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坂井 謙介 院長の独自取材記事

坂井歯科医院

(名古屋市昭和区/いりなか駅)

最終更新日:2020/04/20

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いりなか駅から徒歩3分ほど、1本入った通りに、白い3階建ての「坂井歯科医院」がある。祖父、父が歯科医師という家で育った坂井謙介院長が、父の理念、地域への思いを形にした、2020年完成の新しいクリニックだ。子どもも高齢者も障害者も、誰もが来やすい場となるように、随所に優しい気配りを施した設計となっている。多数の歯科医師とスタッフが在籍し、「ゆりかごから墓場まで」をモットーに、生まれる前から亡くなるまで患者に寄り添う歯科医療をめざしている。「地域に開かれたクリニックとして貢献を続けていきたい」と穏やかに、しかし熱く語る坂井院長。生まれ育った町に対する、あふれる思いが伝わってきた。
(取材日2020年4月3日)

優しさが満ちた、こだわりの和の空間を実現

こちらは50年ほどの歴史があるそうですね。

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はい。祖父は一宮市で開業し、早期からレントゲン撮影装置を導入した先駆的な歯科医師だったと聞いています。父も歯科医師となり、いりなかで開業、私は後を継いで2008年に院長に就任しました。患者さんが増え、建物が老朽化したこともあり、2020年3月に現在地に新築したわけです。1階は駐車場で身障者用のスペースも含めて10台分あり、広いホールからエレベーターで2階の診療室まで上がっていただけます。3階には定期的に勉強会や研修を行うスペースや、診療日以外に地域の方に開放するレンタルルーム「いりラボ」をつくりました。ホームシアターの設備のほかキッチンもあります。1階入り口脇に自動販売機を置いたのは、災害時に皆さんに利用していただけると考えたから。中身は健康飲料水や栄養補助食品にしてあります。

待合室は広く、優しい色遣いで落ち着きますね。

和紙のような素材や木を多用して、和の空間をめざしました。ソファーやロゴマーク、案内の文字には、薄藍(うすあい)、勿忘草色(わすれなぐさいろ)、桃色、焦茶と日本の伝統色を使っています。自分の家の居間がくつろげる場所であるように、ここも居間をイメージしたんです。一番のこだわりは、前の医院のときからある、たくさんの漫画です。私が漫画好きということと、町から小さな漫画喫茶がなくなったので商店街の長として、その役割を持たせようと思ったんですよ(笑)。漫画は子どもの教育に良いものからお年寄りになじみのあるものまでさまざまです。将来、医療の道へ進む子が出てくるといいなと考えて医療系漫画も多いです。歯科医院ですが、ここで少しでも楽しい気持ちになってもらえれば。DVDだと続きが見られませんが、漫画だと来院のたびに続きが読めますしね(笑)。

先生のご経歴について教えていただけますか?

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父の背中を見て育ちましたので、歯科医師になったのはその影響が大きいです。加えて、テレビで口腔外科の先生が口唇口蓋裂の治療のため海外に赴くという番組を観たこともきっかけでしょうか。歯科医師にはこんな一面もあるんだと衝撃を受け、大学院では口腔外科に入局、その後、愛知県がんセンター中央病院や名古屋市総合リハビリテ―ションセンターで勤務し、口内だけでなく全身管理の重要性や最期を迎える患者さんの口腔ケアについても多くを学ばせていただきました。

「ゆりかごから墓場まで」をモットーに診療にあたる

診療理念について教えてください。

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父は、80歳で20本の歯を残すことをめざす「8020運動」の立ち上げに関わった歯科医師のうちの1人なんです。私が小さい頃は、運動を広めるため全国を飛び回っていましたね。父の思いを継いで、患者さんの歯を生涯守っていくことが当院の理念です。クリニックの新築を機に改めて3つの柱をスタッフに伝えました。1つ目に、思いやりです。クリニックは大きくなりましたが、一人ひとりの患者さんに寄り添う気持ちを忘れてほしくありません。2つ目に、考えること。どのように患者さんの気持ちをくみ取るか、協力して仕事をするにはどうしたらよいか、常に考えて行動してほしい。3つ目に、知識を知恵に、ということです。皆、勉強熱心なのですが、学んだ知識を患者さんに還元するには、それを知恵として実践していかなくてはなりません。私自身、この3つを心がけていきたいと思います。

こちらには歯科医師が10人いらっしゃるそうですが、そのメリットとは?

