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杉野 順啓 院長の独自取材記事

杉野歯科

(津島市/津島駅)

最終更新日:2019/08/28

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名鉄津島駅から歩くこと約10分、「杉野歯科」は住宅地に溶け込むように建っている。院内は、和紙や七宝を用いた絵画や季節の花が飾られ、雑誌もきれいに整頓された、静かで落ち着ける空間だ。院長の杉野順啓(のぶひろ)先生は30年にわたり「町の歯医者さん」として地元、津島市で診療を続けている。「当院にかかってくださった患者さんには幸せになっていただきたい」と、丁寧な診療で地域の歯の健康を支えてきた。院長の時折見せるユーモアと、実直な人柄、「患者とすごく仲良し」というスタッフとがこつこつと地道に信頼を重ねてきたことがうかがえる。得意の義歯治療や、今後も増えてくる高齢者への配慮など、同院の特徴について話を聞いた。
(取材日2017年5月10日)

開業して30年、患者とともに年を重ねる

開業に至る経緯を教えてください。

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実は、高校時代は文系か理系かを決める際にも、英語が苦手だからという理由で理系にしたぐらいで、歯科医師になろうとは考えていませんでした。父が医師で兄も医学部の学生だったため僕も医学部を受け、合格したのですが、将来のことやいろいろな事情を考え次の年に再度受験をし、歯学部へ入学しました。父は臨床はしていませんでしたが、兄は市内で内科の医師をしています。兄が学生時代部活で無医村で健診をする活動などしていたので、僕も学生時代は歯学部ならでわの部活をしようと思い小学校での虫歯予防の活動をしていました。ちなみに歯科衛生士の妻も同じ研究会に所属していました。卒業後は2年間、大学の医局に残って義歯を専門に勉強、診療し、その後は名古屋市と小牧市の歯科医院に1年間ずつ勤務しました。津島で生まれ育ったので、自然にこちらで開業しましたね。

来院される患者はどんな方々でしょうか?

たまに子どもの患者さんも来られますが、高齢の方が多く、80歳前後の方もめずらしくないですね。市内のほか愛西市や稲沢市などからも来られています。主訴としては「詰め物が取れた」「しみる」「噛むと痛い」といったところでしょうか。開業して30年になりますので、ほとんどが昔から来てくださる方で一緒に年を重ねてきました。僕はそんなに話が得意な人間ではないのですが(笑)、受付スタッフや歯科助手は患者さんとすごく仲良しですね。外でお会いしても話をするようです。20年以上勤めてくれていて、患者さんのことをよく把握しており、僕へ「こういう人ですよ」と教えてくれます。

高齢者が多いということで気を付けていることはありますか?

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問診で基本的なことはお聞きしますが、気を付けているのはB型肝炎の人、糖尿病の人ですね。以前、治療中にショック症状が起きた方がいて、大変なことがありました。それで1年ほど前に血圧や脈拍を測定する機械を導入し、現在はそれを装着していただいて血圧を見ながら治療を行っています。5分刻みに値を測定するようになっているんですよ。ショックを起こすと血圧がどんと下がり、けいれんを起こすこともあります。先だってもそういう方がいて、治療を中断しました。患者さんの年齢に関係なく、安全確保は欠かせません。

できるだけ歯を残しつつ、患者に合う義歯を製作

こちらでは、どんな治療を行っていますか?

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普通の一般歯科の治療をしています。来ていただければ何でもします。ただ、矯正治療はしていません。一般歯科の矯正の技術と矯正治療専門医院の技術は大きく違うと思うからです。実際に一般歯科で矯正治療をされた患者さんを診たことがありますが、やはり難しいと感じたことがありました。いい加減な治療はできませんから、矯正治療はしませんし、また顎関節症も自分のできる範囲で改善できる場合はいいのですが、難しい場合は口腔外科などを紹介します。

診療の時に大切にしていることはありますか?

