鈴木 智郎 院長の独自取材記事
鈴木歯科
(名古屋市名東区/藤が丘駅)
最終更新日:2024/11/25

藤が丘駅から西へ徒歩約5分の場所にある「鈴木歯科」。同院がある明が丘は新築マンションや家族向けアパートも多く立つエリア。町には小さい子どもを連れて歩く人の姿も多い。鈴木智郎院長はそのニーズをくみ取り、一般歯科の他に小児歯科、子どもでもできるような予防歯科など、幅広い診療を手がける。「私自身、痛い治療は苦手なので」と語る鈴木院長は、麻酔の方法を工夫したり、できるだけ削らないMI(ミニマルインターベンション)治療を行ったりするなど、患者への負担を減らすことにも力を注ぐ。先進的な歯科治療や口腔ケア用品情報などに常にアンテナを張り巡らせ、適切な方法を模索してくれる姿勢が魅力の鈴木院長から、治療に対する思いなどを聞かせてもらった。
(取材日2024年8月21日)
子どもから大人まで、一人ひとりに合わせた治療を提供
まずは、この藤が丘で歯科医院を開業しようと思われた理由を教えてください。

大学時代から地域の人のために働きたいと思っていたので、開業医になりたいという気持ちはずっと抱いていました。かつては、幼少期に育った名古屋市昭和区や天白区での開業を考えたこともありました。しかしいろいろ調べてみると、藤が丘周辺はまさに今人口が増えている場所で、比較的若い世代が多い地域だったのです。子ども向けの治療にも取り組んでいきたいという私の期待にも通ずるものがあり、ここで挑戦してみたいなと思いました。実は開院当初は、ここから徒歩数分の名東区藤が丘にクリニックを構えていました。13年間はそこで診療していましたが、診療所が2階にあったので、患者さんには階段で上がって来てもらわなければなりませんでした。それで明が丘の土地が空いたのをきっかけに移転。より皆さんに通いやすい歯科医院づくりを実現するため、院内はバリアフリー設計にしました。
先生はお子さんの診療もお得意だとか。
双子の子育てを経験してきたこともあり、子どもの接し方は意識していますね。お子さんの治療をする上で気をつけていることはいくつかあります。そのうちの一つが、「無理に治療しない」です。これは昔からのスタンスで、治療を嫌がるお子さんを押さえつけて治療することはしません。私自身、歯科治療が苦手だったこともあって、来院されるお子さんに歯科医院への苦手意識を持ってほしくないんです。その子に合わせたステップで、できることから始めていくようにしています。お子さんの状態を見ながら、まずは来院して遊ぶだけ、歯科医師と話して仲良くなる、椅子に座ってもらう、などですね。お子さんの診療でお悩みの親御さんは、一度ご相談ください。
先生が描かれている、理想のクリニック像はありますか?

具体的な理想像はまだないのですが、患者さんが望む医療を提供できるようなクリニックにしたいと常々考えています。そのためには患者さんとのコミュニケーションが必要で、患者さんが自由に話してくださる雰囲気づくりが重要です。どんなことでも患者さんが遠慮せずに質問して話してくれるのは、私にとってはありがたいことなんですよ。患者さんの話を聞いていると歯の痛みの原因が推測できることや、一見すると関係のない話が重要であることも考えられます。治療の選択も患者さんの意思を尊重します。選択肢の提供と説明は行いますが、こちらから「この治療をしなさい」といった強制はしません。治療後に、患者さんが納得して帰ることができる。そんなクリニックにできるよう、今後も努力していきます。
歯周内科治療など、患者のためになる治療は積極的に
治療面では、痛みの少ない治療に取り組まれているとのことですが、詳しく教えてください。

