小林 正典 院長、小林 誠子 先生の独自取材記事
小林歯科医院
(各務原市/鵜沼駅)
最終更新日:2024/01/12
各務原市に「小林歯科医院」を開業したのは、1984年7月。小林正典院長は歯科口腔外科、小林誠子先生は小児と矯正を専門に、一般歯科をはじめインプラント治療やホワイトニングなど幅広く対応している。また、岐阜県や各務原市の歯科医師会などで積極的に地域のために活動してきた2人。穏やかで優しい人柄、夫婦仲睦まじい様子に引き込まれ、つい親しげに話しかけてしまう。そんな正典院長、誠子先生から幅広く地域医療への想いを聞くことができた。
(取材日2019年9月18日/更新日2024年1月10日)
歯科医師も患者も、ともに年を重ねて寄り添いたい
こちらに開業した理由を教えてください。
【正典院長】当初は、私が大垣市民病院の歯科口腔外科に、妻が小児歯科専門の歯科医師として豊橋市、一宮市の小児専門の歯科医院に勤務していましたが、もともと私は各務原の出身で、地の利もあるためここで開業したいと思いました。私たちは専門の分野が大人と子どもに分かれており、それぞれ診療に対する考え方に違いもあるため、入り口から診療室は分け、それぞれに特化した診療を提供する体制を敷いています。共通の玄関を入ると、右手が子ども、左手が大人という配置になっていて、小児歯科はだいたい中学生まで。対して、口腔外科は高校生以上というような分け方です。大人と子ども、患者さんの比率は同じぐらいです。
親子でお越しの場合どのように対応されますか?
【誠子先生】同時に予約を取られる親子の患者さんもありますので、その時は私が大人の診察室へ行って親御さんに説明したりします。時間をずらして待っていらっしゃる方もありますし、そのあたりの調整に関しては気軽にご相談いただければと思います。
【正典院長】家族連れの患者さんは多いですよ。最近は退職された方がご夫婦で仲良くいらしたりとか、あるいは、お孫さんを連れてこられたりもします。実際、4世代にわたって受診してくださる患者さんもいるんですよ。39年も診療していると、そういった機会も増えましたね。
患者4世代とは、まさに信頼の証しですね。
【誠子先生】特に子どもにとって歯医者は嫌なイメージもあると思いますが、小児歯科専門の私としては、過去に診た方が大人になり、自分のお子さんを連れてきてくれたりするのはうれしいですし、たいへん名誉なことです。「年を取ったな」とも感じますが(笑)。歯医者が苦手だった患者さんが、「お世話になります」なんて恐縮された様子で子どもを連れてこられることもありますね(笑)。
夫婦であり同志であるから歩めた道のり
それぞれの体制の違いや、二人体制のメリットを教えてください。
【正典院長】子どもは隣の子を見て学びますし、スタッフが全体に目が届くよう診療室はオープンな空間にしています。「自分より小さな子ができるなら」と競争心が働いて、頑張ろうという気持ちになるんですよね。そういう成長の様子も見ながら診療できるのは、彼女の楽しみでもあるようです。大人は、外科処置があったり心電図をつけたりすることもあるので、患者さんからは隣の方が見えず、スタッフからは全体を見渡せるよう設計しています。
【誠子先生】私は最近、お年寄りの暮らす施設などから往診の依頼がありますが、夫がいるので、小児の患者さんが少ない午前の時間に出向くことができます。また、何かあった時に常に相談できる相手がいるのは精神的にも心強いですね。
得意な治療をお聞かせください。
【正典院長】虫歯や歯周病をはじめ歯科全般に対応しますが、口腔外科出身ですので、親知らずの抜歯や顔面の外傷の治療、悪性腫瘍の手術も行ってきました。周囲の診療所では対応が難しい症例を受けることもあります。顔がパンパンに腫れてしまうほど炎症のある方がお越しになったこともありました。そういうケースの場合は、医科のように血液や尿検査をした後、点滴もします。また、インプラント治療や審美面に配慮した診療も行っていますが、顕微鏡も用いることで治療の精度にもこだわっています。インプラント治療は長期に骨と一体化することについて疑問視されていた時代から始め30年以上になりますが、最近では、CTで骨の状態を確認して、立体的なデータから角度や距離をきちっと計測し、そのとおりにインプラント体を入れるという手法ができるなど、どんどん技術が進歩しています。歯科医療が大きく変化したという意味で、面白い時代を体験できました。
誠子先生はいかがですか?
