佐々木 成高 理事長の独自取材記事
ササキデンタルクリニック
(小牧市/春日井駅)
最終更新日:2025/04/07

予防歯科に力を入れる「ササキデンタルクリニック」。2018年のリニューアルにより、プライバシーと衛生面に配慮した環境に一新。全個室の診療室へと全面改装し、安心して治療を受けることができる。佐々木成高理事長は、予防歯科先進国であるスウェーデンのボー・クラッセ博士が提唱した「メディカルトリートメントモデル」を5年の歳月をかけて導入。予防歯科をベースとして、歯列矯正やインプラント治療などと融合させながら、患者の健康をサポートしている。2025年にはクリニック名も変更となり、より矯正に力を入れる予定だという。佐々木理事長が重視する予防歯科や矯正の重要性、さらに診療にかける思いについて話を聞いた。
(取材日2020年2月19日/再取材日2024年5月16日)
先進の予防システムで、長期にわたり歯の健康を守る
開業当初から予防歯科に力を入れられているそうですね。

はい。2006年に予防歯科のエキスパートである熊谷崇先生が主催するセミナーにて、スウェーデン発祥の歯科医療哲学を学んだことがきっかけです。その後スウェーデン、アメリカ、ドイツで行われた勉強会への参加を経て、国際基準の歯科医療を提供したいと考えるようになりました。予防歯科の先進国であるスウェーデンのメディカルトリートメントモデル(MTM)を取り入れるため、5年の歳月をかけて当院の予防歯科のシステムを全面的に変えました。2018年リニューアルにより、院内を診療のゾーンと予防のゾーンに分け、それぞれに設備を整えて各々の施術を集中して行える環境をつくり上げた次第です。
メディカルトリートメントモデルとはどのようなことを行うのでしょうか?
まずは患者さんの口腔内写真撮影とエックス線撮影、歯周病や唾液成分のチェックを行います。痛みなど緊急な治療の必要があれば優先的に処置をします。口腔内の状態は患者さんによって異なりますし、年齢や生活環境によっても変わります。そこで検査結果をご説明し、その方に合った予防プログラム「メディカルトリートメントモデル」を提案するのです。担当の歯科衛生士による歯磨き指導、食事指導、歯石の除去やフッ素の塗布などを数回に分けて実施し、その後、再度検査を行って口腔内の環境がどの程度改善されているのかを確認、口腔内写真やエックス線撮影なども改めて行います。すべて行うと1時間ほどかかるでしょうか。その後に治療が必要であれば行い、健康的な口腔内を維持するためにメンテナンスへと移行していきます。この予防プログラムは、虫歯と歯周病の再発防止を図り、抜歯となってしまうのを可能な限り防ぐためのシステムなのです。
一人ひとりに合った予防プログラムを提案されているのですね。子どもの予防についても教えてください。

小さなお子さんにも年齢に合わせたプログラムを作成します。お子さんの場合、検査によって将来の虫歯や歯周病のリスクを早い段階で知ることで、適切なホームケアや定期的なメンテナンスの重要性を親御さんにもきちんと説明することができます。幼少期から予防歯科に通って口腔内を管理すれば、成人になってからの歯周病も早いうちに防ぐことが期待できると思います。つまり歯を失うリスクを減らすことが望めるのです。小さいうちに予防の基本をしっかりつくっておくことは、将来の健康につながります。歯並びや噛み合わせもチェックし、問題がある場合は早期に矯正を行うことが望ましいでしょう。
矯正で正しく噛める歯並びをめざす
こちらのクリニックの診療理念はどんなことでしょうか?

