玉置 忠宏 院長の独自取材記事
いわさきデンタルオフィス
(小牧市/味岡駅)
最終更新日:2021/10/12
小牧市の北部、味岡駅から西へ入ったところにある「いわさきデンタルオフィス」。地元小牧市出身の玉置忠宏院長が1995年に開業した地域密着型の歯科クリニックだ。一般歯科、小児歯科、矯正、インプラントなどほぼすべての歯科治療を手掛ける玉置院長だが、揺るがない治療スタンスは「予防」である。「お口の中がどんな状態であっても、必要な処置をしてからが、『予防治療』のスタートラインです。」と語る玉置院長はことさらに予防治療の実践行動である「定期健診」の大切さを訴える。「予防治療を受ける対象は、疾患が無い人だけではありません。歯の疾患が「ある人」も「無い人」も等しく予防治療に通うことが必要なのです。」と語る横顔からは、患者への真摯な姿勢と地域への深い愛情が感じられる。
(取材日2016年10月26日)
一生涯のパートナーであるために
診療のスタンス、大切にしていることを教えてください。
一貫して「予防」医療に取り組んでいます。ひとくくりに「予防」と定義されがちですが、私は「予防」を医療の視点として考えると3段階に分かれると思います。一次予防は疾患を出さないための予防で、例えば虫歯や歯周病にならないようにすること。二次予防は、早期発見・早期治療も考え方としてはそれ以上悪くしないための予防だと捉えています。三次予防は歯の疾患を治してリハビリをした後、その良好な状態を永続していかなければならない、という意味ではそこも予防治療と考えてよいでしょう。そのため、どんな状態の患者さんへも、その人に合った予防治療は必要になります。私は一人ひとりの患者さんに対し、治療が終わった後も必ず「定期健診」に来てくれるようにお伝えしています。患者さんにとって当院は、「生まれてから亡くなるまで」一生のパートナーでありたいのです。
予防治療を3段階で捉えていらっしゃるのですね。
はい。患者さんの症状に合わせて、それぞれの状態に適した予防治療メニューを提案しています。たとえば、重度の歯周病にかかり、その完治が難しい患者さんがいるとします。そのような場合、症状を安定させるための予防治療メニューが最適かを考えていくことになります。ちなみにこのケースは三次予防の考え方です。私が徹底して予防治療にこだわりを持つ理由は、患者さんのQOLを大事にしたいからです。QOLとは「生活の質」と訳され、治療中から治療後を通じ、「患者さんが充実感・満足感を持って社会生活を送ることができているか」を計る基準として用いられる考え方です。現代はこのQOLの考え方が広く浸透しつつありますし、私自身も患者さんのQOLの向上をめざしたいと考えています。
一般的な予防治療の方法である定期健診については、どれくらいのペースでの来院が必要でしょうか。
特にお口に問題が無い場合は、成人は半年に一度、お子さんは3ヵ月に一度のペースでの来院を推奨しています。お母さんの健康意識は本当に人それぞれで、意識の高い方は一度説明をすればしっかりと通院をしてくれます。逆もまたしかりで、中には、3ヵ月に一度と伝えても、なかなかそのペースを守っていただけない場合が多く見られます。それでも定期健診の大切さを繰り返しお伝えすることで、意識を高めようとしていますが、人の習慣を変化させるまで持っていくのは正直とても長い時間をかけなければ難しいという実感を持っています。
修復の終了はゴールではない、そこがスタート
対応されている診療項目を教えてください。
一般歯科から小児歯科、インプラントや矯正治療まで、すべて私一人で診療しています。少し矯正歯科治療を例にお話ししますと、例えば歯周病を抱える患者さんの中には、歯周治療の一環として矯正治療をすることで歯周病の症状が改善するケースが多く存在します。その患者さんのお口が矯正治療に耐えうる状態であることが条件ですが、矯正を行うことで全体的に歯の場所を良い位置に戻し、適切な方向に力を与えることができれば、多くの場合において歯周病疾患の改善が見られることが多いのです。歯がさまざまに動いてしまって、しっかり噛めない状態のまま歯周病治療を施しても、口全体に適切な力が掛からない状態では治療効果が充分得られないことが多いのです。私は、歯を正しい位置に持っていき適切に力のコントロールをすることが、歯周病だけに留まらず矯正を含め多くの治療においても大切であると考えています。
