予防歯科で重要な定期メンテナンス
内容を理解し主体的に取り組む
かとう歯科クリニック
(小牧市/小牧口駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
健康を支えるために欠かすことのできない食事。その食事を、誰しも一生自分の歯でおいしく楽しみたいと思っているのではないだろうか。しかしその反面、治療を終えた後に、健康な歯を守っていくために必要な定期メンテナンスに移ると、だんだんと足が遠のいてしまう患者も少なくない。その背景の一つに、「治療と予防の関係性・重要性」について、患者自身が納得しきれていない点も挙げられるのではないだろうか。患者との関係構築を特に大切にし、常に患者が納得のいくケアの提供をめざす「かとう歯科クリニック」の加藤勇夫院長に、同院の予防と治療に関する取り組みから、その必要性について患者へどのように話しているのか、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2017年9月5日)
目次
丁寧なコミュニケーションを通して予防と治療の大切さを共有し、患者の主体性を育てる
- Q貴院で取り組む定期メンテナンスの内容について教えてください。
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A
基本的に3ヵ月に一度、1時間程度の時間をかけてメンテナンスを行います。具体的には口腔内のお掃除、虫歯の有無や歯並びの変化、歯磨きのチェックと指導です。お掃除では歯垢や歯石だけでなく、歯を覆うバイオフィルムを専用の機器と薬剤を用いて除去し汚れを付きにくくする、PMTCという方法を取り入れています。またこれらと合わせて、歯周病治療後なら位相差顕微鏡による検査を、入れ歯やインプラント治療を受けた方には状態の変化の確認など、患者さんが受けた治療に合わせて内容を調整しています。歯科衛生士やスタッフのスキル向上もあって、患者さんには治療後も高い割合でメンテナンスに足を運んでいただいていますね。
- Q予防に取り組む大切さをどのように患者さんへ伝えていますか?
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A
初診カウンセリング時から、治療と予防の大切さについてお話ししています。ただ初診では、まずは患者さんが来院に至った背景や現在悩んでいる主訴について、じっくり耳を傾けることに注力しています。患者さんが求めていることは何か、どのように改善していきたいのか、時間をかけて患者さんの言葉を引き出していくのです。そうして患者さんの思いを受け止めながら、めざすゴールに到達するためには丁寧な治療だけでなく、定期的なメンテナンスの継続が必要であることをお話ししていきます。必要性や重要性を一方的に押し付けるのではなく、患者さんに治療や予防について関心を持ってもらうための関係づくりが、初動では特に欠かせません。
- Q治療の選択においても予防的観点が必要だそうですね。
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A
もちろんです。例えば同じ治療であっても、使用する素材によってその後のメンテナンスのしやすさなどに違いが出てくるので、治療後の経過も見越したものでないといけません。治療を説明する際は、模型や症例写真、ペーパーの資料などを使って、その違いについて事細かに説明しています。費用や治療期間とも関係するものなので、冷静に判断してもらうために、あえて時間を置くこともありますね。「治す」ということは、単に患部を治療するだけでなく、口腔内の環境やこれまでの習慣を見直し、改善していくことです。だからこそ、ご自身で治療の内容を納得いくまで検討することは、口腔内に関心を持ってもらうために必要だと考えています。
- Qメンテナンスを中断してしまうとどんなデメリットがありますか?
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A
口腔内トラブルのよくある原因は細菌の感染症です。感染した状態をそのままにしていたら、どれだけきれいに治療をしてもいずれ悪くなってしまうのは当然のことですし、患者さん自身だけで管理しきれるものではありません。だからこそ、感染した状態を一定レベル以下で維持し続けていくためにも、定期的なメンテナンスが必要なのです。そして、その必要性を患者さん自身が理解し納得してもらうためにも、密度のあるコミュニケーションが必要となります。メンテナンスの時間を1時間も設けているのは、余裕を持ってケアに取り組むためであると同時に、患者さんと何でも話せる関係をつくり、理解を深めていただくためにも欠かせないことなんです。
- Q丁寧な関係の構築が、患者さんの主体性を育てているのですね。
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A
患者さんの主体性を育てる、つまりデンタルIQを高めていくことは、口腔内の状態をより満足のいくものにしていくきっかけにもなります。健康な状態を保つことができれば、さらに高い要望が出てくるのもまた当然のこと。より良い口腔内環境をめざす中で、治療と予防はステップアップしていくものです。ただ、患者さんから「今はこの治療しか選べない。ごめんね」と言われることもあるのですが、謝る必要なんてありません。その時最善と思えるものを選び、患者さん自身のタイミングで次のステップへ上がっていけばいいのですから。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。