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栗崎 新也 先生の独自取材記事

くりさき歯科・こども歯科

(名古屋市港区/稲永駅)

最終更新日:2019/08/28

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あおなみ線稲永駅から徒歩8分。「くりさき歯科・こども歯科」の栗崎新也先生は、高祖父の代から続く歯科開業医として、この地に60年の歴史があるクリニックを2015年4月に父から引き継いだ。自ら志願して麻酔科や小児歯科、障害者歯科に勤務していた栗崎先生は、その経験を生かして、子どもや高齢者、障がいや難病、慢性疾患を抱える人など社会的弱者といわれている患者に寄り添った治療を得意とする。中学の頃から武道(合気道三段)をたしなみ、たくましい雰囲気だが、「患者さんとたくさん話して、嫌われがちな歯科医師という壁を少しでも低くしたい」と“傾聴”を心がけている。そんな栗崎先生に、地域医療への思いや、熱心に取り組む食支援、歯科嫌いの子どもをなくす試みなどについて話を聞いた。(取材日2017年1月25日)

子ども、高齢者、障がいや難病を抱える患者を助けたい

どのような患者さんが多いですか?

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子どもから高齢者まで幅広くおみえになっています。ご近所の方が多いですが、最近は僕が障がい者の診療をやっているということで問い合わせも多く、脳性麻痺や発達障害、ダウン症、自閉症などの障がいを持つ方が増えている印象です。症状はさまざま。また、保育園の園医を父とともにやらせてもらっていることもあって、年に2回、未就学児童のお母さんたちを対象にした講習会を開いています。虫歯がどうしてできるのか、虫歯予防、歯磨きのやり方、おやつの食べさせ方、食べるための口の機能の作り方などについて説明しており、そこに参加してくださったお母さんたちがお子さんを連れて来られることも最近増えてきています。

診療の際に心がけていらっしゃることはありますか?

当たり前のことですが、残せる歯は残して、無駄に削ったり抜いたりしない。あとは患者さんの訴えによく耳を傾けて、要望をしっかり聞いてあげることです。僕たち医療従事者は「医学的にはこうしたほうがいい」と押し通してしまいがちですが、患者さんの要望が大事だと僕は思っています。こういう治療の必要性があるとは伝えますけれども、明らかに無理な場合を除いて患者さんの要望をできるだけかなえるようにしたいと思って治療しています。

先生が得意とする治療、力を入れている治療は?

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やはり全身疾患のある患者さんの全身状態を把握しながら診療に携わることは経験上得意かなと思います。あとは障がい者歯科診療を行う「名古屋南歯科保健医療センター」に現在も非常勤で勤務していますし、障がいのある方たちの治療も得意ですね。今力を入れているのは、子どもの治療です。大学病院の麻酔科で勤務していた時に、何年か小児歯科でアルバイトをしていたんですね。体を押さえたりする強制的な治療はしないという方針のクリニックでした。強制的な治療をすると恐怖心を作ってしまい大人になっても歯科治療が受けられないということになりかねません。ですから、歯科医院に慣れるためのトレーニングにはすごく力を入れています。

看護師、管理栄養士とともに訪問診療で食支援も

歯科医院に慣れるためのトレーニングとは、どのような内容でしょうか?

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椅子に座る絵や鏡で口の中を見る絵などが描いてある絵カードを使って、まず椅子に座る練習から始めるなど、絵カードの行動を1個ずつクリアしていきます。カードは家に持ち帰り、次来院する時までに練習してきてもらったりして、だんだん治療に慣れていってもらうのです。2歳半~4歳くらいから始めています。行動調整法の一つで10カウント法というのですが、たとえば「10数える間だけ頑張ろう」と声をかけたり、モデリング法といって、きちんと治療を受けている同年代子どもの姿を見せるということも行っています。どうしても歯科治療に対して恐怖心が強い方には、静脈内鎮静法という麻酔を行っています。子どもはできませんが、気持ちが安らぐような薬を点滴から流して、うとうとした状態で治療します。他の歯科医院ではあまりやっていないと思います。

高齢者や障がい者の施設などへの訪問診療にも力を入れているそうですね。

クリニックの昼休みは全部、訪問診療に行っています。ほとんどの歯科医院が行っている訪問診療はただの訪問診療ですが、僕がやっているのは食支援です。歯を削って詰めて、噛むところまでではなく、最後の飲み込みまでフォローするのが、僕たちの訪問診療の仕事だと思っています。看護師の妻がクリニックに常勤しており、一緒に訪問診療に行くのでとても助かっています。さまざまな病気を持つ方がたくさんいますので、全身状態の把握や主治医の先生とのやりとりなど、看護師が窓口になっているとスムーズに進むことも多いですから。

看護師さんが常勤している歯科のクリニックは珍しいのでは?

