全国のドクター9,203人の想いを取材
クリニック・病院 158,615件の情報を掲載(2024年5月06日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 名古屋市東区
  4. 茶屋ヶ坂駅
  5. なかむら歯科
  6. 中村 美保 院長

中村 美保 院長の独自取材記事

なかむら歯科

(名古屋市東区/茶屋ヶ坂駅)

最終更新日:2021/10/12

中村美保院長 なかむら歯科 main

地下鉄茶屋ヶ坂駅と砂田橋駅の間、大幸東団地1階にある「なかむら歯科」は、団地住人はもちろん、地域の人に長年親しまれている歯科医院。院長の中村美保先生は、診療の傍ら、名古屋市東区歯科医師会での役員活動や、母校である愛知学院大学歯学部の同窓会でも活躍するリーダシップあふれるママドクター。「妊婦のうちにきちんと口腔ケアを行い、出産を迎えてほしい」と、母となる女性にも心を配る。院長、スタッフが患者をやさしく包み、家族愛のようなぬくもりを感じる歯医者さんだった。

(取材日2017年4月28日)

女性ならではの温かい目で地域の人々の診療にあたる

ご開業20年を迎えるとのことですが、開業のきっかけは何でしたか?

中村美保院長 なかむら歯科1

私は歯学部を卒業後、大学病院の歯科口腔外科に勤務していたのですが、ちょうど任期が終わる時期に、この大幸東団地にあった歯科医院を引き継がないかというお話をいただいたんです。私は勤務医時代に娘を出産し、当時は両親に子育てを手伝ってもらえる環境で、子どもの将来を考えると歯科医師として安定したものを築いておきたいと思っていたので、その時に開業を決意しました。

歯科口腔外科での経験はどのように生きていますか?

まず親知らずなど抜歯の経験は一般の歯科医師よりも多いと思いますので、自信がありますね。まさに叩き込まれたという感じで体に染みついているので(笑)。また、全身管理についても外科ならではの知識がありますので、特に往診でご高齢の方を診る際には経験を生かしています。

この地域の印象についてお聞きします。

中村美保院長 なかむら歯科2

東区は伝統と文化の街といったイメージがあると思いますが、砂田橋の辺りは少し違って、開業当時は新しい住居も多くて親しみがありました。さらにこの団地の溶け込みやすい雰囲気は、私にとても合っていると感じましたね。ここで働けることが楽しくて、地域に根差した医療を行っていきたいという想いは今も持ち続けています。現在、患者さまの約6割は団地の住人の方です。開業から20年がたちますから、当時は小さかったお子さんも大きくなって子どもを連れて来てくれたり、また高齢になられて来院が難しくなった患者さまには往診に行ったりと、長いお付き合いの方が大勢みえます。

地域の方と深くつながっていらっしゃるのですね。

隣りの保育園には園医として訪問しています。お子さんが園内で転んで口や顔を打った場合などにも、保育士さんがすぐに連れて来てくださいますね。たとえそのときに何もなさそうでも、実は歯の神経まで支障があり、後になって歯が変色するといったケースもあります。まず受診に来てくだされば、保育士さんも保護者の方も安心して経過を観察できると思います。また、団地に住んでいて歩行に不安があるご高齢の方も、負担が少なくお越しいただけます。身近にある歯科医院として、長年お住まいの方にも、新たにこの地域にお住まいになった方にもお気軽にご活用いただけるとうれしいです。

診療を楽しく思えるよう、こまやかな配慮を大切に

診療時に大切にされていることは何でしょう。

中村美保院長 なかむら歯科3

当院には幅広い年齢の患者さまがいらっしゃいますが、どの方に対しても、痛みやつらさを忘れ、治療することが楽しみだと感じていただけるような対応を心がけています。スタッフとの会話や笑顔で安心していただいたり、待合室にはアロマを設置して和んでいただけるようにしています。院長の私をはじめ、ほかの医師やスタッフ全員が女性なので、まるでお母さんやお姉さんのように感じていただけるような、やわらかくこまやかな気配りを大切にしています。

小児患者を診るうえで心がけていることは?

