白井 尚 院長の独自取材記事
みどりクリニック
(横浜市緑区/十日市場駅)
最終更新日:2025/09/04
横浜市緑区にまだクリニックが少なく、医療機関同士の連携体制も十分ではなかったという1995年、十日市場駅前に「みどりクリニック」を開業した白井尚(たかし)院長。以来、専門の泌尿器科を中心に、皮膚科や内科にも対応して地域住民に頼りにされてきたドクターだ。診療だけでなく、近隣の病院やクリニックとの連携や、がん検診の普及に尽力するなど地域医療に貢献してきた。開業30周年を迎え、「自分が開業時に支えてもらったように、地域への恩返しをしたい」と語る。専門性を生かした診療を展開する白井院長に、診療にかける思いや今後の展望などを聞いた。
(取材日2025年6月19日)
予約制やオンライン診療も導入。受診しやすい泌尿器科
こちらは30周年を迎えられたとのことですね。

はい。当初は「泌尿器科って何を診てもらえるの?」「性感染症のためのクリニックでしょ?」などといったお声もあったようですが、前立腺がんや過活動膀胱をはじめ、泌尿器科に対する皆さんの認識も深まってきました。その一方、新型コロナウイルス感染症の流行を経て医療を取り巻く環境はさらに変わってきています。この近辺では、閉院した病院や、泌尿器科がなくなった病院もあり、そこにかかっていた患者さんが当院に来られることも増えています。そもそも高齢化に伴い、前立腺がんや尿失禁など泌尿器科の病気が増えていきます。多くの患者さんが来てくださることはありがたいことですが、お待たせしてしまうこともあるので悩ましいなと思っているところです。
待ち時間短縮のために、予約制も導入されたと聞きました。
そうです。ただし、予約枠は1時間に4人と余裕を持たせて、予約外の方や急変した方も受け入れられるようにしています。また、オンライン診療にも対応しています。初診ではなく慢性的な治療が必要な患者さんで、多忙な方や、出張で遠方に滞在されている方などを対象としています。必要とされる方に、必要な診療を受けていただける環境づくりには努めていきたいですね。
どのような症状の患者さんが来られますか?

男性ではやはり加齢に伴う前立線の病気による症状を訴える人や血尿、PSAという前立腺がんの腫瘍マーカーが上がっているため、受診する方が多いですね。女性に多いのは、膀胱炎や「おしっこが漏れる」「急に尿意をもよおす」など過活動膀胱、くしゃみや重いものを持ち上げる際などおなかに力が入ったときに漏らしてしまう腹圧性尿失禁のお悩みです。最近は過活動膀胱などが知られるようになり、「病気なのだから」と泌尿器科を受診される女性が増えてきたのは喜ばしいことだと思います。過活動膀胱や腹圧性尿失禁は、妊娠、出産、加齢などにより発症しやすくなりますが、お薬である程度コントロールしていくことが期待できるので「歳だから仕方がない」と諦めないでいただきたいですね。
地域の病診連携や前立腺がん検診の普及にも取り組む
健康診断や各種がん検診に注力されているそうですね。

とにかく早く病気を見つけることが、より良い治療への第一歩ですから、定期的に検診を受けることはとても重要だと考えています。当院では個人の健康診断に加えて、横浜市の特定健康診査や健康診査、前立腺、大腸のがん検診を行っています。さらに当院では行っていませんが、女性の乳がん・子宮がん検診、内視鏡による胃がん、エックス線による肺がん検診を積極的に受けていただくよう啓発することがライフワークになっており、毎回、うるさいぐらい言っています(笑)。「別の病気で大学病院にかかっているから大丈夫」などとおっしゃる方もいらっしゃいますが、医師の専門分化が進み、専門外の臓器についてはどこまで診てもらえているかわからないところもあります。当院では診療の流れの中で気軽に検査を受けていただける体制を取っていますので、ぜひ定期的に受けていただきたいと思います。
地域の病診連携にも率先して取り組まれてきたとか。
この地域で泌尿器科としては最初に開業したので、他の開業医の先生たちにも声をかけて、病診連携の会を立ち上げました。そのうちに病院のほうも開業医との連携に力を入れるようになり、病院の医師と顔の見える関係が構築されています。当院では、先端医療への対応は難しい反面、経験を生かした専門診療では自信を持ってお迎えしており、大学病院から患者さんをご紹介いただくことも多くあります。特に夜間頻尿や夜間多尿といった症状では、排尿日誌をつけていただきながら、時間をかけてきめ細かい診療を行います。病院とクリニックそれぞれの強みを生かした連携こそが、地域医療の底上げにつながりますし、医療機関の機能分担はますます必要になっていくはずですから、患者さんにも理解していただきたいですね。
医師会での活動についても教えてください。