実は私自身が歯科医院での痛い治療が苦手なんです。あと、何をされているのかよくわからないというのも恐怖を感じます。だから自分が治療をする際は、できるだけ痛みの少ない治療を実現したいと思っていました。治療中はもちろん、治療に入る前の麻酔の段階から痛みをなるべく感じないよう工夫をしています。術中にどんなことを行うのかを写真などを見せながら明確にお伝えすることも工夫の一つですね。あともう一つのポイントとしては、患者さんが来院されてすぐに治療に入らないこと。もちろん痛みがあれば、それを取り除くことを優先します。しかし、歯を削る前には薬を詰めておくなどの処置をして、しばらく日数を置いてから治療に入ると、痛みを抑えた治療が見込めますので、よほどのことがなければそちらをお勧めしています。
健全な歯をしっかりと残すためのMI治療も実施していらっしゃいますね。
MI治療とは、歯の削る量を最小限にしましょうという考えに基づいた治療です。虫歯の部分だけを取り除くよう図り、後はお薬を詰めていきますので、極力歯を残すことが期待できます。昔は予防拡大という概念があり、溝に少しの虫歯があったら溝全体を削ったりして、虫歯が広がらないようにしていました。ですが今はMI治療のほうが主流ですね。自歯をできるだけ残すことで、歯の長持ちが望めますし、患者さんのメリットは大きいと思います。
歯周内科治療も行っていらっしゃいますが、こちらは具体的にはどのような治療でしょうか。

歯周病菌や虫歯菌は、その多くが両親からの口移しで感染するものですので、ほとんどの人が持っていると思ってもらったほうがいいかもしれません。そして、持っていたらその菌を少なくしたほうがいい。歯周内科治療では、最初に顕微鏡で歯周病の検査をし、その方の歯周病菌に合う抗生物質を処方します。抗生物質を3日間飲み、その後1週間、ブラッシング指導のとおりにしっかりと歯磨きをしていただきます。抗生物質と併せて適切なブラッシングでお口の清掃性向上を図り、清潔な口腔内環境をめざします。
歯周内科治療はどのくらいの年齢の人が対象ですか。
歯周病菌が口の中で増え出すのは30代からといわれています。50~60歳になると一気に悪化する人もいるので、それを防ぐために30代後半から40代にかけて一度自分のお口の中の検査に来られるのも良いかと思います。顕微鏡の画像を見て「こんなに菌がいるのか」とびっくりされるのではないでしょうか。歯周病菌を減らすための根本治療をすると、年を取った時にも楽に過ごすことができると思います。
新しい治療法など、さまざまな方面にアンテナを張る
導入している医療機器について教えてください。

レーザー治療器やCTなど、一般的な歯科治療に必要な設備は一通り導入しています。特徴的な機器だとガス殺菌器ですね。歯科クリニックで多く導入されているのは高熱による滅菌器で、高熱滅菌器は当院も導入しています。ほとんどの器具は高熱での滅菌が可能なのですが、熱に弱いプラスチックなどには使えません。そういった器具にはガスによる滅菌を施しています。口腔外バキュームの導入や、使い捨てできるものは使い捨てを使うなど、新型コロナウイルス感染症流行前から院内感染対策は行ってきましたが、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに改めて力を入れました。現在も衛生環境には気をつけています。
口腔ケア用品について教えてください。
歯磨き後に歯に塗り込むことで、歯の再石灰化を促すのに有用なペースト状の製品があります。お子さまにも使っていただけるのですが、牛乳成分なので、アレルギーがある場合は使えないというのがデメリット。私の子どもも小さい頃から使っています。とても良いものだと思うのですが普及率はまだまだ。もう少し広まればいいのにと思っています。それから歯周病治療を終えた患者さんから、市販の洗口液の有用性について質問をいただくことが多いです。市販の洗口液などはそれを使用するだけで歯周病治療に有用であるわけではありません。歯磨きと同じで、自宅で行うケアの一つとして洗口液などを使うのはいいと思いますよ。
今後、どのような歯科クリニックにしたいとお考えでしょうか。

新しい治療法にはとても興味がありますし、良いと思ったものは患者さんに還元していけたらと思っています。また、藤が丘は予防歯科などへの意識が高い方も多い地域なので、今後もより丁寧に歯科医療知識をお伝えしていけたらなと考えています。そのために、患者さんからも何でも言いたいことを言ってもらって、お互いに納得のいく治療ができる環境づくりを進めていきたいです。虫歯でなくても、遊びに来るような感じで来てもらうというのが理想ですね。