患者さんが歯科医師を選べることがまずメリットでしょう。女性が7人、子育て世代もいますので、お母さん方は話しやすいようです。また、小児歯科、口腔外科、歯周病、歯科放射線科などおのおのが専門分野を持っていますので、患者さんの情報を共有し多方面から治療法を話し合うことができます。院内でセカンドオピニオンを聞けるというイメージですね。ただ、すべてを当院で抱え込むのではなく、より専門的な治療が必要な場合は近隣の歯科医院へご紹介しています。そこで専門的な治療が終わったら当院で引き続き診ていくという形です。「かかりつけ」として患者さんに長く寄り添うとともに、必要なときはきちんと専門医療機関へ送ることも大事だと思っています。

長く診ていただける体制ができているのですね。

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当院では「ゆりかごから墓場まで」をモットーに、一生、患者さんのお口の健康を支えていくことをめざしています。生まれる前から亡くなるまで診る、ということですね。例えば、妊婦さんや赤ちゃんのお母さんを対象にお口の成長や離乳食についてお話をする会を開いています。そこでは子育て経験のある林副院長が参加し、女性ならではの視点での啓発もしています。そしてお子さんの予防、成長に合わせてのメンテナンスを継続し、高齢になって通院ができなくなれば訪問します。ときには、亡くなってからお口をきれいにしたり、入れ歯をつけて差し上げたりすることもあります。まさに一生のお付き合いをさせていただいているのです。

人、職業、地域の和を大切に

こちらでは訪問診療にも力を入れておられるのですか?

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はい。たとえ通えなくなっても、自分が担当する患者さんは引き続き診て差し上げたいと思っています。父も行っていたのですが新クリニックでは準備室をつくり体制をさらに整えました。訪問診療では、お口のケアや治療、また口から飲み込む機能が衰えた嚥下機能障害の方が多いので、そのリハビリテーションも行います。訪問診療は、言語聴覚士や理学療法士、作業療法士、栄養士などさまざまな職種の方たちと協力して取り組みます。ご家族とのコミュニケーションも大切になりますね。治療の内容や費用についてもよく話し合って深いお付き合いになりますので、患者さんが亡くなったときには心に寄り添うようなご家族のグリーフケアも心がけています。

障害がある方も多く来られているそうですね。

当院には障害がある方が多く来られています。そのため、受付は立ったままでも、車いすのままでもできるようにカウンターに段差をつけて高さを替えています。診療のチェアも障害がある方のための特殊なものが2台あります。また、トイレはどなたでも使いやすいユニバーサルデザインで、子ども用の椅子、おむつ交換台も備えています。さらにこれは珍しいと思うのですが、待合室には洗面台のついた個室待合室があります。障害がある方はもちろん、子どもの泣き声を気にされるときはご家族そろって入っていただけます。診療は、そのまま隣の個室ユニットに移動するだけです。お子さんに障害があると、お母さんは一人ですべてを抱え込みがちなのですが、お気軽に相談していただければと思います。訪問診療にも対応しています。

改めて新しいクリニックや今後についてお聞かせください。

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父が長年、地域に根差してきたおかげで、私はその思いを新クリニックとして形にすることができました。ロゴマークの3つの形は、「人の和」「多職種の和」「地域の和」を表しており、それらが絡まり合ってみんなの幸せをつくりあげるのだと思っています。3つの笑ったお口の形ともいえますね。また、院内のあちこちに描かれている3匹のカメは、近くの隼人池(はやといけ)にいる固有種といわれているカメをモデルにしたもの。多様な生物と関わり合って生きていることが当院の考え方に通じると思い、イラストに取り入れました。3世代続いている当院が、世代を越えて患者さんに寄り添っていくという意味も込めています。現在私は、歯科医師はじめ歯科衛生士、言語聴覚士、栄養士、看護師の方々とともに学ぶ研究会に複数参加しています。今後も勉強を続け、生涯、自分の歯で食事を楽しめる人が増えていくように、さらに地域貢献していきたいと思っています。

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