吉田 典弘 院長の独自取材記事
ナゴヤクリニック
(名古屋市中村区/名鉄名古屋駅)
最終更新日:2026/08/05
名古屋駅から徒歩5分のビル4・5階に「ナゴヤクリニック」はある。1974年の開業以来、看板を掲げていないにもかかわらず患者が絶えないのは、「歯の永久的な保存」を追求する診療姿勢への深い信頼の証だろう。2025年5月に父から同院を継いだ吉田典弘(みちひろ)院長は、愛知学院大学歯学部を卒業後、埼玉の歯科専門病院で9年強にわたり研鑽を積んできた。現在は副院長を務める父、歯科衛生士の娘と妻の親子3世代で診療にあたり、1回の治療に最低でも1時間以上を費やすという丁寧なスタイルを貫いている。愛知県外から定期検診に通う患者もいるそうだ。「自分の家族だと思って患者さんを診ています」と穏やかに語る吉田院長に、その信念と歩みを聞いた。
(取材日2026年6月26日)
看板を出さずに地域に根差し、50年以上の歴史を紡ぐ
まずはクリニックの成り立ちについてお聞かせください。

祖父から受け継いだこのビルで、1974年に父が歯科を開業しました。以来、半世紀にわたり、「歯の永久的な保存」を理念に掲げて診療を続けています。父はかつて埼玉にある歯科専門病院の院長を深く敬い、名古屋から毎週通って、月に1度の勉強会にも欠かさず参加して学びを重ねてきました。その治療哲学を当院ならではの形にアレンジしながら、今の診療スタイルの土台を築き上げてきたのです。私は、2000年頃から父とともに診療を始め、2025年5月に代替わりして院長に就任しました。現在は副院長となった父、歯科衛生士の娘と、親子3世代で診療にあたっています。父は今も週4日在院し、開業当初からの患者さんが来院された時、診療に顔を出しています。
先生ご自身が歯科医師を志されたきっかけを教えてください。
高校時代は学校の先生や建築デザインの道にも興味がありましたが、歯科医師である父の背中を見ているうちに、自然とこの道を志すようになっていきました。1990年に愛知学院大学歯学部を卒業し、父が師事した埼玉の歯科専門病院に職員として在籍しながら、9年強にわたり研鑽を積みました。一つの診療科の修得に3年ほどかかり、院長の許可が出て初めて次の科へ進めるという環境でした。歯科口腔外科を含むすべての科を経験する中で、「歯科は一科」、つまり口腔全体を総合的に診てこそ適切な診断ができるという考えが固まりました。厳しい指導を受けましたが、あの時代がなければ今の自分はなかったと感じます。矯正歯科や歯科口腔外科、小児歯科まで一通り対応できるのは、この経験があってこそですね。
クリニックには、どのような患者さんが通われていますか。

当院は看板を出していないため、通りすがりの方がいらっしゃることはまずありません。来院のきっかけは患者さん同士の紹介やクチコミがほとんどです。ありがたいことに、一度通い始めると長くお付き合いを続けてくださる方が多く、名古屋から九州に転勤されたご家族が定期検診のために通い続けてくださったり、海外赴任中の方が年に一度の帰国に合わせて来てくださったりもします。お子さんの矯正治療をきっかけにご両親も一緒に通うようになるなど、ご家族単位で来院される方が非常に多いのも当院の特徴です。周辺はオフィス街ですので、ホームページを見て来られた会社勤めの方も少なくありませんね。
「歯は一生残せる」を合言葉に、生活まで切り込む治療
治療にかける思いをお聞かせください。

