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高木 芳彦 院長の独自取材記事

タカギ歯科

(名古屋市名東区/本郷駅)

最終更新日:2021/10/12

高木芳彦院長 タカギ歯科 main

基幹バス引山停から徒歩5分、引山東停から1分、地下鉄本郷駅から車で10分。「タカギ歯科」は一戸建てもマンションも多い住宅地の中に位置している。30年以上も地域住民の歯の健康を見守り続け、長年通い続ける患者も多い。歴史あるクリニックだが、外装も内装もきれいに維持されており、待合室はカーペット敷きで、窓際に沿ってカーブを描く青いソファがしつらえられている。診察台の周囲には木目調の壁が低めに設けられており、半ば個室のようだ。広さを感じさせる、白が基調の落ち着いた空間で診療を受けられる。院長の高木芳彦先生から、常日頃の診療や、歯科医療の進歩に対しての熱い思いを聞かせてもらった。

(取材日2016年7月13日)

転機は「保険診療の範囲でできる治療」への変化

歯科医療に携わり、開業されるまでの方針をお聞かせください。

高木芳彦院長 タカギ歯科1

サラリーマンの家庭に育ったのですが、私自身は組織の中で働くよりも、資格を身につけて独立する要素の強い技術職が合っているのではないか、と思うようになったんです。最終的には技術職の中でも医療に携わりたいと考え、歯科医師の道を選びました。そして関東の歯科大学を卒業し、4年間の勤務医としての経験を積んだ後に、生まれ育った地元で当院を開院したんです。開院当初は、会社勤めの方たちが帰宅する時間でも立ち寄ることのできるようにしたいと思い、診療の最終受付を夜7時30分までにしていましたね。

次第に、どんな治療を中心にしようと思われるようになったのですか?

なるべく、保険診療の範囲内で私ができる最大限の治療をしようと思うようになっていきました。関東でも勤務医をしていたので、初期はその頃の習慣から、自由診療の内容を説明してお勧めすることもあったんです。しかし、地域性の違いのためか、ほとんどの患者さんが、聞いても「それはやめておきます」と遠慮されて。これは、地域に適応せねばならないと思ったんです。いつしか、初診の際に記していただくアンケートからも「自費診療にも関心がありますか?」といった項目を省くようになっていきました。そうすると「保険診療でここまでやってくれるなんて」という声が聞こえてくるようになりましたね。患者さんにすれば、高額な方法を勧められないとわかっているからこそ、安心して来院できるようです。

患者さんとのコミュニケーションで気をつけてきた点は何でしょうか?

高木芳彦院長 タカギ歯科2

治療内容について、十分に説明をした上で同意をいただき、実践するということです。数十年前から「歯医者さんからこんなにもいちいち説明を聞かせてもらったことは初めてです」と言われてきました。当院に来られる近隣の人たちは、特に約30年前などは歯の健康について関心のある人ばかりではなく、こちらがどのような診断を下したのか、正確な情報を伝えねばならない面もあったのです。継続した診療が必要と伝えても、痛みや腫れが引いたら来院されなくなる患者さんも多かったですし。そんな患者さんたちと30年間以上もお付き合いが続いていることは光栄に思っていますし、私も含め、お互いに年を重ねてきたなという実感もあります(笑)。近年は、患者さんの高齢化に伴う義歯の治療がとても増えていますね。

歯科医師会の活動を通して地域医療に貢献していきたい

会長を務める名古屋市名東区歯科医師会での活動も、地域医療への貢献の一つと捉えておられるのでしょうか?

高木芳彦院長 タカギ歯科3

その通りです。「歯科医療と公衆衛生活動により区民の皆さま方の健康増進に寄与する」活動ですから。「歯科医師会」と聞くと何をしているかわからない方も多いででしょう。歯科医師会は、営利を目的とせずに「歯科医学の高揚と研究」「公衆衛生と予防医学の普及向上、そしてその指導」を行う団体なのです。また、愛知県内44地区の地区会長が集まる「郡市区会長会」という会議の内容は公に残され、行政や立法の場面で医療にまつわる施策を考える人たちに、私たちの提言は「参考意見」として伝わります。開業している歯科医師なら、これは変化させねばと思う現実と理想とのギャップを感じているはず。それを話し合い、汲み上げ、行政なども巻き込んだより良い公衆衛生につなげていけるのが、歯科医師会での活動なのです。

