ちはら小児クリニック

ちはら小児クリニック

茆原博志 院長

頼れるドクター

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共にがんと闘った子どもたちや親たち。今も彼らの心の拠りどころに

―卒業後、どちらの病院で経験を積まれたのですか?


広島大学卒業後、聖マリアンナ医科大学に研修医として入ります。もうすでに家族を抱えていたので、収入もないといけません。だから研修医で一番高い給料をくれるという神奈川県の病院に入る予定だったのです。ところがその面談の帰り、ついでだからという気持ちで、聖マリアンナ医科大学にも足を運んでみたんです。その時応対してくれたのが、当時小児科の教授だった水原春郎先生。あの俳句の水原秋桜子の息子さんです。その水原先生が僕に言うわけです。「悪いこと言わない。将来のことを考えるんだったら、うちの大学に来たほうが絶対いいぞ」と。聖マリアンナ大が研修医に払える給料は、入る予定だった病院の半分以下。目先のことだけ考えたらお金をもらったほうがいいに決まっています。家族にとってもね。でも結局、聖マリアンナを選びました。切り詰めればなんとか生活できると思いましたし、なにより水原先生から勧められたということが大きかった。聖マリアンナ医科大学では小児科の腫瘍学を専攻。大学には結局28年ほど在籍し、小児がんの臨床を中心に経験を積んできました。

―大学小児科での長い経験のなかで、印象深いエピソードをお聞かせ下さい。


がんと闘うたくさんの子ども達を診てきましたが、医師として一番つらいことは、がんが再発した時。白血病でも、固形がんでも、最初の治療はたいていうまくいくものなんです。しかし再発というと話は別で、再発したがん細胞というのは、抗がん剤治療に耐え忍んだ細胞ですから、より強力で、抗がん剤も効きにくくなります。T子ちゃんという白血病の治療がうまくいった子がいて、退院して半年か一年経ったあと、「先生のお陰でこんなに元気になりました。ありがとうございました」と親御さんと一緒に挨拶に来てくれました。でも、奇しくもその日に血液検査で白血病細胞が見つかってしまって。再発の治療は1日でもはやく始めたほうがいいんです。だから結果を一刻も早く伝えなきゃいけないのだけど、電話しようと思ってもできない。つらくって。何時間も迷いに迷って、それでもなかなかできなくて、結局は電話しましたが非常に苦しかった思い出があります。親も一生懸命自分の子供の病気について勉強していますから、再発の意味もよく分かっている。そんななかで再発を宣告するときは大変つらいです。最初に病名を告げる時もつらいものですが、こっちとしても「必ず治すんだ」という意気込みがありますからね。親御さんも最初は泣いてしまいますが、きちんと現実を受け入れ、だんだんと「わたしたちも頑張ろう」という気持ちになってくれる。すると治療もすごくやりやすくなりますね。

―先生は患者だったお子さんたちの名前を、今でもとてもよく覚えているんですね。


もちろん。100人近く診てきましたが、僕はみんな憶えていますよ。顔も名前も。亡くなっていった子たちのことも覚えています。まあ一人ひとり思い出して話したらきりがないくらい、エピソードはいくらでもあります。向こうも僕のことを憶えててくれて、治った子の何人かはここにも来てくれました。結婚式に呼ばれたこともあります。大人になっても付き合いは続いています。実は昨日も電話がかかってきたばかり。一歳の時に小児がんの神経芽細胞腫の治療をしたSちゃんの親御さんから10年ぶりの突然の電話でした。Sちゃんはもう結婚して母親になっているんだけど、二人目を妊娠中に膀胱にがんが見つかってしまったそうなんです。ショックな話でしたが、お母さんは「先生の声を聴けば少し安心するから電話したんです」と。僕もできる限りアドバイスさせてもらいました。

記事更新日:2016/01/24


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