泌尿器科の医師として、前立腺がん検診の仕組みをつくりたいという思いが強く、横浜市医師会の活動に力を入れてきました。より多くの患者さんをがんから救いたい、早く見つけてあげたい、という思いを実現するためには、仕組みを変えなくてはなりませんから。念願かなって、市のがん検診に50歳以上の男性を対象とした前立腺がん検診が加わり、当院でも積極的にお勧めしています。現在は医師会の活動は次世代に譲り、診療を通して地域医療への貢献をめざしています。自分の息子世代の若い先生方が開業されるようになってきましたので、私がこれまで先輩方から受けてきたサポートを恩返しのかたちで次世代につないでいければと考えています。
気になることなどがあれば教えてください。
最近は外来診療が忙しくあまり対応できていませんが、在宅医療にも取り組んできました。実践してみると患者さんを取り巻く家族のかたちもさまざまで、難しさも感じています。近年、ACP(アドバンスケアプランニング)として、人生の最終段階における医療について生前から考えておくことが重要とされており、本人はもちろん、家族や社会全体で考えていく必要があると感じます。健康な時からかかりつけ医を持ち信頼関係を築いておくことが大切だと思います。
些細な困り事の相談にも乗る町のかかりつけ医として
ところで、先生はどうして医師を志されたのでしょうか?

幼い頃に、病弱だったことが大きいですね。小学生の時にジフテリアという伝染病で病院に隔離され、留年しそうになりました。他にも骨肉腫と診断され、初めに行った病院で「足を切断する必要がある」と言われたことも。それを聞いた母親は病院巡りに奔走し、最終的にたどり着いた病院の先生が診てくださって、今の体があります。そんな経験もあって、小学生の高学年の時にはすでに「将来はお医者さんになりたい」と考えていました。思い描いていたのは、的確な診断をして困っている人を助けられるような臨床医ですね。
診療の際には、どのような点を大切にされていますか?
患者さんを自分の家族だと思って診たいと思っています。時間の制約などで難しいこともありますが、できる限りそうした姿勢で寄り添いたいというのがモットーです。精神科的な症状のある患者さんも受診されることがあり、神経性・心因性の症状は精神科へご紹介することも多いのですが、そうしたケースでもできる限りお話を伺うようにしています。あとは、主訴に限らず私に可能なことであればできる限りのサポートをして差し上げたいと思っています。生活習慣病で定期受診をしている方などにも積極的にがん検診をお勧めしたり、ちょっとした困り事にもご相談に乗ったりと、「町のかかりつけ医」として、皆さんの健康維持をお手伝いする役割を果たしたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

泌尿器科に関することで困られたり、他の診療科にかかって治らなかったりという場合は、ぜひ泌尿器科を専門とする医療機関を受診していただきたいですね。内科で過活動膀胱や前立腺肥大症と診断されて治療を受けていても、実は前立腺がんや膀胱がんであったということもあります。泌尿器科の症状でお困りの場合は恥ずかしいと思ったり、こんなことぐらいでと遠慮したりせずに、ぜひ泌尿器科を受診していただきたいと思います。一方で、例えば、処方された薬で症状が改善しないからとすぐドクターショッピングをするのではなく、かかりつけ医に「治りません」と伝えることで、より踏み込んだ治療が可能になると考えられます。回を重ね、時間を経ることで可能となる医療もあることをご理解いただき、医師と信頼関係をつくり、長くお付き合いいただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは健康診断/基本検査3780円~(税込)