ミッションに「生涯を通じて口腔内の健康を維持する」、スローガンに「KEEP SMILE KEEP 28」を掲げています。28本すべての永久歯を保って患者さんを笑顔に導くことをめざし、スタッフ一丸となって取り組んでいます。日本は長寿国にもかかわらず80歳で入れ歯やブリッジを入れている人がほとんどで、予防歯科先進国のスウェーデンとは大きな差があるといわれています。日本の80歳の方の口腔内は、スウェーデンに遅れること約40年という見方もありますので、「小牧市民の口腔内の状況を世界一にする」を目標にして、スウェーデンに追いつけ追い越せで頑張っています。ミッションを達成するためには、予防が欠かせません。最近では患者さんの高齢化によりメンテナンスの定期通院が難しいケースが出てきました。当院では数年前より担当の女性歯科医師による訪問診療を行っています。
予防歯科とともに、今後力を入れていきたい治療はありますか?
矯正歯科に力を入れていきたいと考えています。当院では、マウスピース型装置を用いた小児矯正と成人矯正に対応しています。歯並びに問題がある場合は、インプラント治療や歯にかぶせ物などをする前に、まずは歯並びを整えてまっすぐに噛めるようにしなければなりません。歯並びを整えないでインプラント治療やかぶせ物をしても、噛み合わせの問題は残ったままですから、まずは矯正をして土台を整えることが大切なのです。実は、大人になってから矯正が必要となる方がとても多く、特に第一大臼歯を虫歯で失い、そこから歯並びが変わって噛む力が低下しているケースが見られます。第一大臼歯は歯の中で最初に出てくるため、歯磨きが不十分だと汚染されやすいのです。矯正を専門とする歯科医師と私との2人体制で診療し、矯正が必要な方の手助けをしたいと考えています。
大人になってから矯正を始められる方も多いそうですね。

矯正の際は、まず口腔内スキャナーでお口の中を撮影し、その結果を患者さんにお見せしながら適切な診療をご提案します。また、マウスピース型装置を用いた矯正を行う前には、動画で矯正の経過をシミュレーションし、患者さんにご納得いただいてから開始します。当院では、矯正後のインプラント治療にも対応しています。インプラント治療後には、定期的なメンテナンスが大切です。インプラントで長く噛めるように、病気の予防をすることが大事なのです。当院では、予防システムの一環として、管理栄養士による食事指導を行っていることに加え、言語聴覚士による高齢者の口腔機能低下症の予防、子ども向けの口腔機能発達不全の予防・改善をめざしています。このように、矯正やインプラント治療は、予防と密接に関係しているのです。
生涯を見据えた診療で「小牧市民の口腔内を日本一」に
先生のご専門は口腔外科だとお聞きしました。

病院勤務時代よりすでに30年、一般歯科に加え、インプラント治療や骨造成、さらに通常の歯内療法では治しきれない症例に対して行う、外科的な治療法である歯根端切除術を行ってきました。インプラント治療は、ブリッジや入れ歯のように周囲の歯に負担をかけることなく、義歯よりも違和感が少なく咀嚼効率が高いなどのメリットがあると考えています。しっかりと咀嚼し栄養を吸収することができれば、未来の体の健康へとつなげていくことにもなるでしょう。また必要に応じて、矯正も行い噛み合わせにアプローチすることで、歯の消耗も少なく、長く残すことが期待できます。
スタッフの皆さまも知識が豊富なのだそうですね。
予防歯科の鍵となるのは、歯科衛生士によるプラークコントロールです。歯科衛生士が行う予防処置と歯磨き指導により、健康な歯の維持がめざせると言えます。当院では入社後に講習期間を設け、歯周病検査や唾液成分の測定など、予防に必要な知識と技術を徹底的に磨いてもらいます。これらができるようになるまで、患者さんを担当することはありません。期間は1年が目安ですが、それ以上かかることもあります。皆、誇りを持って取り組んでいて頼もしいです。また、管理栄養士や言語聴覚士、保育士など、歯科衛生士以外のスタッフも予防歯科の講習に参加し、チーム一丸となって予防に取り組む体制を取っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

生涯を通じて口腔内の健康を維持するためには、最新の予防知識で対応する必要があります。矯正や定期的なメンテナンス、インプラント治療、子どもの頃からの口腔機能へのアプローチなどを組み合わせることで、口腔内のみならず、全身の健康につなげたいと考えています。実現のためには、患者さんをはじめ、他の医療機関や専門機関、行政の協力も必要です。4年ほど前から小牧市民向けの講座に注力しているほか、企業、行政、教育などの他機関において、予防歯科について講演しています。各専門機関との連携も強めながら、予防歯科で「生涯健康」「小牧市民の口腔内状況を世界一にする」のが目標です。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/40万円~、骨造成/7万円、マウスピース型装置を用いた矯正/小児:44万円~、成人:88万円~