一国一城の主である院長同士が話し合うことに、意義があるのですよね。

はい。開業する歯科医師はそれぞれが事業主で、特に若ければ若いほど、ややもすれば個人主義に陥る面もあるでしょう。しかし、つながりを大事にし、私が会長になって特に推進した若年者講習会に出るということなどから、提供できる知識の質も上がります。面と向かって会議や飲食の場面を共にし、歯科医療にまつわる意見をぶつけあう。そのような中から生まれた「地域の患者さんが参加できる無料の検診」なども多いのです。名東区のみならず、時には他の地域の歯科医師会などともつながりを持ち、話を重ねることで、現実がよく見えてきます。若い歯科医師にこそ、今後話し合いに参加してもらえたらうれしいですね。

開業している歯科医師同士の交流が患者さんに及ぼす良い影響とは、他には何でしょうか?

高木芳彦院長 タカギ歯科4

時間を共に過ごせば、それぞれの歯科医師の性格からどんな考えを持っているのかまでわかるものです。信頼できる歯科医師にも出会えます。すると、クリニック同士の連携がスムーズになるのです。領域が細かく分かれている歯科医療においては、患者さんを相互に紹介し合う活動も欠かせません。その際、交流を重ねて良い先生をたくさん知っていれば、診療技術の面だけでなく「この患者さんとあの先生はウマが合いそうだ」とまで考え、自信を持って紹介できるのです。それに、信念を持ったクリニック同士が交流することは、医療の質に切磋琢磨をもたらします。この点でも、患者さんにより良い医療を提供できることにつながるのです。

若い医療者への教育を通して、自らも成長させてもらう

院長は歯科医師会においてのみでなくこちらの医院でも若い歯科医師を育てていらっしゃるそうですね。

高木芳彦院長 タカギ歯科5

大学病院に勤務するかたわら当院に来てもらい、歯科医師として必要なことを教えています。技術を伝えるのみならず、地域のクリニックだから患者さんへの言葉遣いはこのぐらい丁寧にするべきなんだよ、というように、大学病院とはまた異なる医療の姿を伝えているつもりです。そうして育っている最中の歯科医師ですから、患者さんに対しては、診療内容の説明も含めて一生懸命向き合ってくれています。新しい知識もよく知っていますし、若い人の姿勢には、むしろ教えながらこちらも刺激を受け、成長させてもらっている感覚があります。

院長にとっては、教育も「広い意味での医療に対しての貢献」なのですね。

私自身も若い頃には諸先輩方から恩を受けてきましたからね。ささやかな恩返しです。歯科衛生士の学校で非常勤講師をしている活動もそのつもりでやっています。優秀な衛生士さんが増えれば、いかに診療が今より実りのあるものになり、スムーズに進むのか、と未来を担う人たちに対してだからこそ、歯科医療全体の構造まで伝えています。もちろん、私や当院自体の進化も心がけていますよ。旧態依然の治療ではいけないからと、新しい機材の導入にも意欲的です。まぁ、新しいもの好きという面もあり、導入したものの「買うんじゃなかった、役に立たなかった」なんて装置もありますが(笑)。それでも、新しい可能性を求めて変化し続けていきたいとは考えています。

長いお付き合いの患者さんも多いと想像します。最後に、患者さんへの想いをお聞かせください。

高木芳彦院長 タカギ歯科6

小さい頃からご両親と共に来院されてきて、今はイギリスで働いているものの、帰国のたびに当院で診療を受けてくださる女性もおられます。「帰国している3日間の範囲内でやれるところまでやってください」なんて国際電話がかかると、よし、任せておきなさいと発奮しますね。名古屋市内でも、転居や退職などで遠方に移られたけれども継続して来院してくださるご高齢の患者さんが多くおられます。80代の患者さんから「散歩がてら、バスを乗り継いで行きます」とお電話をいただくと、来てくださるお気持ちはうれしいものの、途中で転ばれたりしていないかな、なんて来られるまでが心配でたまらなくもなるのですが(笑)。そういった時、私らしい診療を続けてこられたかな、と実感していますし、そう言っていただけるように努めたいですね。

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