できるだけ抜歯せず、頑張って歯を残します。例えば歯槽膿漏で歯がかなりぐらついていても、少しでも骨があれば、その周りの歯周靭帯が3ミリ程度でも残っているので、その力を信じてつないで残します。根っこだけの状態で埋まっている歯も抜きません。もともとその人の体にあるものなので、基本的に使えるものは使います。歯の根っこだけが埋伏してその上に歯茎がかぶっているケースでも、歯茎を取り除くと、結構きれいな歯が出てきます。これまでの経験からいうと、無理に抜かなくても根っこの消毒をして、芯を立てていけば十分、大丈夫な場合が多いんですよ。

先生が得意とする治療を教えてください。

医局では義歯が専門でしたので、力を入れていますね。よく噛める入れ歯は、前から数えて5番、6番目の歯をしっかり噛ませることがポイントです。その奥の7番目の歯は、噛み合わせの調整の時にできるだけ当たらないように削ります。奥のほうで強く噛むことは顎に影響を与えて、痛みの原因にもなってしまいますから。

入れ歯の製作で大切なことは何ですか?

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その方のお口に合うようにということが最も大切ですが、個人差がすごくあって、調整に1年かかる患者さんもいます。入れ歯は、もともとの自分の歯ほどは絶対に噛めません。ですから、入れ歯に対して患者さんがどこまで要求されているのか、よく話し合うことが必要です。例えば、ある方は「食べる時は入れ歯を使わない」と言っていました。刃物を研ぐ仕事をされていて、どうしてもぐっと噛みしめてしまうんです。「入れ歯をすると調子がいい」ということで、仕事の時にだけ入れていました。また、ある方は、カラオケが趣味だけど声が漏れるのが気になるということで、「カラオケができる入れ歯を作ってくれ」とおっしゃいました。なんとか作って感想をお聞きしたら、「よく歌えるようになった」ということで安心しました。見た目重視の方や、食事は柔らかい物が食べられればいいという方、硬い物が好きな方などいろいろです。

患者の幸せを目標に、地域に役立つ

先生は、患者の要望に合わせて入れ歯をこまかく調整してくださるのですね。

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僕がこれで十分だと思っても、患者さんはそう思っていないかもしれないので、こちらから「もうこれでいいでしょう」とは言いません。とにかく気が済むまで来てもらえれば調整します、という姿勢です。僕は、快適に使える入れ歯を作りたいと思っていて、正しい型をとることには非常に努力しています。入れ歯は噛み合わせの位置が大切なのですが、それ以前に上下の顎の位置がずれているケースが多いのです。加齢とともに噛み合わせの位置が低くなり、下の顎がしゃくれて前に出てくるのですが、そのままそこで噛む人もいれば、噛むときだけ本来の位置に戻るという人もいるんです。どこで噛むのかを見極め、その人の噛む力も考え合わせて入れ歯を作ります。1mm以下のずれでも調子が悪いとご相談に来られる方もいますので、当院でしっかり調整いたします。

常に心がけておられるのはどんなことでしょうか?

「当院にかかってくださった方には幸せになってほしい」、それだけです。これは実は勤務していた歯科医院の院長の言葉なのですが、ああ、そうだな、いい言葉だなと思い、ずっと心にありますね。人間、何でもおいしく食べられることが一番幸せだと思いますので、そのお手伝いができればうれしいです。あと注意しているのは、時間です。予約診療ですので、なるべくお待たせしないよう、限られた時間の中でどれだけのことをしなくてはいけないか、常に頭の中で考えています。いまは一人ひとり時間に余裕を持って診療できていますが、それでも時間に気を配っていますね。

30年を振り返り、今後のことなどお聞かせください。

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30年、早かったなと思います。僕は入れ歯の修理や詰め物、かぶせ物を作る技工が好きなのですが、こつこつ作っていたらいつのまにか年月が過ぎていったという感じですね。息子2人のうち、1人は獣医師に、1人は歯科医師になりました。この医院のことは考えなくていいので、自分のやりたいようにしていってくれたらと思っています。こうして取材を受けた以上、僕もすぐやめるわけにもいかないので(笑)、まだまだ頑張って地域の皆さんのためにお役に立ちたいと思っています。

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