予防治療を始めるところが、患者さんにとっての本当のスタートだそうですね。
先にもお話ししたように、当院の患者さんには「予防」のため定期健診へ通ってもらい、メンテナンスを受けていただくことをお願いしています。すべての歯科治療において、「やりっぱなし」にして良いことはありません。適切な処置をした後、良好な状態を保つための予防(定期健診・メンテナンス)無しでは、当然いつまでも良い状態を保つことはできません。歯は休みなくずっと働いてくれる訳ですから。例えて言うと、20年、30年前の自動車に乗っているとして、その車はメンテナンス抜きでいつまでも問題なく走ることができるでしょうか? 人間の体も同様に修復治療だけで完結させようとするのはナンセンスです。当院では「修復が終わった時点がスタートですよ」、という話を患者さんにしています。
歯科治療のさまざまなスキルを身につけていらっしゃいますね。
勤務医時代の勤め先の先生の考え方に影響を受け、矯正歯科治療まで含めた総合歯科治療ができる歯科医師になろうと発起し今までやってきました。おかげさまで勤務しながら、さまざまな勉強会や研修会で学ばせていただく機会も与えてくださったので、大変ありがたかったです。その先生自身は矯正治療はされなかったのですが、「自分で学んでいくのであれば、一つの枠にとらわれず良い治療法であれば実践しなさい」という先生の考え方が、矯正をはじめとする幅広い歯科治療に対応する今のスタイルは、その先生の教えのおかげですね。
「やりなおし治療」がない世の中になってほしい
こだわりの設備について教えてください。
今ある設備は自分に必要だからです。例えばマイクロスコープですと、肉眼で見るよりも多くの情報を得ることができます。例えば20倍に拡大すれば面積あたりの情報量は400倍になります。情報量が多いとそれだけ治療を適切に行うことができる可能性が増えます。CBCTを使い従来平面であったレントゲンを3Dにて診断し、マイクロスコープを用いて診療を行うことにより、いかに情報量を増やしていくことが診療にとって必要なのかがわかります。ただ、良い治療器具を導入したとしても、それをいかに効果的に扱えるかどうかも医師のスキルの一つです。うまく使いこなすためにはトレーニングが必要です。だから歯科医師としては一生勉強ですね。
治療技術向上にこだわり続ける先生の思いを教えてください。
これは日本の歯科治療全体での課題となっている「やり直し治療」を少しでも減らしたいからです。ご存知かも知れませんが、天然の歯の量は、削られるたびにどんどん少なくなっていきます。一度削られると、時間を経ても元どおりにはなりません。特に神経を取ってかぶせてしまっている歯はそう何回もやり直しをすることはできません。だんだん歯の量が減り最後には割れてしまいます。だから可能な限り、削る必要のない歯は削らずに治していけたらと思っています。そのため虫歯、歯周病の原因の一つでもある歯列不正を直すために矯正治療にも力を入れています。
読者へのメッセージをお願いします。
人間は皆等しく年齢を重ねていきます。その時に大事なのは先ほどもお話ししたQOL、どれだけ健康に年齢を重ねていくか、生活の質をどうしたいか? だと思います。これまで歯科医師として多くの患者さんを診てきました。私には患者さん一人ひとりのお口がこの先どのようになっていくかを予測できます。良い方向性である患者さんは良いのですが、中には確実に崩壊に向かっているお口の方もいます。本人は気づきませんが、私はこれまでの経験からその人の未来の状態が見えるので、それ以上悪くならないために尽力することが歯科医師としての使命だと思います。そこに、しつこいほど「予防・定期健診・メインテナンス」の大切さを訴える理由があります。是非、本当の予防治療の大切さを知ってほしいですね。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。