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坂井 謙介 院長の独自取材記事

坂井歯科医院

(名古屋市昭和区/いりなか駅)

最終更新日:2019/08/28

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いりなか駅2番出口から徒歩3分ほど。通りに面したビルの2階にある「坂井歯科医院」は、今年で開業35周年を迎えた歴史あるクリニックだ。院内は2008年に全面改装し、清潔感のある空間が広がっている。院長の坂井謙介先生は、長崎大学歯学部を卒業後、名古屋大学医学部口腔外科や愛知県がんセンター中央病院、名古屋市総合リハビリテ―ションセンターにて経験を積んだ。同院では、「ゆりかごから墓場まで」をモットーに、幅広い年齢層の患者に質の高い歯科医療を提供することをめざす。「訪問診療にも力を入れています」と語る坂井先生。特に障がいのある方の在宅診療に尽力している。日々精力的に活動する坂井先生に、クリニックの歴史や歯科医師をめざしたきっかけ、診療の際の心がけなど幅広く聞いた。(取材日2016年7月22日)

口腔外科や口腔ケアを中心にさまざまな経験を積む

こちらはとても歴史のあるクリニックだそうですね。

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父の代からのクリニックなんですが、祖父も少し離れた一宮市で歯科医師をしていました。いち早くレントゲン撮影装置を導入した先駆的な歯科医師だったと聞いています。その祖父の影響で父も歯科医師になり、35年前にこの場所で開業しました。80歳で20本の歯を残すことをめざす“8020運動”について聞いたことがあるかもしれませんが、実は父はその取り組みの立ち上げに関わったメンバーの一人なんです。歯を残すために何かキャッチフレーズをつくって運動をしようということになり、愛知学院大学の公衆衛生の先生と一緒に始めました。その後、愛知県歯科医師会や日本歯科医師会を通して全国展開していったんです。僕が小さい頃、父は“8020運動”を広めるため、全国各地を飛び回っていましたね。

先生が歯科医師をめざしたきっかけについて教えていただけますか?

実は建築家になりたいなとも思っていたんです。建築家か歯科医師のどちらになろうかと迷っていた時、テレビで歯科医師のドキュメンタリー番組を見る機会がありました。愛知学院大学の口腔外科の教授が、口唇口蓋裂の治療のため海外に赴くという内容だったと思います。それを見て「歯科医師にはこんな一面もあるんだ!」と。僕がイメージしていた普通の歯医者さんとは違った世界もあることに気づかされたんです。今思えば、その番組を見たことが歯科医師をめざす一つのきっかけになったのではないかと思います。もちろん、幼い頃から歯科医師の父の背中を見て育ってきましたので、その影響が大きいことは言うまでもありません。

先生のこれまでのご経歴についてもお聞かせください。

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長崎大学歯学部を卒業後、もともと外科に関心がありましたので、名古屋大学医学部口腔外科に入りました。歯科と医科両方の特徴を併せ持った口腔外科の分野で学び、全身的な問題にも対応できるようにしたいと思ったからです。また、愛知県がんセンター中央病院や名古屋市総合リハビリテ―ションセンターでも勤務しました。がんセンターで高いレベルの研究に触れ、第一線で活躍する医師たちとともに働いたことで、見方が広がりましたね。当時はがん患者さんの口のケアが不十分な状態だったので、静岡県のがんセンターの先生のもとを訪ねて教えていただきながら、がん患者さんの口腔ケアに取り組みました。ですから、このクリニックを継ぐまでに口腔外科や口腔ケアを中心にいろいろな分野で経験を積むことができました。

「ゆりかごから墓場まで」をモットーに診療にあたる

開業医になられてからは、どんなことを大切にされていますか?

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僕の思いだけで診療したり、患者さんの思いだけに応えるのというのではなく、バランスをとるよう努めています。診療においては、医療的な一つの診断や治療方針、スタッフの思い、地域の思い、患者さんの思いなどが複雑に絡み合っています。そうした中で、「どんな選択をすれば最終的に皆がハッピーになれるのか?」ということをバランスをとってよく考えるようにしていますね。とはいえ、ここを継いで以来、患者さんに教えられ元気づけられることも多いんですよ。父が地域に根差して長年やってきたおかげで、今でも、僕がベビーカーに乗っていた姿を見たことがあるという昔ながらの患者さんがたくさん来てくださいます。本当にうれしくて、ここで続ける価値があるんだとつくづく感じますね。 

クリニックには、どんな年齢層の患者さんがいらっしゃっていますか?