歯医者を怖がるお子さんには、まずは診療台に座れることをゴールにして、医院に来るだけ、歯を磨くだけ、と少しずつステップアップしていき、無理強いはしません。そうしていると、子どもって、ある日ふとできるようになることもあって。時間がかかってもいいから、「上手にできたね」と頭を撫でてあげたり、スタッフも声をかけてあげたりしています。長いお付き合いのなかで成長を見れたりすることも私たちの喜びですね。

嚥下障害への取り組みについて教えてください。

中村美保院長 なかむら歯科4

高齢者の方に積極的にお勧めしているのが「健口(けんこう)トレーニング」というものです。これは、食べ物が飲み込みにくくなった、食事の際にむせることが増えたという症状の方に嚥下機能のチェックを行い、いつまでも自分の口で食事ができるようにするトレーニングです。まず、嚥下障害のスクリーニングテストを行いABCの3つのランクに分け、目標を決めて口の運動トレーニングを行っていきます。当院では平均年齢78.9歳の方の8割以上の方に嚥下機能の改善が見られました。高齢者の方が長く健康でいられるように、いつまでも食事をする楽しみを持ち続けられるようにとの願いから始めた取り組みです。

勧めたい検査などはありますか?

名古屋市では、妊娠中の妊婦歯科検査、子どもが1歳になる前日までに受ける産婦歯科検査の合わせて2回、歯科検査を無料で受けられます。子どもの虫歯の原因となる虫歯菌は、大人から移ります。ですから妊婦のうちに虫歯や歯周病の治療を行い、口腔ケアをしてから出産を迎えてほしいですね。また、妊娠中にはレントゲン検査ができませんから、出産後の検査で詳しくチェックして、産後の忙しいお母さんにも健康な歯を保ってほしいと思います。歯科医師であり、母親である立場から、妊産婦検査はぜひ積極的に受けてほしいと願っています。

女性目線で、歯科医師の将来を考える

先生の娘さんも歯科医師の道を選ばれたそうですね。

中村美保院長 なかむら歯科5

歯周病治療を専門に大学病院で学び、週2日はここを手伝ってくれています。娘が小さな頃、私は仕事にまい進していましたが、娘が大学の歯学部進学を決めて同じ道を進み始めた頃からは、特に親子関係も深まってきたように感じています。私は歯科医師になったことで、多くの方の健康に携わることができました。それをとても幸せに思っていて、娘が歯科医師となったことで、同じように幸せを感じる人生を過ごせるのではないだろうかと思うと、安心した気持ちになります。

スタッフのために考えていることはどのようなことですか?

私は、人材は宝だと思っています。ここに勤務に来てくれていることに、いつも感謝しています。そしてせっかく来てくれている大事なスタッフには、単に仕事をしてもらうというだけでなく、人として成長できる価値を見つけてもらいたいとも思っています。例えば接遇やマナーを学ぶことでも、人として成長することができますよね。そのために講習会や歯科医師会が開催する研修に参加してもらっています。そうした背景もあって、患者さまから「いいスタッフさんがそろったね」と言っていただけると、とてもうれしいですね。また、今は娘とは別でもうひとり女医さんに来てもらっていて、その先生もママさんです。歯内療法という歯の根の治療が得意な頼もしい先生で、来ていただけて本当によかったと感じています。

女性歯科医師のための支援活動も行われていますね。

私が開業した頃は、男女共同参画社会の意識や子育て支援なども弱く、女性が仕事をしていくことに不便を感じていました。現在は、2020年までに指導的地位の女性の割合を30%にするという国の目標が掲げられていますよね。そんな中、歯科医師の分野では、女性医師は増えていても開業する人は少なく、やはり結婚や出産・育児を控える女性にとってはまだまだハードルが高いのです。私は愛知学院大学歯学部同窓会の女性企画委員会で委員長をしていて、女性がライフイベントの中で資格を生かして働けるよう、緊急派遣医の拡大や、先輩後輩といった上下のネットワークの構築に努め、若い女性の歯科医師を応援する活動をしています。

先生にとって歯科医師の仕事とは?

中村美保院長 なかむら歯科6

歯科医師は、口腔ケアを行うことに終始するのではなく、職業を通して社会貢献していく存在であるべきだと考えています。歯科医師会に属し、医師会や薬剤師会のような他職種と連携をとって組織化することは、将来的に地域に役立つ大きな力になります。また、高齢者にとっての励みである8020運動の表彰や、子どもたちのための学校検診なども、歯科医師会に所属している歯科医院にしか行えません。これも立派な社会貢献活動ですよね。歯科医師が歯科医師会会員として、専門的な技術による社会貢献ができる存在となるように、私も、日々の診療はもちろん、一人の歯科医師としてもよりよい社会づくりに貢献できるよう取り組んでいきます。

Access