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あまりないと思いますが、訪問診療だけでなく、静脈内鎮静法をやる時などにも看護師がいたほうが安心ですよね。また、管理栄養士さんにも必要な時に連絡して手伝ってもらっています。例えば在宅療養されている方のお宅に行き、摂食嚥下のリハビリテーションをやっていこうとなった時には欠かせないスタッフです。食事を作る際にどうやってミキサーをかけるか、どういうふうにとろみをつけるかなど、栄養士さんが実際に調理をしながら説明します。あとは、患者さんの栄養状態を的確に評価する栄養アセスメントを作成してもらうこともあります。歯科医院で、看護師、管理栄養士のスタッフを持ち、ここまでやっているところは、ほとんどないのではないでしょうか。

地域の人々に貢献できる歯科医院をめざす

お父さまの後を継いでから、2016年にクリニックをリフォームされたそうですね。

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僕は歯科医師として5代目なんですよ。高祖父が名古屋市、小牧市で開業し、祖父の代でこの土地へ移ってきて60年です。ここは34年前に父が建てた建物なので、とにかく古くて。リフォームで子どもが遊べるキッズルームを広くし、トイレにおむつ交換台を付けました。診察室も圧迫感が少なくてプライバシーも守れるような環境を作りたいと思い、半個室にしました。そこが、こだわった部分ですね。また口腔内カメラを各診察台に設置したので、実際に画像を見せながら説明できるようになりました。治療により納得される患者さんが増えたように思います。リフォームのタイミングで生まれたクリニックのキャラクターは、妻が紙に落書きしていたもの(笑)。妻は「ドクターマロン」と呼んでいますが。

歯科医師としてのやりがいは?

やはり常に死ぬまで使うしかない歯に携わることに、すごくやりがいを感じますね。ライオンは歯がなくなればその時点で死ぬといわれているように、命をつないでいくために必要なのが歯。高齢の方、障がいのある方、安全に食べられるようになったという方たちは、必ず笑顔で喜んでくださいます。食べられるようになると栄養面も改善しますし、全身状態も変わってきます。なので、一般的に歯科医師は命にかかわる仕事じゃないと思われがちですが、本当は内科や外科と同じかそれ以上に命に関係している仕事だと思っています。

休日はどうやってリフレッシュされていますか?

最近はなかなか行けませんが、海へ行ってスタンドアップパドルボートという大きなサーフィンみたいなものに乗っています。あとは子どもと遊ぶことですね。合気道は家の近くに道場があり、中学生の時から始めました。他の人がやっていないことをやりたかったのと、袴をはきたいなと思ったんです。仕事が忙しくなり、最近は行けなくなりましたが、息子がもう少し大きくなったら一緒にやろうと考えています。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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この町の地域の人たちに貢献できる歯科医院として、その機能をもっと果たしていきたいと思います。自分の得意分野である障がいのある人や子どもの治療、摂食嚥下リハビリテーションにはもっともっと力を入れていき、食支援もできる歯科医師としてやっていきたいですね。リフォームもまだ完成ではなく、いずれはキッチンを作り、ケアマネジャーやヘルパー向けの調理実習などを開ける歯科医院にしたいという夢があります。港区は虫歯の罹患率の平均が高い地域なので、講習会を開くことでお母さんたちの意識が少しでも変わり、予防につながれば。自分も子どもができてわかるのですが、子育て中は「こうしたほうがいい」とわかっていてもできないことも多い。お母さんたちはみんな一生懸命です。できるだけお母さんたちの置かれている状況に傾聴して、寄り添っていくスタンスでいきたいと思っています。

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