生虫歯ができなければ、それが一番ではないかという考えを持つようになりました。今までどおり悪くなった歯の治療も行いながら、これからは基本に立ち戻り、予防をもっとしっかりやろう、虫歯を治すだけでなく、虫歯にさせないスタイルを大切にしようと思っています。
子どもが虫歯になりやすい時期を無事乗り越えるために
こちらのクリニックでは、小児からの予防歯科としてどのような取り組みをしているのですか?

小さなお子さんが虫歯になりやすい時期を保護者の方にもご理解いただき、虫歯にさせずに乗り越えるのが目標です。歯は生後半年から1歳ぐらいまでの間に生え始め、2歳半から3歳ぐらいでだいたい全部の乳歯が生えそろいます。この約2年間が一番虫歯になりやすいので、できることなら、歯が生えた時点ですぐに受診してほしいです。3歳までのピークをうまく越えると、次に注意したいのは6歳から8歳まで、つまり6歳臼歯が生え出してからの2年間になります。ここで虫歯にならずに済めば、その先大人になっても虫歯になりにくいと思います。なので、まずは3歳までの歯をしっかり守ること。これを一番のポイントに、早ければ生後半年、ゼロ歳の赤ちゃんから予防のための受診にお応えしています。
子どもの歯を具体的にどうやって守るのですか?
お子さん一人ひとり、虫歯のリスクの潜んでいるところが違うので、診察と保護者の方への聞き取りからそれを把握し、飲食や歯磨きの仕方などで対策を講じていきます。おやつの回数が多いほど虫歯になりやすいですし、仕上げ磨きも大切ですね。先にデンタルフロスを使用し、お子さんに横になってもらいながらだと磨きやすいと思います。仕上げ磨きのタイミングは夜がいいですね。うがいができる年齢になったら、フッ素液でのうがいも虫歯予防になります。フッ素入りの歯磨き粉やジェルを使っているのか、あるいはデンタルフロスまでやっているのかによっても、リスクの程度は変わってきます。したがって、お母さん・お父さんとその辺りをチェックしつつ、今後のケアに生かしてもらうのが第一歩ですね。
噛み合わせがなぜ大切なのか、先生の考えをお聞かせください。

歯並びが虫歯の原因になることもありますし、噛み合わせの状態によっては、顎の関節や筋肉のいろいろな問題に結びつく可能性も出てきます。中でも一番多いのは、亀裂が入った後に虫歯になることです。噛み合わせが良くないために、歯ぎしり・食いしばりの力が強くかかって亀裂に発展します。マイクロスコープを使い出してよくわかったのですが、ほとんどの虫歯には肉眼では見えない微細な亀裂が認められ、そこにばい菌が入り込んで虫歯を引き起こしています。裏を返せば、上下の歯を合わせたときに強い力がかからないような噛み合わせなら、亀裂が発生しにくく、虫歯のリスクも小さいわけです。お子さんの場合、6歳の時に前歯の上下4本の永久歯に生え、重なる段階で、すでに歯並びが悪い状態ですのでアプローチが必要です。将来的にワイヤー矯正が必要になりますが、歯を抜く可能性が少なくなります。
虫歯ゼロの患者が通う予防中心のクリニックでありたい
通常の診療の流れを教えてください。

最初にお伝えしたように、当クリニックでは歯が痛くて来院された患者さんであっても、大抵の場合はすぐに治療を行いません。初診では痛みを抑えるための処置と痛い原因についての所見の説明にとどめ、2回目で検査と歯科衛生士によるクリーニング、3回目でようやく治療に入るのが通常のパターンです。というのも、口の中の環境を整えてからじゃないと、治療したところがすぐまた悪くなってしまうからです。あと、説明の部分で気をつけているのは、一度に伝える情報が多くなり過ぎないようにすること。虫歯を見せに来ている患者さんに、いきなり噛み合わせとか親知らずとか、次の段階の話をし過ぎるとかえって混乱させてしまいます。なので、初めは主訴に関する事柄に焦点を絞り、治療の方針とおおよその通院回数をお伝えして、患者さんが見通しを持って治療に臨めるように心がけています。
今後、どのようなクリニックにしていきたいですか?
ここへ来る患者さん、中でも子どもの時から通ってくださる方たちの8割ぐらいが、虫歯も歯並びなどの問題もない状態で大人になってくれるような歯科医院でありたいと思っています。虫歯や歯周病のある大人の患者さんは今までどおりマイクロスコープでしっかり治療して、お子さんは治療の必要なしにできれば理想ですね。言うほど簡単でないのはわかっていますけれど、もしいつか実現できたら、ほとんどの患者さんは歯科衛生士のチェックが中心で、僕は午前・午後それぞれ2人ぐらいの患者さんをじっくり時間をかけて診療する、そんなイメージを描いています。
読者へのメッセージをお願いします。

子どもに歯が生えたらすぐに歯科医院に連れて行くというような考えは、あまり一般的ではないかもしれません。しかし、治療のためではなく、虫歯をつくらないために受診するということなら、その意義を理解しやすいのではないでしょうか。小さな子どもに虫歯ができると、まず診療室やユニットに慣らすところからトレーニングしないと治療に入れず、通院回数もかさみますし、何より、その先の一生涯を通じて、歯のトラブルで何度も何度も治療に通わなければならなくなるリスクが大きくなります。それに比べ、予防のための通院なら何ヵ月かに一度で済み、トータルの費用も抑えることにつながります。ご自身が虫歯で苦労した経験のあるお母さん・お父さんでしたらなおのこと、大切な子どもに歯のことで嫌な思いをさせないために、なるべく早期に歯科を受診されることをお勧めします。当クリニックも予防に力を入れているので、お近くにお住まいの方はぜひどうぞ。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/71万5000円~