この辺りは落ち着いた住宅街なので、ご高齢の方も増えてきていますが、文教地区でもあるので、若い家族や学生さんも多くいます。また、愛知県外から単身赴任で来ている方も多いです。そのように患者さんの年齢層も幅広いので、歯科全般を幅広く診るよう努めていますし、ここで行っていないインプラントや矯正については、専門医を紹介しています。当院では、「ゆりかごから墓場まで」をモットーに、生涯を通して患者さんを診ていくことをめざしているんです。勤務医でもある僕の妹は小児歯科学会認定の小児歯科専門医を取得しており、子育て経験もありますので、小さなお子さんや妊婦さんから診療することができます。ですから、小児から高齢の方まで、かかりつけ医としてきちんと診ていける体制があるんです。

スタッフ教育にも力を入れているようですね。

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スタッフ全員に、基本的なことをしっかりと行うようにと伝えています。難しいことをやるというより、学んできた教科書通りのことを高いレベルで行うことが大切だと思っているからです。難しいことや新しいことをやれば注目されるかもしれませんが、しっかりとした基礎がなければ質の高い医療は提供できません。それで、スタッフ全員が高い意識を持てるよう、定期的に研修や勉強会を行うようにしています。現在、1~2ヵ月に1回ぐらいは勉強会を開き、また、学会に参加して発表する機会もつくるようにしています。勉強するだけでなく、それをアウトプットすることも大切だと思うからです。スタッフもみんな勉強熱心なので、院内はとても活気がありますよ。

さまざまな職種と連携しつつ、訪問診療に尽力する

訪問診療にも力を入れているとお聞きしました。

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高齢者に加えて、障がい児の訪問診療にも力を入れています。父の時代から、中央療育センターの協力医として、障がい児を診ていた関係で、施設のスタッフさんや障がいのある子たちが来院されることも多いんです。また、障がい児の在宅診療を行う体制も整っています。例えば、重度の身体障害がある子を当院まで連れてくるとしたら、バギーに乗せて、それから自動車に移乗して、また降ろして、と半日ぐらいかかるかもしれません。でも、ご自宅に伺って診療すれば、30分から1時間で済みます。障がい児の場合、制度がとても複雑なため、お母さん一人で最初から最後まで抱え込んでしまうことが多くなりがちです。一人で悩まずに、まずは気軽に相談していただきたいですね。

訪問診療では、他の職種の方との連携も欠かせないようですね。

訪問診療では、飲み込むことに障がいがある嚥下障害の患者さんをよく診療します。嚥下障害の患者さんの中には、口から物を食べられなくなり、胃に穴を開けてそこから栄養を投与する胃ろうをつけた状態になっている方が多くおられます。しかし、そうした患者さんたちは皆、なんとかして口から食べられるようになりたいという願いを抱いておられます。そのため、当院の訪問診療では、口から飲み込む能力を取り戻すための摂食嚥下リハビリテーションにも力を入れています。それを歯科医師だけで行うことは難しいため、言語聴覚士や理学療法士、作業療法士、栄養士など、さまざまな職種の方たちと一緒にチームを組んで行っているんです。

最後に、クリニックの今後の展望についてお聞かせください。

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障がい児とそのご家族をどのように支援していけるかを今勉強していますので、今後その支援体制をしっかりと確立していきたいですね。また、最近、他の3人の先生たちとともに東海オーラルマネージメント研究会という組織を立ち上げました。その研究会を通して、歯科医師や多職種の方々に向け、口腔ケアの重要性を訴えていきたいとも思っています。さらに、現在、名古屋市の歯科医師会で訪問歯科診療介護連携室の委員も務めています。訪問診療の受け皿をつくることを目的として活動していますので、その責任もしっかりと果たしたいですね。そうしたさまざまな取り組みを通して、今後も地域の皆さまに真に役立つ歯科医療を提供していきたいと思っています。

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