父の代から一貫して掲げているのが、「歯は永久的に保存できる」という考え方です。年齢とともに歯を失うのは「老化」ではなく、虫歯や歯周病という治療できる病気が原因であることがほとんどです。だからこそ、一度治療した歯は一生もたせるつもりで、一つ一つの工程に時間と手間をかけています。1回の来院で最低でも1時間以上、長い場合には半日から1日がかりになることもあります。例えばブリッジを入れる際は、技工室に常駐する歯科技工士がパーツを個別に作り、口の中で仮止めした後にその場で溶接して直後に装着します。通常は型採りから装着まで日数が空くため、その間にわずかに歯が動いてしまう可能性がありますが、1日で完結させることでそのリスクを防げますし、通院の回数も減らせます。患者さんごとに必要な治療が異なるため、患者さんに合わせて調整ができるよう、予約もあえて電話で受けています。
歯を一生残す上で、定期検診にはどのような役割がありますか。
定期検診の最大の役割は、自覚するのが難しい歯や歯周組織の異常を早期に発見することです。検診の結果、異常が見つからないことが理想的ですね。歯に痛みを感じた段階では、すでに虫歯が神経の近くまで進行しているケースが少なくありません。一度神経を失った歯は枯れ木のような状態になり、内部で脱水が進んで根が割れやすくなります。強風で倒れた桜の大木の断面がスカスカだったという話がありましたが、まさにそういった状態です。だからこそ当院では、そうなる前に見つけて、時間をかけてでも神経を残すための治療を追求しています。歯周病も、歯を支える骨が自覚症状のないまま少しずつ失われる病気ですが、きちんと対処すれば進行を食い止めることが期待できます。
患者さんと向き合う上で心がけていることを教えてください。

大切にしているのは患者さん一人ひとりをよく理解することですね。なぜ定期検診が必要なのか、何をするのかといった説明は、まず私自身が直接お伝えしています。ブラッシングは1回あたり20〜30分ほどかけていただくようお伝えしていますので、お食事の時間やお仕事のことなど、生活面まで踏み込んでお聞きすることも少なくありません。患者さんのお口の状態が頭に入っていますので、変化があれば原因を患者さんと一緒に探ります。患者さんからすると毎回試験を受けに来ているような気持ちかもしれませんね。こうした姿勢の根底には、父から受け継いだ「誠意を持って、表裏なく、家族だと思って患者さんに接する」という信念があります。言葉で教わったというより、父の背中を見て自然と身についたものです。
定期検診を続け、いつまでも自分の歯で噛める人生に
院内の温かな雰囲気が印象的ですが、スタッフについてお聞かせください。

2026年6月現在、歯科医師2人を含む全9人の体制で、受付、歯科衛生士、歯科技工士、事務といった各職種を専任で配置しています。毎朝の朝礼では、前日の出来事や患者さんの話題をスタッフ全員で共有し、一人ひとりへの対応にずれが生じないようにしています。スタッフにはすてきなご縁でつながった方もいまして。お母さんが独身の頃から当院に患者として通い、ご本人も幼い頃から予防で通っていた方がいるんです。医療事務の学校に進んだ際に就職先を「ここにする」と決めていたそうで、声をかけたら二つ返事で来てくれました。私の娘も自分から「歯科衛生士になりたい」と言ってくれました。自然と歯科医療の道に進んでくれたことが、何よりうれしかったですね。
これから先、クリニックをどのように続けていきたいとお考えですか。
当院へ通ってくださっている患者さんへの責任がありますので、現役で診療できるうちは全力で続けていくつもりです。最近は患者さんから「先生、お体は大丈夫ですか。先生がいなくなったら、どこに通えばいいか困ってしまいます」と心配の声をかけていただくことも増えました。そう言っていただけるのはとてもありがたいことですし、簡単にはやめられないという思いがあります。だからこそ、健康管理には日頃から気を配っていますね。名古屋駅の周辺には飲食店がたくさんありますが、実は私自身はほとんど外食をしないんです。理由は単純で、家族の手料理が一番おいしいから。毎日しっかり食べて体を整えながら、信頼してくれるスタッフとともに、これからも走り続けていきたいと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

歯は年齢とともに失われるものだと思われやすいですが、実はそうではありません。歯を失う原因の大半は虫歯と歯周病であり、どちらもきちんと治療ができる病気です。適切に治療し、定期的に検診を受けていれば、ご自身の歯を一生残すことも十分にめざせるのです。自分の歯で食べる幸せは、何ものにも代えがたいと私は考えています。一人でも多くの方にこの事実を知っていただきたいのです。ご家族で一緒に通っていただくと、日々のケアの大切さや歯を守るための習慣を家庭の中で自然と共有できるようになります。「歯は一生残せるもの」、この言葉をどうか心の片隅に置いていただけたらうれしく思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/10万円~、成人矯正/80万円~、部分矯正/50万円~(※矯正装置、矯正期間により金額が異なります)

