宮城 司 院長の独自取材記事
いのうち内科クリニック
(横浜市緑区/十日市場駅)
最終更新日:2026/07/02
JR横浜線十日市場駅から徒歩10分ほどの場所にある「いのうち内科クリニック」。1970年代の開業以来、半世紀以上にわたって地域医療を支えてきた同院を、2026年7月に宮城司院長が承継。聖マリアンナ医科大学卒業後、大学院で基礎医学研究に取り組み、博士号を取得。その後は横浜新緑総合病院で23年以上にわたり一般内科診療や感染症対策に携わってきた。「患者さんと一緒に考えていく医療をめざしたい」と語る宮城院長。専門分野にとらわれず患者を総合的に診る内科医としての経験を生かしながら、地域に根差した医療の実践をめざす宮城院長に、これまでの歩みや診療で大切にしていること、そして展望を聞いた。
(取材日2026年6月2日)
地域に根差したクリニックの歴史を受け継ぐ
こちらは非常に歴史あるクリニックですね。

1970年代に奥村医院として開業され、その後2002年に井内正人先生が承継されました。その歴史を引き継ぐことに、大きな責任を感じています。私は長年勤務してきた横浜新緑総合病院で、井内先生やこのクリニックと日頃から連携する機会がありました。そうしたご縁の中で承継のお話をいただいたのがきっかけです。これまで私は病院で診療を続けてきましたが、救急医療や専門的な医療を支えるためには、普段から患者さんを見守るかかりつけ医の存在が欠かせないと感じていました。年齢を重ねるにつれて、「病気を治す医療」だけでなく、「健康な生活を支える医療」にも携わりたいという思いが強くなっていたんです。そうしたタイミングでお話をいただき、この地域で長く親しまれてきたクリニックの歴史を大切に受け継ぎながら、自分らしい医療を実践していこうと考えています。
横浜新緑総合病院ではどのような診療に携わってこられたのですか?
23年以上にわたり一般内科を中心に診療してきました。肺炎や敗血症などの急性疾患から生活習慣病まで、本当に幅広い患者さんを診てきました。また、長年にわたって感染症対策にも携わってきました。新型コロナウイルス感染症だけでなく、それ以前の新型インフルエンザへの対応も経験しています。感染症というのは病院だけの問題ではなく、地域でどう予防し、どう向き合うかが重要です。だからこそ、普段から患者さんを診ているかかりつけ医の役割はとても大きいと感じています。病院勤務では、病気だけを見るのではなく、患者さんの生活背景やご家族の状況まで含めて考える機会が数多くありました。そうした経験を積み重ねてきたことが、今の自分の診療の土台になっています。
医師を志したきっかけと、これまでのご経歴を教えてください。

父が医師で開業していたのですが、子どもの頃から「絶対に医師になる」と決めていたわけではありません。とはいえ、年の離れた兄も医学の道に進み、親族にも医療関係者が多い環境でしたので、進路を考える中で、自然と医療の道を選びました。聖マリアンナ医科大学卒業後は大学病院で臨床研修を受け、その後大学院へ進学しました。大学院では基礎医学の研究に取り組み、現在の再生医療につながるような分野を学んで博士号も取得しています。
総合的な内科診療の知見を生かし、患者に寄り添う
先生ご自身の強みはどのようなところにあるとお考えですか?

私は循環器や消化器など、一つの領域に特化した専門家ではありません。実はそれを弱みだと感じた時期もありました。でも長年診療を続ける中で、それはむしろ自分の特徴なのだと思うようになったんです。病院には「何となく体調が悪い」「どこが悪いかわからない」「複数の症状が重なっている」といった患者さんが数多く来られます。そうした方のお話を聞きながら原因を探り、必要な検査や治療につなげたり、専門の先生へ紹介したりすることを繰り返してきました。だからこそ、まず患者さん全体を見るという姿勢は自分の強みだと思っています。どこに相談したらいいかわからない段階から気軽に頼っていただける存在でありたいですね。
診療で大切にしていることを教えてください。
患者さんのお話をしっかり聞くことです。診療というと検査や薬の話が中心だと思われがちですが、実際には患者さんが何に困っているのかを理解することがとても大切です。同じ病気でも生活環境や仕事、ご家族の状況によって治療の進め方は変わってきますし、不安に思うことも人それぞれです。また、私は「任せてください」と強く引っ張っていくタイプではありません。もちろん医師として必要な判断はしますが、患者さんと一緒に考える姿勢を大切にしています。中には原因がすぐにはわからない症状もありますし、検査をしてもはっきりしないこともあります。「異常ありません」で終わってしまうのではなく、「次はどうしていこうか」と患者さんと一緒に考えていきたいんです。かかりつけ医というのは、一回の診察で終わる関係ではありません。長い時間をかけて患者さんと向き合えるからこそできる医療があると思っています。
患者さんとの関わりの中で心がけていることはありますか?

地域の皆さんがなんでも相談できる医療を実践していきたいと思っています。大事なのは、患者さんが相談しやすい雰囲気をつくること。病院勤務時代にも感じていましたが、患者さんの中には「こんなことを聞いていいのだろうか」と遠慮してしまう方も少なくありません。でも、何げない一言が診断のヒントになることもありますし、患者さんが本当に困っていることがそこに隠れていることもあります。ですから、診察室ではできるだけ話しやすい空気をつくりたいと思っています。また、病気の話だけでなく、日常生活のことやご家族のことなども含めて相談していただきたいですね。そうした積み重ねが信頼関係につながり、より良い医療につながるのだと思います。
地域の健康を支える新たなスタート
新体制となるクリニックの特徴を教えてください。

大きく変えるというよりは、これまで地域の皆さんに親しまれてきた良さを大切に受け継いでいきたいと思っています。その一方で、時代に合わせて改善できることには取り組んでいきます。今回、電子カルテを導入する予定ですが、これは単なる効率化のためではありません。診療情報を整理しやすくなりますし、過去の経過も把握しやすくなります。その結果として、患者さんと向き合う時間をより確保できるようになると考えています。また、最初から無理に新しいことをたくさん始めるつもりはありません。長く続けることが大切だと思っていますので、一歩ずつ着実に体制を整えながら、地域に必要とされるクリニックをめざしていきたいですね。
休日はどのように過ごされていますか?
乗馬をもう25年以上続けています。旅行先で馬に乗ったことがきっかけで始めたのですが、その後すっかり魅力にはまりました。馬にはそれぞれ個性があって、自らよく動く馬もいれば慎重な馬も、また少し気まぐれな馬もいますし、本当に一頭一頭違うんです。だから、まず自分の思うように動いてもらうには相手を理解することが大切になります。その馬がどんな性格なのか、何を嫌がるのか、どう接すれば安心してくれるのかを考えながら関わっていくのが楽しいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

この度、ご縁があって「いのうち内科クリニック」を承継することになりました。これまで通われていた患者さんには安心して通い続けていただけるよう努めていきたいですし、新しく来院される方にも気軽に相談してもらえるようなクリニックをめざしていきたいと思っています。私は長年病院で診療してきましたが、これからは地域のかかりつけ医として、より患者さんの生活に近い場所で医療を提供していくことになります。病気になった時だけではなく、健康な時から関わり、皆さんの健康を支えていきたいと思っています。「どの診療科に行けばいいかわからない」「健康診断の結果が気になる」「最近少し体調が変わった気がする」、どんなことでも構いません。気になることがあれば、ぜひ気軽にご相談ください。患者さんと一緒に考えながら、その方に合った医療を提供していきたいと思っています。