【誠子先生】最近は子どもの虫歯は減っていますが、顎の小さい子が増え、それに伴い歯並びの矯正を必要とする子が増えています。矯正は小さい時からやる方法もあれば、成人してからの方法もあります。どのタイミングで患者さんに出会っても、その方にベストな方法が提示できたらいいなと思い、いろんな方法を勉強してきました。歯並びの矯正タイミングは、本当にケースバイケース、十人十色です。例えば、すごく下顎あるいは上顎のほうが大きいなど骨格が違う場合は、早く始めたほうが良いですが、歯があちこち向いているのを治したいという場合は生えそろってからでも十分だと思います。慌てることもなければ今更と諦めることもないので、気になったら悩まず、いつでも気軽に来てほしいですね。
未来を思い描きながら地域治療にも環境整備にも貢献
地域の歯科医師会でも積極的に活動されているようですね。
【正典院長】岐阜県歯科医師会では、広報や公衆衛生などを担当しました。その延長での活動は今も行っています。ひと段落して少し落ち着いてきましたので、今まで以上に診療を充実させたり、新しい分野の治療にも取り組むために国内外の勉強会に参加したいですね。最近は、血液を採取して組織の再生をめざす治療法を勉強しています。それが将来、インプラント治療や外科的手術の後処理などに応用できると思っています。
【誠子先生】私は各務原市の歯科医師会で活動してきました。市の歯科医師会には「歯ぴねす」という訪問歯科診療や口腔ケアを行う連携事業がありますが、現状では高齢者施設への往診の行き手がまだ少ないので、私が依頼を受けることが増えています。
歯科医師会は地域医療に対しても重要な役割があるのですね。
【正典院長】各務原市は、医師会と歯科医師会と薬剤師会、いわゆる3師会の仲が非常にいいんですよ。コミュニケーションが円滑に取れているので、何かあった時「お願いしますね」と言える体制が整っていると思います。周辺病院との連携も良く、かつては病院の歯科は採算が合わないという理由で縮小する方向でしたが、最近は歯科が口の中のケアをすることが全身の健康にも良い影響を与え、病院の離床率、入院日数を減らせることがわかったんです。そこで入院中の患者さんの口の中をケアするため歯科が重要視されるようになってきて、病院の中の歯科や歯科口腔外科が再開設される現象も起きています。いろんな病院と協力体制のもと治療ができるので、いい世の中になってきたと感じますね。
今後の展望を教えてください。
【誠子先生】高齢者施設に訪問できる歯科衛生士の育成です。施設への往診を引き受けてくれる先生があれば、衛生士も同行できるようにして、市全体で力を発揮できるよう人材を育てていきたいですね。衛生士は結婚や出産を機に引退される方も多いですが、午前中だけ施設の口腔ケアに行くなどできれば、資格を持った方々が活躍できる場も増えるはずです。社会が求めていることでもありますし、人材の掘り起こしや勤務形態の改革に努めたいですね。
【正典院長】歯科衛生士が施設への訪問、在宅で診療する際には、朝から晩まで働くわけではなく時間帯を決めて働かれるなど、いろんな勤務形態があります。ご家庭のこともしながら、無理なく働ける環境が整いつつありますね。歯科医師だけでなく歯科衛生士が一緒に訪問したり、他科の先生と連携するなど、さまざまなつながりの中で医療を進めていく必要がありますね。
自由診療費用の目安
自由診療とはCT検査/1万2000円~
インプラント治療/1本16万円~
ホワイトニング/5万円~
一次矯正/3万円~ 二次・全顎矯正/44万円~